おはようございます。

 

精神科医おすなり こと 平山雄也 です。

 

 

 

昨日は

 

僕がもう15年ほどあこがれ続けている

 

精神科医 神田橋譲治 先生の

 

陪席(すぐ近くで診察を見ること)

 

をさせて頂いたので

 

そこで見聞きしたこと

 

感じたこと、考えたことを

 

書き殴っていきたいと思います。

 

 

神田橋先生は僕の母校である

 

九州大学出身の精神科医で

 

Wikipediaでは「精神療法の達人として知られる」

 

と紹介されている先生です(^^)

 

精神分析を学ばれた後

 

「医療はサービス業」との信念の元

 

患者さんに役に立つと感じられたものは

 

何でも取り入れられ

ホメオパシー、バッチフラワーレメディ、気功、整体、サプリメント、Oリングテストなどなど。最近はご自身で編み出した気功を患者さんに教えていらっしゃいます。

 

「科学的じゃない」という批判に対し

 

「科学的というのは科学的でしかないということ」

 

といった皮肉で返される

 

かなり感覚派な先生です。

賛否両論、好き嫌いが分かれますが(笑)

 

多くの著作がありますが

 

この「コツ三部作」

 

精神療法面接のコツ 精神療法面接のコツ
3,240円
Amazon

 

 

 

が最も有名なのではと思います。

 

 

僕はこの中でも「養生のコツ」が一番好きです。

 

この本は患者さん向けに書かれた本ですが

 

メンタルヘルス、いや、人間に興味のある方なら

 

どなたでも読んで損はない本だと思います。

 

 

ものすごく平たく言うと

 

この本には

 

「自分の気持ちいい」を大事にしましょう

 

と書かれています。

 

 

僕がこの本を始めて読んだのは

 

まだ医学部にも入っていない時で

 

対人緊張がかなり残っていて

 

この本に書いてあるように

 

自分の「気持ちいい」の感覚を開発したり

 

気功をしたりと

 

していたことを思い出しました。

 

 

そして僕が今患者さん達に伝えていることも

 

結局この本に書かれているようなこと

 

なんだなと思うと

 

色々とやってきましたが

 

僕は

 

三蔵法師の手の上で走り回る孫悟空

 

みたいなものだと感じ

 

それはそれで

 

なんだか安心して、嬉しくなる自分がいます。

 

 

アマゾンに載っていた「まえがき」に

 

改めて感動したので

 

少し長いですが

 

引用させて頂きたいと思います。

 

***

治療とは結局のところ、生物としての自然治癒力を助けているだけであり、患者自身が自分の内にある自然治癒力と協力し、同時に専門家の助力と協力してゆくことが大切だ、と思ったからです。

 

どのような治療でも、患者自身の養生がまず基本にあり、専門家の治療はそれに協力するかたちになるのが正しい、と思うようになったのです。

 

精神科の治療の現場には、確かなことがとっても少ないのです。ですから、すべての患者に向かって「こうしたらいいですよ」と助言することなどできないのです。精神科治療の実際は、一人ひとりの患者その人に合う治療や養生を探してゆく、手探りの作業なのです。

 

「多くの患者に役立った」とは、すべての患者に役立ったわけではないという意味です。ですから、この本を読んでくださっているあなたに役立つかどうかを、ちょっと試してみて決めてください。

 

(旧版「まえがき」より抜粋

改行はおすなりによる)

***

 

 

***

養生法や助言を皆さんが試行されるうちに、一人ひとりが、自分に合ったやり方を思いつかれて、自己流が生まれますようにと工夫しました。工夫しているとき、気づきがありました。それは、この本での「養生のコツ」の基底にあるのは、「原始生命体の機能を呼び戻しましょう」との呼びかけであるとの気づきです。

 

精神科治療学が医学の他の分野にくらべて遅れているのは、動物実験で代用できる部分が少ないせいです。精神の病は、動物であるヒト種の病ではない、人間の病だからです。その理由は、わたくしたちはヒトではなく、内側に文化を組み込んでいる人間というありようであり、そのありようを脱することはできないからなのです。

 

いま必要なのは、他の生物と同じようにもっている、原始生命体の機能を呼び戻し、それと、進化が生み出した人間というありようとの和解を図ることです。昨今、哲学の分野からその作業が進められているようです。わたくしは病と養生の現場で同じ作業を試みているのでしょう。

 

(「改訂版のまえがき」より抜粋

改行はおすなりによる)

***

 

読めば読むほどいい文ばかり。

本文はもっともっと簡単に書かれています。

 

少し長くなりましたので

 

陪席のことはまた今度書きたいと思います。