『エモーショナル・デザイン』 ドナルド・A・ノーマン | 創見は難く、模倣は易し。

創見は難く、模倣は易し。

と言いつつ、今は模倣中。

創見を夢見る大学生です。

更新がだいぶん、というかかなり、滞ってました。


思えばもう5月の後半。

はやいな。


大学院もあっという間に終わってしまいそう。

毎日無駄にせず、「今日はOOをやった!」と思ってから寝たいものだ。



今日紹介する本は、

『エモーショナル・デザイン 微笑を誘うモノたちのために』 ドナルド・A・ノーマン著


エモーショナル・デザイン―微笑を誘うモノたちのために/ドナルド・A. ノーマン
¥3,045
Amazon.co.jp

この本は、人間の認知と情動を科学的に理解することが、製品のデザインにどのような影響を与えるか、という研究成果である。


分かりやすく言えば、

・デザインって何?

・人間って何?

を細かく切り分けていき、それを総合的に組み合わせることで、

人間にとって心地よいデザインになるでしょう、ということ。


デザインとは、

本能レベル、行動レベル、情動レベル

の3つに分けることができる。


本能→みかけのデザイン、美しさ
行動→使うときの喜びと実用性

情動→上2つ以外の魅力


デザインといえば、上2つについて思い浮かべがちである。しかし、

キーとなるのは、情動レベルでのデザイン。

例えば、シャネルのバッグを持っている人は、見かけの美しさや使いやすさ以上の価値を実感しているはずだ。

それも含めてデザイン。


本能レベル
 ・何かを「かわいい」と思うとき、その判断は本能レベルから来る。デザインの世界では、「かわいい」は一般に、つまらない、平凡で、深みも内容もないものとして非難される。デザイナーは、想像力に富み、独創的で、深みがあると思われたいので、内省レベルで本能レベルの魅力を否定している。


 ・大人は、基本的で生物学的に組み込まれた好みをはるかに超える経験を追い求める。(苦いものを食べたり飲んだりすることを、好きになる=獲得性嗜好)しかし、一方で本能的なデザインの基調をなす原則は、人類や文化を超えて不変である。もしこれらのルールにそってデザインしたなら、必ず魅力的なものになる。たとえば、車のドアが頑丈だと感じる分厚い音、ハーレーダビッドソンの強力な轟音、ジャガー・ロードスターのような流線型でセクシーなフォルム。そう、人は官能的な曲線、滑らかな表面、どっしりと手応えのあるものが好きなのである。


行動デザイン
 ・大事なのは、機能、わかりやすさ、使いやすさ、物理的な感触、という行動デザインにおける四要素。


 ・良い行動デザインは、人間中心である。実際に利用する人のニーズを理解し、ニーズを満たすことに焦点を合わせたものでなければならない。ニーズを見つける1番の方法は、製品が自然に用いられているところを観察すること。フォーカスグループ、アンケート、意識調査は、行動を知るための良い方法ではない。自然に用いられるはずの使用場面とかけ離れているからである。


内省デザイン
 ・高級品、レア物、限定品は、内省レベル。スコッチウィスキーの値段を上げて売り上げが増す、レストランの予約を取りにくくしたり、クラブに入会しにくくしたりすると価値が増す。これらは内省レベルの策略である。




他にも読んで感動したところはたくさんあるのですが、

長々書くと疲れそう・・・。


ちょこちょこ気になったとこだけ、メモから抜粋。


 ・集中と創造性
   集中しているときは視野が狭く、リラックスしているときは創造的である。
   また、パニックになっているときに有効なデザインがある。消防法により定められているパニックハードウェアというもの。
   ホールのドアは外側に開かなければならない。ドアを体で押せば、いつでも開かなければならない。同様に、出口の会談のデザインは、1階から直接地下へ行けないようになっている。そうでないと、階段を使って火災から避難する人が1階を見失い、地下まで降りてしまう可能性があるから

 ・言語とは、それを使う人々がデザインしたもの
   かたいイメージの言葉には、例えば「KATAI」のK、Tなどの子音が用いられ、柔らかいイメージの言葉には、例えば「MARUI」などの、柔らかな子音が用いられている。こういった、予め組み込まれた機構が、人やものとのインタラクションや日常生活に不可欠。デザインは、言語のように、機構にマッチしたものがよい


おもしろさと喜びのためのデザイン
 ・人間は、見慣れたものには注意を払わなくなりやすい。何人かのデザイナーは、いつも見ていても情動的なインパクトが低減してしまわないように、美しい景色を隠すよう提案した。→禅窓。 美しい景色は、制限されているからこそ、永遠に生き生きとし続ける。という僧侶考え方

 ・しかし、もし僧侶が景色を見、聞き、分析するかを学んでいたら、隠す必要はなかったかもしれない。自然は絶えず変化していて、魅力的

 ・結論はふたつ。ひとつは、そういう対象は豊かで複雑でなければならず、要素の間のインタラクションが尽きることはない。二つに、見る人がそのような豊かなインタラクションを学んだり、分析したり、考えたりする時間をとれなくてはならない。でないと、その対象はありきたりなものになってしまう。何かが生涯にわたる喜びを与えるためには、二つの構成要素が必要。強力で豊かな経験を与えるデザイナーのスキルと、受け手のスキル

 ・持続的な魅力は、誘惑、関係、充足という三つのステップが基本。情動的な期待をもたせ、継続的にその期待に応え、忘れられない経験として終わらせる。


情動的なシステム
 ・多くの機械はここの構成要素が壊れても機能するようにデザインされている。航空機や原子炉など安全が求められるシステムにとっては大変重要であり、社会にとって重要なインフラ(病院など)のシステムにとっても非常に価値がある。
 構成要素の故障は本能レベルで感知され、注意が喚起されるべきものである。つまり、システムが「不安」になるということ。不安が増大すると用心深く行動するようになり、あまり重要でない仕事は後回しにしたりする。不安の原因を取り除く間は、通常の行動を何か変える必要がある
 動物も人間も予測のつかないダイナミックな世界で生き残るための高度化されたメカニズムを、感情による判断や評価と、全体的なシステムを調整する方法とを結びつけながら発達してきた。その結果、頑健さが増し、間違いに対する耐性も強くなった。人口システムも、このような実例から学ぶのが賢明



また近いうちに更新します。

最近学びの場所が増えたので、ここに書けることも増えた! いいことだ。