OCDの再燃・再発
OCDの治療をはじめ、辛い思いもたくさんして、
ようやく回復状態にまでこぎつけたとしましょう。
しかし、恐怖や強迫がなくなったからといって、
再燃・再発の可能性まで消えたわけではありません。
常にその可能性はあるため、どのように再燃・再発を予防できるか、
また、再発してしまった場合の対処はどうするべきを知っておくことは必要です。
・再燃と再発の違いについて
ERPによって、OCDを治療した場合、自分に自信がついてきます。
ERP自体が、辛い状況に長い間耐えなければならないこともあり、
徐々に治療の成果を実感することができます。
回復段階にまで到達すると、
「もう強迫観念なんて微塵も感じない」
と思えるかもしれません。
しかし、私たちの脳はコンピューターよりも高性能です。
OCDの治療において、恐怖や強迫を改善したとはいっても、
上書き保存をしたわけではありません。
あくまでも思考を矯正したのであり、
強迫の火種となるものは、ずっと頭の中に存在しています。
当然、何かのきっかけや、刺激によって、
その火種が再発する可能性はあります。
もちろん、これは完全に回復した場合に起こることもあれば、
治療途中に起こる場合もあります。
治療途中に、よくなりかけたのに、
また症状が悪化してしまう場合は「再燃」。
完全に回復したはずなのに、数か月後に症状がまた
見られるようになってしまうのが「再発」です。
これらは火が燃える事象でイメージする事ができます。
よく、タバコの火が原因で火事になることがありますが、
消したと思っていてもまだ火自体が残っていて、
そのうち燃え広がってしまうのが再燃のような現象です。
完全に火自体は消していても、火が付きやすく燃える物質は
そのままそこにあるため、燃えてしまう要素が加われば、
何か月かたった後でも火事の原因になるのが再発のようなものです。
OCDの治療中は、自分がどの回復段階にあるのか。
つまり、火はどれだけ小さくなったかを把握しておくことが必要です。
不潔恐怖・洗浄脅迫の人にとって、手を洗う時間が短くなったとか、
ドアノブは触れるけど、床はまだ触れない、という場合、
火は小さく放っていますが、まだ燃えています。
しっかり火を消すまでは、また火の勢いが強くなることは、
想像に難くありません。
大切な事は、エクスポージャーを火が消えるまで
しっかり浴びせること。
儀式妨害を徹底することなどです。
火事が起こった時に消火する際、ある程度火の勢いが
弱まったからと言って、消火する勢いも弱める事
はしないはずです。
火が消え去るまで、しっかりと水や消火剤を
浴びせ続ける必要があります。
手を抜けば、再燃はしやすくなります。
確かにERPは辛い治療方法ですし、ある程度頑張ったなら、
少しくらい手を抜こう、少しくらい自分を楽にしてもいいんじゃないか?
という思いがよぎるかもしれませんが、
再燃した場合に、また大きな炎と戦わなければならないのは、
自分自身なのです。
・再発したら即対処
OCDの再発に対する対処は、どのような治療を行っていたかで
違ってきます。
薬物療法を行っていた場合、同じように薬で、
再発を予防し、対処する方法があります。
SSRIや選択的セロトニン再取り込み阻害薬などは、
火事を起こしにくいよう、素材を耐火性のものに
加工しておくようなものです。
うっかり強迫行為を行ってしまうような、「ぼや」をおこしても、
一気に大きな火事に燃え広がりにくくなります。
再発しやすい傾向のある人は、薬を続ける事が
効果的な予防・対処方法です。
ERPのみで治療を行った人は、同じようにERPで
改善を試みる事になります。
強迫観念が少しでも浮かんだら自分が治療したERPで、
儀式行為を起こさないようにしましょう。
そのようにして、強迫観念を撃退します。
もし、ERP治療を行ったのがずいぶん前で、
具体的な方法や、大切なポイントを忘れているなら、
インターネット調べてもいいですし、お世話になった
専門家のアドバイスを仰いでもいいでしょう。
OCDの再発はなによりも、すぐに対処することが大切です。
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