遂にゲームオーバー。GMは「ゼネラル・モーターズ」から「ガバメント・モーターズ」に衣替えをして再建の道を模索することになった。

[日経]GM「破産法を1日に申請へ」 米政府発表、3.8兆円追加支援  米政府は31日、米自動車最大手のゼネラル・モーターズ(GM)が連邦破産法11条(日本の民事再生法に相当)を1日に申請すると発表した。同社の事業を引き継ぐ新生GMに米・カナダ両政府が計396億ドル(約3兆8000億円)の追加金融支援を実施。GMは両政府が72%を出資する政府管理企業として再出発する。昨秋の金融危機で深刻化した米GMの経営危機は実質的な一時国有化という節目を迎えるが、中長期的な競争力回復は今後の課題となる。
GMは1日朝にも破産法を申請する。オバマ米大統領が1日午前11時55分(日本時間2日午前0時55分)に演説し、一時国有化に理解を求める。ほぼ同時にGMのヘンダーソン最高経営責任者(CEO)も記者会見を開く見通し。

GMの連結ベースの資産規模は三月末時点で約823億ドル(約7兆8000億円)。米製造業の破産法申請では過去最大、金融業を含む米企業全体でも過去4番目の規模となる。


●米連邦破産法11条
米国の代表的な企業破綻(はたん)処理手続きで、日本の民事再生法のモデル。清算を目的とした破産法7条とは異なり、事業を停止させることなく、継続しながら再建を目指すことが可能。重大な過失がない限り、旧経営陣がそのまま業務を継続が可能。重大な事業決定に関しては破産裁判所の承認を受けなければならない。再建計画が実行不可能と裁判所が判断した場合には7条への移行を余儀なくされる。


凄まじい規模だ。資産は2009年3月末時点で822億ドル(約7兆8千億円)。


破産法を申請した米製造業では過去最大で金融業を含む米企業全体でも史上4番目の規模の倒産となる。負債総額は2009年3月末の負債総額は1728億ドル(約16兆4千億円)にも上っている。


4月30日のクライスラーの破綻に続き、6月1日にGMも破綻。1カ月余りで80年近く世界をリードしてきたビッグスリーのうち2社が倒産することになった。


そしてGMの破綻は関連の部品会社や販売店などを含めると100万人以上の雇用に影響を及ぼすとの試算もでている。


米国の失業率は、4月に8・9%まで上昇となっている。GM破綻の影響が加わるのが6月以降になるがさらに悪化するのは確実な情勢だ。


そして失業者の増加となれば当然住宅ローンなどの焦げ付きの増加を生み金融機関の経営問題再燃につながる可能性もある。


このような経済や金融への悪影響が懸念があるために米政府は追加融資により早期再建を目指すことになった。


破産法手続きを60~90日間程度で終えることを想定している。


破産法手続き終了後、GMは「シボレー」「キャデラック」など優良ブランドを保有する「新GM」と、サターンなど不採算ブランドを残す「旧GM」に分割する


●GM再建策の骨子
・連邦破産法11条を1日に申請。
・米政府は301億ドルを追加支援。
・カナダ政府などは95億ドルを支援。
・両国政府は役員を各1人選任。
・米政府は新GMの60%の株式を取得。
 実質国有化で早期再建図る。
・カナダ政府は12%の株式を取得。


またオバマ大統領は6月1日昼(日本時間2日未明)にホワイトハウスで演説する予定だ。クライスラーは破産手続きをほぼ完了していることから、GMの経営立て直しにも強い自信を表明する見通しとなっている。


米政府の計画によれば米政府が301億ドル(約2兆8600億円)を追加支援を行う。つまりこれまで支援した資金と合わせてGMへの税金の投入額は総額約500億ドル(約4兆7500億円)に上る。


これらの融資と引き換えに破産手続きを経て設立する「新GM」の株式を60%取得し、実質国有化して経営再建を主導する。


カナダ政府なども95億ドルを支援し、約12%の新GM株を取得。つまり両国で72%の株式を保有しさらに両政府はGMに役員各1人を送り込む予定だ。


またGMの計画と専門家の試算見通しは以下となる。


・現在の8ブランドから4ブランドに縮小。
・国内の生産拠点を2008年末の47か所から2012年までに31か所。
・全従業員の34%に当たる2万1000人の従業員の削減を計画。
・販売店網を現在の約6000店から2010年までに3600店。
・損益分岐点を年間の米自動車販売台数で1600万台から1000万台へ。
・世界販売台数は、昨年の835万台から4割程度減るとの試算。


本当にこれで経営を回復できるのかかなり疑問だ。


これまで抵抗勢力として考えられていた全米自動車労組(UAW)と大手銀行など有担保債権者への切り込みは進んだのであろうか。


全米自動車労組(UAW)に対しては退職者向け医療保険基金は譲歩の見返りに17.5%の株を取得させることで妥協した。


さらに無担保債券の保有者は10%を取得することも認めた。労組と債券保有者はワラントを取得し、GM株式の買い増しも可能とのことだ。


また大手銀行など有担保債権者は100%の弁済を受けるという手厚い保護。


驚くのはGMは破たん手続き中も通常通り業務を実施し、従業員への給与支払いなども通常通りに行われ、年金プランも維持される見通しとのこと。


ハズレ社会人-GM破綻


米政府が約4兆7500億円もの税金を投入するのにあまり痛みを伴わないで再建を目指そうななどと甘い考えではこの先どうなるか目に見えている。


5月29日のニューヨーク株式市場でGM株は33%下落し0.75ドル。GM株にとって最後と予想される市場取引を大恐慌時代以来の安値で終えている。


オバマ政権にとって致命傷とならぬことを。


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