幼妻日記 -196ページ目
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らくらくフォンの誘惑


妻は視力が弱い。

中学生からのコンタクトレンズ使用者。
高校の頃まではたしか0.1くらいはあったので、今考えると無謀だが外を歩くのにメガネもコンタクトもしないこともあった・・・。

ある時、横断歩道の真ん中に大きめの落とし物があるので、(何だろう?)とグングン歩いて近づき、しゃがんで覗き込んだ。
「ギャッ!!」
車にはねられたネコの死骸だった。

信号待ちで停まっていた車の人達から見ると、制服の女子高生が死んでるネコに向かってまっしぐらに近づき、勝手に腰を抜かしているわけだから、かなり不思議な図柄だっただろうと今振り返る。

現在では0.03程度、とても裸眼で外に出られる状況ではない。
メガネも乱視矯正が入ると頭がクラクラするのでそう強い度数にはしていないため、かろうじて室内で生活ができる程度。


旦那様も視力が弱い。

角膜の持病もあるため、コンタクト歴30年以上。人生の半分以上はコンタクトをしているらしい。

しかもメガネは使用しない(完全な矯正は無理)。

自宅でコンタクトを外した後の夫婦の動きはかなり妖しい。
なにせ夫婦4つの目の視力を全部合計してみても「0.2」たらずだ。
モグラか?

そんな旦那様の携帯電話、古くなったし、パケット通信料が毎月オーバーなので機種変更のためNTTのドコモを訪れた。

二人でこういう所に行くと、夫婦と思ってもらえない事の方が多い。しかし今回の妻は自信があった。
「よかったね。すでに家族割引を利用してるから結婚指輪をわざとらしく見せなくても誤解されないよ」順番待ちの間、明るく話す妻に旦那様はポツリ、

「でも、親子と思われるかも・・・」

(そっか、親子も家族割引なんだ・・・)
確かに、旅行を申し込む時、同じ姓で同じ住所を記入しても「ご一緒のお部屋でよろしいですか?」って必ず聞かれるんだよね。

順番がきて窓口に。
必要以上に「主人の携帯が・・・」「主人は目が悪くて・・・」の「主人」のところで音量が上がる妻。
「見やすい画面のものを」と相談すると、勧められたのが「らくらくフォン」。

コマーシャルで「おじいさん、おばあさん」がでてくる高齢者向きのシンプルな機種。

夫婦は悩んだ。

目のためには確かに見やすい方がいいのだが、孫と話すわけじゃーなし、
「50代半ば、子どもなし、孫なし、(若い?)妻あり」の身で「らくらくフォン」にしてよいのだろうか・・・。
うーん。



結局
「一度『らくらく』にしたら、きっと『普通フォン』へは戻れないわよ」という妻の囁きで旦那様は踏みとどまり、今回まではFOMAの中でも比較的字の見やすい機種にしたのだった。

らくらくフォンの世界へ足を踏み入れる平均年齢ってどのくらいだろうか?

DVD2:無駄足

(DVD1からつづく)
同じリージョン2でも、ヨーロッパと日本では映像信号が異なるのでドイツのこのディスクを我が家の新しいDVDプレーヤーで観ることはできないということが親切な友人達の調べで判明しました。

ええ、実はこの情報をもらう前、プレーヤーを購入した某家電量販店へ再度行ってきたのです。

その時の様子をご紹介しましょう。



売場担当者に「このDVDを観るためにソニーのプレーヤー買ったんですけど観れません」と告げると、彼は「うーんなぜだろう」と首をかしげながら他のメーカーのプレーヤーにディスクを挿入しました。

店内にはいくつものプレーヤーと棚の最上段にはそれらと接続したディスプレイ画面がならんでいます。

他の機種なら映るのか試しているのでしょう。

最初のプレーヤーに入れてから、数ある中でもプレーヤーと同じ番号のついた画面をジッと見つめます。

その時点で実際に地上波で放送されている番組の画面の右上に小さく「ディスクを読み込んでいます」との表示、「おおっ、もしや・・・」と思いましたが、しばらくすると同じく右上に「このディスクは再生できません」とでました。

次のプレーヤーに入れ替え、その接続画面を二人見つめます。

丁度2時で地上波の番組が新しく始まったようです。
タイトルは「養子探偵団・人妻ヌードモデルの秘密」

いやな予感がしました。だって、画面に何か黒い小さな点や線がはしり、音声ものびたテープのように「わわおおおおーん」って変です。
かろじてカラーになったばかりの頃かと察する時代物。
地方の局は時々こういう安上がりなこと思い切ってします。

なんと、出演者の紹介の最初が「若い」フランキー堺!
ドラマの山場らしき場面が静止され、そこに他の配役の名前がでるのですが、ご想像の通り、上半身ヌードの女性が横たわって脚を上へバレリーナ状態。そこに、横山ノックだの、あべ静江だのと文字が重なっていくわけです。

ヨーロッパの街並みを待ちわびる妻と、汗をかいている様子の販売員の二人は無言でその脚をお広げになっている女優さんを見つめていなければならないのでした。

おそらく十秒か二十秒のことだったのでしょうが、こういう時はそれが一分にも二分にも思えるものです。

妻は(ここって笑ったほうがいいのかな、知らんぷりしたほうがいいのかな)と悩みながら、固まるしかなかったのです・・・。

そんな苦労をしたにもかかわらず、結果はどの機種に入れても「再生できません」とのこと。

結局、変な画面を観るために来たようなもんだ、と落胆もひとしおでした。


(今回のプレーヤー買う前に、ドイツから送られてきたDVDなんだけど観れますか、って聞いたのも同じ担当者で、リージョン2なら大丈夫という答えだったンだけど、売場専門の係にしては知識不足なんじゃないかしらね)

DVD1:モンシロチョウの交尾

妻:「あーーーん、ちがう!ちがう!私が見たいのはこんなDVDじゃないよーー!」

旦那様:「でもね、これもおもしろいよ。ほら、ちゃんと映倫の審査を受けた岩波の映画なんだよ」

妻:「ちがうよー、ちがう! おもしろくないっ・・・」




高校の時ステイしていたドイツのホストファミリーとは毎年誕生日やクリスマスに小さなプレゼントのやり取りが続いている妻。
昨年のクリスマスには、ステイ先の「市の紹介DVD」が送られてきた。
おそらく来年あたりに夫婦で訪独できるかもというメールのやり取りから先方が気を利かせて送ってくれたDVD、私もなつかしいあの町を映像で観たい・・・。

しかし

テレビやビデオを娯楽として利用する頻度が低い夫婦は、市場経済の動きとして「次世代光ディスク」で HDとブルーレイのどっちが優勢かという将来の話に興味はあっても、現代生活において人々が普通に使用している DVDは自分達にあまり関係ないものと受け止めてくらしていた。

よって自宅にDVDプレーヤーはない。パソコンもDVD対応ではない。超アナログだ。

たしか、愛車クロちゃんことEクラスを購入する時、限定車ならではというアメリカ製のステレオシステムが付いてて「DVDで映画観ると音が最高ですよー」と担当者が興奮していたのを思い出す。ならば車内で観ることができるのでは・・・。

結果、再生ボタンを押すと「このディスクは読み込めません」とあっさり却下。

友人によると、海外のものでも日本のコード?region2であれば普通のプレーヤーで観れるはずとのこと。ちゃんとregion2ってかいてある。ならば、たまたまクロちゃんのプレーヤーと相性が悪かったに違いない。この際、いい機会だからDVDプレーヤーを買ってしまおう!

ちょうど新しい冷蔵庫を購入すると決めていたので、ついでに「田村正和」と入力すればその関係の番組を自動的にハードに落としてくれるらしいソニーの「スゴ録」を購入。

電気店の配送部が来て設置していった。

そして、いよいよ「市の紹介DVD」を入れ「再生」ボタンを!!


画面には


「このディスクは再生できません」



がーーん、
このディスクを観たいだけのために買ったプレーヤーなのに、なんでだーーー。



うなだれる妻をなだめようと思ったのか、旦那様は「そうだ、僕もDVD持ってる」と自分の部屋から未開封のDVDボックスを運んでくる。

タイトル『たのしい科学教育映画シリーズ・生物編』

妻:「・・・」(沈黙)
旦那様:「ほら、他のDVDなら映るかどうかをチェックしないとね。入れてみて」

妻:(仕方なくディスクを入れ替え、トップメニューを出す)

ビデオと違って、各項目の頭出しが簡単というのがDVDの売りらしいが、妻が生まれて初めてみた「メニュー画面」は次のとおり

1.もんしろちょう-行動の実験的観察-
2.メダカの卵
3.生命の発生Ⅰ
4.生命の発生Ⅱ
5.海苔の話

こっこんなの、こんなの観たくて買ったんじゃないよーー。
旦那様:「いやー(ニコニコ)、買っておいてよかったな、1の『もんしろちょう』にして」

雄のもんしろ蝶がどうやって雌を見分けるかという実験、くり返されるモンシロチョウ蝶の交尾・・・
知人の出版関係者がふるーい教育映画をDVDにして発売したという

沈む妻、輝く旦那様の瞳。

「じゃ、5の『海苔の話』は?」

妻がききたかったのは、ドイツ語の懐かしい響きであって、玉音放送かと思うような音質での古いナレーションではない!

妻が観たかったのは、あの懐かしいヨーロッパの街並みであって、浜辺で海苔を広げる漁民達の白黒映像ではない!


ちがうっ!
ちがうよーー!
暴れる妻だった。

つづく

妻の入浴

幼妻はお風呂が苦手である。なぜかというと泳げないから。

十代のうら若き頃、大人の「おにいさん」とよくドライブへ行った。
妻の故郷は海に囲まれていたので、ちょっと車をとめて話したり、ジュース飲む場所が岸壁だったりするから困った。

海に向かって車をとめられるだけで(このままサイドブレーキ外れて海に突っ込むのではないか・・・)とヒヤヒヤした。
かといって、この容姿で「わたし、水がこわいの~」などと体をくねらせても、ちっとも似合わないという自覚だけはしっかりと持っていたため、めっきり口数も減り不自然におとなしくなった少女は「おにいさん」から見ると(これから何か始まるのではないか)と緊張しているように誤解され、それはそれで大変だった、という思い出もある。

さて、
風呂で泳ぐ必要はないのだが、そもそも水が顔面の近くにくることが怖いのだ。未だに息継ぎの仕方がよくわからない。

だからメイク落としの洗顔をした直後の幼妻は、まるで、50円賭けて息止め競争をし、勝ったはいいけどそのあと給食の牛乳をもどしそうになった小学生のように、苦痛に満ち満ちている。

これが洗髪まで伴うお風呂タイムとあらば、湯上がりの妻は顔面蒼白で瀕死に近い。
「帰ってきたー!」とフラフラと駆け寄る幼妻、「よし、よくやった」と褒めている旦那様の姿は毎度のことながら(別の意味で)悩ましい。

メモのとり方

複数の友人にCcでメール出したら、そのうちの一人から質問がきました。
> 「鈴木(仮名)新」の「新」って何?

私は驚きました。だって、なんで送信した人が「鈴木新」をみれるの?
あれは私のPCの宛先一覧の中で私が勝手に付けた相手の名前ではないの?
鈴木さんは最近新しいアドレスを増やして、そっちの方が頻繁にチェックするからと言うので宛先一覧に追加しといたんだけど。

じゃ、何?
「いじ・かおる」さんの名前を入力しようとして、「意地悪」がでたけどめんどくさいからそのままアドレス入力して出していたメールは、相手にばれてたの?
いつもあだ名で呼んでるから姓が出てこなかったスキンヘッドのおじさんを「つるっぱ」って入れてたのも、ばればれなわけ?

あー、これにより、あの忌まわしい夏の記憶がよみがえる。

あれは卒業大学の同業関係者が毎年七月に集うセミナーでのこと、
一応全員付けているネームタグは文字が小さいし、どの会社・機関の人なのかわかった上で話を聞いたり応答したりするほうが好ましいと思うし、のちに思い出すのに便利だからと、私は自己紹介している人の特徴を簡潔に出席者名簿上に小さく書き込んだのでありました。
お察しのとおり「せんだみつお」や「ひげづら」、「バーコード」「ヤクルトおばさん」等々。

さて、会も終わりにさしかかった最後の休憩の直後、
ない、ないのです、私の名簿。冊子に挟めて席を移動した時気づきました。

そして、司会者がマイクと何かの用紙を持ちました。
「どなたか、出席者名簿、落とされませんでしたかー?」
「えーっと、メモが・・・・(メモの内容に気づき、二倍に大きくなった瞳)ちょっと、いえ、いろいろ・・書いて・・・あります・・・」

隣でのぞき込む副議長。あーん、見ないでー。あー、回覧しないでー。

勿論、自分のものであると申し出る勇気はありませんでした。
その後、私のメモの取り方は変わったのでした。
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