まずは西川社長が自らの続投問題などについて開いた記者会見の内容を。

[産経]


【日本郵政バトル】日本郵政・西川善文社長会見詳報(1)
【日本郵政バトル】日本郵政・西川善文社長会見詳報(2)
【日本郵政バトル】日本郵政・西川善文社長会見詳報(3)


[産経]日本郵政の西川善文社長は21日、都内で記者会見した。焦点となっている自らの続投問題について、西川社長は「途中で投げ出すわけにはいかない」と述べ、辞任する意向はないことを強調した。会見での主なやり取りは以下の通り。



―――― 本日午前中の取締役会で報告された取締役選任の人事案の内容を



西川社長 「本日の取締役会では株主総会の議案について選任案が報告され、決議した。取締役選任案は9人全員再任させていただきたい。取締役の人事は株主総会の決議を経て、総務大臣の認可を得て決まる」



―――― 鳩山邦夫総務相は認可について厳しい判断を下す可能性が高い。認可を拒否された場合の対応は



西川社長 「現時点では何も考えていない」



―――― 前々回の会見で一連の「かんぽの宿」問題で辞める理由はないといったが、考えは変わっていないか



西川社長 「変わらない」



―――― 全国総会の社長あいさつで業務委託契約の長期化を検討すると言った。具体的に今年度内の契約延長はどうするのか。また金融2社の上場後の業務への影響は



西川社長 「いつ延長契約をするのかということだが、両社の話し合いでいつでもできる。金融2社が株式を公開した場合、契約が移行期間10年間を過ぎれば切れてしまうのではないかと懸念する向きがあるので、あえて、そういうことはないと申し上げた。契約延長を慌てる必要はない。適切なタイミングで延期契約をすればいい。なぜそうかというと、ゆうちょ銀行の貯金残高のうち9割以上は郵便局会社によるものだからだ。かんぽ生命保険の個人契約も、ほぼ100%が郵便局会社が獲得した契約だ」



「金融2社はやはり郵便局会社との自由委託関係なくしては成り立たないビジネスモデル。完全民営化後も金融2社にとって郵便局会社との業務委託契約は必要不可欠。そういう意味で事業展開を縛る可能性はないのかということだが、銀行にとっての資金源、かんぽ生命の個人契約についてはどうしても郵便局に依存をしていかなければならない」



「一方において銀行や保険の運用面では全く別。直接関係なく運用展開をしていくから、完全に縛られているわけではない。持ちつ持たれつだ。国民においても、金融排除がおきてはいけないということ。年金の受け取り口座が開けないことになっては非常にまずい。郵便局ネットワークを利用できるということで、このネットワークの維持に努めなくてはならない」



―――― 第三種郵便での社員逮捕に責任をどう感じる



西川社長 「日本郵政グループの郵便事業会社のことであるから、私が直接その問題に介入する、あるいは直接指揮を執ることはないが、やはりグループ会社の持ち株会社のトップとして国民の皆様、一般の利用者の皆様に大変申し訳ない事態で、私も大きな責任を感じている。従って再発防止策を徹底し、実効があがるようにしていくことがまず最も重要なこと。この点については私もよく見ていきたい」



―――― 総務相が「かんぽの宿は不正はないが、正義にもとると」発言したが



西川社長 「正義・不正義というと広い概念だが、われわれも正義にもとるということをやったという認識はない。ただ、途中で9月ごろから世界的な金融危機が発生し、資金調達難や不動産価格の大きな下落も起きて、当初のプロジェクトを開始したときに比べれば状況は大きく変わった。われわれとしても十分満足のいく譲渡価格になっていなかったのは事実。環境変化が大きかった。見方はいろいろあると思うが、不正義ということではないと思っている」



―――― 去年の5月から新規業務を立ち上げてきた。進捗(しんちょく)を総括すると



西川社長 「新規業務を立ち上げているが、ようやくクレジットカード事業にJCBカードが加わった。大体、当初もくろんだ月間ベースでの契約枚数に到達してきた。一方、ゆうちょ銀行で住宅ローンの媒介はいまひとつ伸び悩んでいる。変額年金も保険会社の方が運用難で取り扱いをやめるという事態になってきているという事情もあるが、いまひとつ伸び悩んでいる。全般として、まだまだこれからだ」



―――― 当初打ち出した承継計画と比較すると、グループ全体の進展が遅れている



西川社長 「承継計画を作成したのは現在とまったく違う環境下。この承継計画の数字と実績値を比較してどうなんだといわれても、前提条件が相当違っている。数字については乖離(かいり)があってもやむを得ないのではないかと思っている。民営化がスタートする企画準備会社の段階で、ほとんど参考になる数値もないまま作成している。言い訳じゃないが、ちょっとこれと現在の状況は大きく違うんじゃないか」



―――― 辞める理由はないと繰り返すが、留任するに当たっての決意を



西川社長 「民営化というたいへん大きなプロジェクトに指名されて、日本郵政の社長に就任した。まだまだ道半ば。私としては、一定のところまでとにかくやらなければ、民営化のしっかりとした土台も築けない。ここまできたな、まあ築けたなというところまで早く到達できるようにしなければ。途中で投げ出すわけにはいかない。責任感から来ている。個人的感情は違って、『こんなにしんどい仕事を何でそんなに』といわれれば、それもそうかなと思うが、手を付けてやり出した以上は一定のところまで到達しなければ。次には、当然立派な方が来られると思うが、準備企画会社からいえば2年半くらい。その間、一定の経験を積んできているので、そういう人間が一定のところまでは持っていく、到達できるところまで持っていくのが私に課せられた責任ではないか」



―――― 総務相へ理解を求めるためにも、コミュニケーションが必要では



西川社長 「それはもう必要に応じてやらなきゃならないことだと強く感じているが、なかなかタイミングがつかめない状況かと」



―――― 一定のところというのは、金融2社の上場や中期経営計画の策定のことか



西川社長 「当初のもくろみとしては来年後半から再来年初めの上場。金融2社、できれば日本郵政も上場をしていこうと考えてきている。昨年の秋以降、大きく社会情勢が変わっているのは事実だが、いつまでも続くわけではなく、おそらく数カ月のうちにだいたいのメドがついてくる。いつまでも落ち続けることはない。反転の見通しが出てくるのもそう遠くない。私の考えとしては、上場というものを果たせればそれに越したことはないが、上場できる準備ができる状態に早くもっていきたい。これが一つのメドになるんじゃないか」



―――― 国会でクレジットカードの業務で出身母体の三井住友グループを優遇しているといわれるが



西川社長 「クレジットカードで十分に認識されていない点がある。公社時代までのカードは共用カード。クレジット部分は公社ではやっていない。やっているのはカード会社だ。カード会社がカード部分を担っていて、郵政としては決済部分を担っているだけ。キャッシュカードと同じ。クレジットカードとしては初めての業務。そのなかで企画コンペをやって、三井住友カードとJCBを選んだ」



「JCBの方が先方の事情で遅れてスタートということになって、1社だけ先行したという結果になった。ようやくJCBも始めてくれ、契約件数も増えてきた。別に私が三井住友グループを意図的に誘導しているわけでも何でもなくて、それぞれの業界における大手から提携先を選んでいる。私としてはそういうことを言われるのは心外。業界における地位も低いところから企画コンペで選んだならおかしいが、優れたところがあってそれを評価して選んでいるだけのことで、はじめから意図したものでは決してない」



―――― コンプライアンス(法令順守)強化の進捗(しんちょく)状況は



西川社長 「コンプライアンス、ガバナンス(企業統治)についてはいろいろな機会をとらえて徹底しようと強く言って、かなり改善した。これはいろいろなところで証明できる。ただ、定量第三種郵便の話であるとか、郵便局会社、ゆうちょ銀などで起こる犯罪など、ずいぶん減少はしたが、まだ少しある。さらに徹底していかなくてはならない。ガバナンスについては、まだまだ組織的に弱い面があるが、皆が気を配って、こういうことのないように大きなミスや犯罪が起きないようにさらに努力をしてもらう」



―――― 中期経営計画策定のメドは



西川社長 「上場も展望して、今期の第3四半期(10~12月)までに公表できるようにもっていかなきゃならないと考えている。かなり幅広く見直しをしなければいけない事態が起きたが、大きな変化がずっと続くわけじゃない。ある程度のところで見極め、割り切るところは割り切って、しっかりした計画をできるだけ早く策定したい」

この内容を見る限り信念を持って郵政民営化に取り組んでおり、使命感から仕事を全うしようとする姿勢が窺えるであろう。


ハズレ社会人-西川社長


そしてその手腕も徐々に成果として表れようとしている。

[日経]日本郵政、純利益4200億円 09年3月期  日本郵政の2009年3月期決算は、連結純利益が4200億円程度になったもようだ。08年後半以降に金融資本市場が混乱したことを受け、傘下のゆうちょ銀行などの資産運用が悪化。景気の急激な落ち込みの影響で郵便事業の利益も伸び悩み、昨年11月時点の見通し(4600億円)を下回った。22日に西川善文社長が記者会見し、決算を発表する。
ゆうちょ銀行の純利益は2300億円程度になったもようで、従来予想に届かなかった。ただ、民間銀行が株安による減損処理の拡大で軒並み最終赤字に転落する中で、国債を中心とした運用が奏功。個人が資産運用で安全志向を高め、年度後半から貯金の流出に歯止めがかかったこともあり、相対的に底堅い決算となったようだ。

マスコミでは予想を下回ることをオーバーに強調しているが、このご時世で純利益首位のNTTグループに次ぐ規模になのだ。


しかも規模だけではない。事業ごとの収益構造を見ても米国発の金融危機に端を発した世界的な景気悪化が進む中で非常に健闘しているのだ。


まずゆうちょ銀行は、民間銀行が株安により減損処理の拡大で軒並み大幅な最終赤字に転落する中で国債を中心とした手堅い運用が奏功した。


預金残高の減少傾向も落ち着き始めたことで純利益は2300億円前後の見込みとなりこの規模での比較において圧倒的な収益力を魅せつけた。


かんぽ生命保険においても新規契約が民営化直後の低迷から回復していることで底堅い決算となっているのだ。


さらに郵便局会社は年度途中に受託手数料を引き上げた効果により従来予想(450億円)に近い利益水準を確保しているとのことだ。


最後に中間決算では赤字だった郵便事業会社(日本郵便)であるが冊子小包「ゆうメール」の取り扱いが好調となり通期はなんと黒字の模様なのだ。


この決算内容を見ても民営化の陣頭指揮をとっている西川体制に何ら落ち度はない。むしろこれまで旧郵政官僚は何をやっていたのだろうか。


おそらく西川社長が続投となれば民営化を加速するだろう。


つまり現在いろいろ難癖をつけてほざいている国会議員こそが既得権益確保のために官僚とつるんでいるであろうと考えられる。


参考:西川社長の続投を支持 日本郵政の指名委員会が鳩山総務相に「NO」 非常識なのは族議員と官僚では


それにしてもマスコミの会見での偏見ある質問もそうなのだが日本郵政に関する決算における報じられ方も全く腑に落ちない。


もっと是々非々で取り組む姿勢が必要だ。でなければ既存メディアは衰退していくだろう。もう護送船団方式は限界なのだから。

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