米系シティバンク・インドネシアのクレジットカード利用客の男性が、同行が委託した債権取り立て業者らに殺害された事件について、中央銀行は26日、調査を終了し、シティバンクが債権回収に関する規定に違反していたとの結論に達したと発表した。中銀幹部は今週中に会合を開き、シティバンクに対する処置を決定する。改善がみられない場合、クレジットカードの発行免許を停止する可能性もあるという。ジャカルタ・グローブなどが報じた。
中銀の規定では、債権回収は銀行各行の責任で行うことが義務付けられているが、シティバンクは自行の責任を放棄していたと批判。債権回収は「債務不履行」または「債務不履行の疑い」がある場合にのみ第三者に委託することが認められているにもかかわらず、事件の被害者の債務はまだ返済可能な状況だったと指摘している。さらに債権取り立て業者の監視を怠っていたことについても非難した。
この事件は先月29日、債権取り立て業者らとの話し合いのため、シティバンク・インドネシア南ジャカルタ支店を訪れたカード利用者のイルゼンさんが、階段から突き落とされて後頭部を強く打ち死亡したもの。事件に関わったとして4人が逮捕された。容疑者らは、イルゼンさんに暴行を加えたことを認めていないものの、死体には顔などに殴られた跡があったという。
シティバンク・インドネシアの法人担当部長のディッタ氏は、中銀の勧告に従って改善に向けて全力を尽くすと説明している。
イルゼンさんの遺族は今月14日、シティバンクを相手取り3兆ルピア(約280億円)の損害賠償を請求する訴訟を中央ジャカルタ裁判所に起こしている。