監査法人という定性情報 -駆け込み寺の存在- | OX理論が測る企業価値

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26年前、資金繰りに特化した財務分析手法が産声をあげた。
それは、【あらかん】から【OX理論(アラーム管理システム)】へと進化を遂げた。
【OX理論】を土台として、企業分析にいそしむALOX社専属ライターのメールマガジン、それに付随するこぼれ話を掲載。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━2009.8.31
オックススタンダードメールマガジン 『 S T A N D A R D 』

監査法人という定性情報 -駆け込み寺の存在- <編集:HNW>
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「サドンデスリスク」


金融機関では直近は黒字だったにも関わらず突如倒産する
“サドンデスリスク”への警戒感が高まっているという。

報道によれば、2009年7月9日にロボット製造会社の
株式会社 生産技術が民事再生法の適用を倒産したことが
契機となっているようだ。

同社は、売上高約113億円、利益約10億円となっていたが、
実際の売上高は約18億円だったという。




矛盾した言い方になるが、企業分析の観点に立てば、
サドンデスリスクはユージュアル(通常)である。

多くの企業は、売上が減り赤字となり資金繰りに窮して、
倒産する。
それに次いで多いのが、突発的な出来事により資金繰りに
窮して、倒産する。


それゆえ、いつの時代でも、企業審査の肝は、
突発的な出来事に対する耐久力(支配余力)と
その内容(本当にその数値に値する資産があるのか?
粉飾されていないのか?)である。




こう言っては何だが、民主党の“圧勝”は突発的だ。
政策が着実に実行されれば、突発的な出来事が起こる。


分かりやすいのが、高速道路の無料化。
無料になれば、ETCはいらない。
その結果、ETCメーカーは不良在庫の山。
ETCメーカーに部品を供給していた会社も不良在庫の山。


民主党の政策実現力によって、業績が左右される企業が
出てくることは間違いない。


突発的な事故の予防には、民主党の政策実現力を計る
“目”が必要だ。その“目”があれば、時流を掴み、
業績を爆発的に伸ばすことも可能と言えるだろう。



それでは、OXメルマガ『 S T A N D A R D 』をお楽しみください。


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監査法人という定性情報 -駆け込み寺の存在-
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【ウイングパートナーズ監査法人】
「監査難民の最後の駆け込み寺」と言われた監査法人である。
どこの監査法人も監査を引き受けてくれない時、最後に頼るのは
ウィングパートナーズと言われた。

2009年7月8日、金融庁より業務の停止1ヶ月の処分を受けた。
監査していた企業の会計監査人を辞任し、今はホームページを
見る限り、休眠法人の様相を呈している。




【監査法人は企業評価の切り口】
ウィングパートナーズが監査をしていた企業の多くは、
倒産や上場廃止となっている。

最近では、モック(元マザーズ上場)が上場廃止となり、
2009年7月27日に破産した。


※モックの分析結果
 【OX理論で分析】
  OX格付       CCC 【-2】(2008年6月連結決算)

 【分析表1】
 http://www.ox-standard.co.jp/pdf2/moc.pdf


【考察】
監査法人には、それぞれに特色がある。
特に中堅や個人の監査法人は、代表社員によって
監査法人の色が決まると言って良い。
(その点は、多くの中小企業と同じである。)


ウィングパートナーズは、「監査難民の駆け込み寺」
という色があった。


では、他に同様の色をもっている監査法人は
存在しないのだろうか?



【監査法人一覧】
下記サイトは、どの監査法人がどの企業を監査
しているのかが分かり、非常に有用なサイトである。
http://www.saiyou-cpa.com/listed_company/clients_list/audit_list2.html

(最終更新:平成21年1月1日)



【気になる監査法人】
2007年12月のオックススタンダードセミナーにおいて、
倒産企業の監査法人が特定の監査法人に偏っていたことを話した。

2007年倒産したNOVAを監査していたA監査法人は、監査先が
倒産や上場廃止になるケースが多い。
(法人名は控えます。)



【総括】
「どの監査法人が監査しているのか」は、企業分析の要素だ。
ウィングパートナーズが「監査難民の駆け込み寺」だったのと
同様に、「倒産予備軍の巣窟」が存在するかもしれない。


そのような“色”を持っている監査法人を探す方法は、
「倒産企業の監査をどれだけ行っていたのか」以外にもある。


高額な監査報酬を受け取っている法人は、そのような“色”を
持っている可能性があると言える。


というのも、2009年5月に上場廃止となったモックの有価証券報告書
によれば、ウィングパートナーズは監査報酬を3900万円も受領していた。
前年監査していたプライム監査法人が受領していたのは800万円。
2008年6月期の監査報酬支払総額は、計4700万円となる。

しかし、2007年の有価証券報告書では、監査報酬支払総額は計3812万円だった。


約900万円の増加は奇異に映る。



「高額な監査報酬には理由がある」と言えそうだ。



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【編集後記】
2009年8月4日、東証2部上場で湘南地区を中心にデパートを
展開している株式会社さいか屋が事業再生ADRを申請した。
倒産ではないが、金融機関に対して借入金の支払猶予等を
要請するものであり、私的整理に近い。



私は、幼少から大学を卒業するまで、横須賀に在住していた。
私にとって、さいか屋は超メジャーな百貨店だった。
20年ぐらい前は、「何か良いものを買う場合は、さいか屋」
と決まっていた。
(値段で選ぶ場合は、ダイクマだった。)



個人的には、金融機関との折衝が無事に済み、何とか再生してほしい。
ただ、大手百貨店が苦境の中で、地場百貨店はさらに厳しい情勢に
思える。



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