二度あることは…野田新首相 | スペイン好きですか?

二度あることは…野田新首相

8月31日


 野田佳彦新総理の誕生は、ここスペインでも、写真入でそれなりに報道されました。一流日刊紙「エル・パイ-ス」では、少なくとも「なでしこJAPAN」よりは大きな扱いです。
 北京の特派員が書いたもので、円高の進む要因、国債の債務残高の内容にも精通しておらず、読み飛ばせばいいのですが、これで日本が変わるという論調ではなく、財務大臣出身だが、日本は膨大な借金を抱え、ムーディーズには国債の格下げをされるなど、大変な状況にあるが、野田首相にはカリスマ性がなく地味で、この5年間で6人目(自民党政権を含め)の総理大臣という風に、自国の財務状況など棚に上げ、揶揄する内容です。


 党の役員人事が次々と固まっていますが、野党との協調を最優先する野田政権にとって、前原氏の政調会長就任はまさに適材適所だと思います。野党、自民党や公明党にとっても受け入れやすいでしょう。
 ところが、完全な小沢元代表への配慮からですが、幹事長に輿石氏を持ってきたことで、せっかくの人事が霞んでしまいました。


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民主党新幹事長に決まった輿石東氏


 常識的には、総理大臣の職務に専念する意味からも、党の幹事長は自らの腹心か、野田陣営から選ぶべきです。例えば、岡田氏の留任か玄葉氏を政調会長から一段上げるとか。
 輿石氏は小沢元代表に最も近い、同じ穴の狢(むじな)です。幹事長就任の不文律とされる、衆議院議員でないことは別にしても、マニフェスト堅持で野党との協調には距離を置き、小沢氏の党員資格停止処分も撤回しかねません。
 それに、野田新総理もたいがい地味ですが、この人はその二乗です。葬式に参列するのが一番似合う感じです。
 本人は幹事長就任を固辞したと言っていますが、とんでもない話しです。ちょっと間をおくなど、体裁は作りましたが、完全に出来レースです。待ってましたとばかり、嬉々として受け入れれば、事前に話し合いが出来ていたと思われるので、一応はびっくりしたというカモフラージュです。
 昨日は、挙党かどうかは役員構成を見れば分かるなどと発言し、やる気満々でした。
 TVに映った時の、喜びを隠し切れない表情がすべてを物語っています。
 挙党一致、ノーサイドを期待した小沢グループにとって、これ以上のポストは望めませんから、元々断る理由がありません。
 まぁ、野田さんの苦渋の選択だったとしても、幹事長代理に樽床伸二氏を据えたのは見識でした。

 

自民党の石破政調会長も、この人事には、前原氏は歓迎するも、「野党との協調を最優先に上げる野田体制が、言葉どおりにいくかの危惧を感じる」と不信感を顕にしています。
 国対委員長にも、鳩山政権で官房長官を務め、大阪出身で選挙対策のため、積極的に外国人に参政権を与えようとしている、平野博文氏が決まったようですが、この人もまたやることは一見派手ですが、絵に描いたような地味な性格で、存在感がまるでありません。


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平野博文新国対委員長


 地味が決して悪い訳ではありませんが、これでは、民主党という党名を返上して、自民党に対抗して「地味党」にした方が分かりやすいですね。いずれにしても、党内は完全に小沢―鳩山の傀儡です。


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閣内に残りそうな細野氏


 野田さんは本当にこの体制で2年間総理を続けるつもりでしょうか。
 同情はしますが、自らまいた種ですから、どのように育っても責任は本人にあります。
 周知のとおり、聖徳太子の「和をもって尊しとなす…」という言葉の「和」は、何かを成すための手段であって、目的ではありません。どうやら野田さんは、「和」「融和」を目的にしてしまったようです。
 輿石さんも、幹事長を受けた理由として「党内融和に全力を尽くす。この一点です」とTVのインタビューで述べています。民主党の幹事長ですから、党内を纏めれば良いのでしょうが、これでは国民不在の政治です。


 次いで閣僚人事ですが、陰に陽に猟官運動が盛んになっています。
 北沢前防衛大臣(総辞職したので<前>で良いでしょう)は、「2年間で3人目の総理を迎えるが、3度目の正直で野田新総理は適役…」とヨイショし、留任(再任)を狙っています。
 海江田氏は「ノーサイド」といった言葉を信じたいと、現職に未練たらたら、いじましさを見せています。野田さんは、重要閣僚に…と考えているようですが、それはやりすぎだと思います。やはり、最後まで戦った相手ですから、一定の「けじめ」を付けなければ禍根を残します。
 余り良くない考えですが、政治には信賞必罰が必要であり、論功行賞は実施しなければなりません。
 挙党、挙党と念仏のように、何もかも一緒くたにしてしまうと「庇を貸して母屋を取られる」ことにもなりかねません。
 玄葉さんは、その論功行賞で閣内に留まることは間違いないと見ているのでしょう。コメントの内容は面白みが無いので割愛しますが、余裕の発言でした。


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若さが売り物の玄葉光一郎氏


 鹿野さんも決選投票で反小沢に転じたわけですので、当確です。馬淵さんは、一説によると、決選投票になると海江田氏に回るという約束で、小沢グループから推薦人を借りたといいますから論外です。
 菅内閣からの再任組みには細野さんの名前が挙がっています。
 原発関連で実績を積んできており、また見栄えもするのですが、私は、あの「路チュー事件」が頭にあり賛成しかねます。
 内閣の要である官房長官には、野田さんの腹心城島氏の名前が挙がっているようですが、海千山千の連中には睨みが利きません。かと言って、前原氏を担いだ仙谷さんを持ってきたら大変ですが、ここは代表選の功労者、岡田氏にお願いしたいですね。


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重要閣僚での入閣が期待される岡田克己氏

昨日までは、野田さんの代表当選を、悪くはない選択と個人的には喜んでいたのですが、党役員人事を見て、期待感が薄れつつあります。組閣では、北沢さんの言う「三度目の正直」が「二度あることは三度ある」にならないように、流石というところを、しっかりと見せて欲しいものです。