昨年2月

107歳の誕生日の1週間前に

天寿を全うした父方の伯母に

3月20日、お彼岸のご挨拶に行った。

  

 

(これは門)

 

地域の名家に嫁ぎ

かなり苦労したようだが

さすがは明治の女、耐えに耐えて

義理両親と夫を見送った後は

悠々自適の老後を送った。

 

90歳で

「同世代とはお付き合いできないわ。60代じゃないと話が合ない」と

自転車も片足でひょいと乗り

96歳まで

自分より20歳も年下の人たちとゲートボールを楽しみ

99歳で

大腿骨を骨折したものの

内臓も神経も頭脳もしっかりしているからと

手術をして完治。

 

その後は歩行器の助けを借りたものの

自分の足でしっかり歩き

なんでもバランスよく食べ

昨年のお正月には

家族がハラハラ見守る中

お雑煮のお餅も食べたという。

 

ボケとは無縁で

よく新聞を読み

年を重ねると

相手のことなどお構いなしの

言いたい放題の身勝手老人になりやすい人が多いのに

伯母は歳を重ねるほどに

相手に対する気遣いや思いやりのある

思慮深い人になり

相手を傷つけるような言葉は決して言わず

いつも穏やかに話す人だった…と。

 

伯母の100歳の誕生日に

「百寿を祝う・生まれた日の新聞ギフト」

というのを贈ったら

とても喜んでくださり

「隅から隅まで読んで、感慨深かった」と

感謝のお手紙までいただいた。

 

20年ほど前に先だった伯父は

芸術の才能があったようで

庭の蔵で見つけたという

結婚した当時の伯母を描いた

大きな絵が仏壇の横に飾られていた。

 

他にも伯父の作品があちこちに。

 

  
 

以前、私は伯父が焼いた花瓶や皿をいただいたけれど

陶芸の才能もあったようだ。

 

とにかく

伯母が嫁いだ家は

1800年代初期から続いた

この地域では名家だったようで

そういえば、父も生前

「敷居が高い家だ」と言っていた。

 

壁には

伯父からさかのぼって

4代までの夫婦のモノクロ写真がずらり。

 

しかもこの家の1代、2代の頃は

写真がなかったので、ここには掲げていないと。

 

ということは

伯母の息子の従兄弟は8代目?

 

なので

代々の戒名が祀られている仏壇も

江戸時代からの物らしく

大きなサイドボードのような凝った木彫りのもので

壁にはめ込まれている。

 

中をジロジロシゲシゲ見つめたら

ご先祖様に「天保○○ねん」と書いた戒名があった!

 

天保?いつの時代?

調べたら1830年から1844年までを

天保と言ったようだ。

 

めまいがした。

 

家の敷地面積は

800坪はあるそうで

庭にある大王松の奥はジャングル!

 

  

 

50年前に1年半もかけて

大工さんが凝りに凝って作ったという屋敷は

それなりに古くなってはいたものの

玄関の天井は

格天井という

寺院や神社、お城など、

主に格式ある建物に使われた天井だそうで、

「はぁ~」とため息。

 

 

 

雨戸をしまう天袋にまで屋根がついていて

「こんなところまで凝っている!」と唖然。

 

 

 

倉は2つもあり

「もしやお宝が?」と思ったら

ガラクタや、粗大ごみしか入っていない…という。

  

 

 

門の横の奥には平屋が一軒。

それは伯父の祖父母の隠居部屋だったようだが

「朽ちて壊れるのを待っている」だけで

放置しているという。

 

 

 

 

尊敬する伯母に会いに

お彼岸のご挨拶に伺ったのに

200年の歴史を遡って

なんとも不思議な時を過ごした1日だった。