The Romance Languages(翻訳)(4) | ポルトガル語学習のブログ

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あえてポルトガルのポルトガル語中心です。
言語学ネタも少しだけ。

名詞群
限定詞(冠詞および指示詞)、所有詞、数量詞は通常、名詞の前に
おかれますが、それに対して形容詞は、名詞の後におかれるのが
規範となっています。

todos estes livros novos「これらの新しい本すべて」

形容詞的に使われる所有詞は定冠詞と組み合わせて使われます。例えば、
o meu carro「私の車」
estes nossos livros「これらの私たちの本」

そして少なくともブラジルポルトガル語の話しことばでは、不定冠詞と
組み合わせた次のかたちは使われているか疑問です。
?um meu livro

[アスタリスク*が非文(実際には使われない形式)をあらわすのに対し、
?はそこまでは言い切れないにしても、ネイティブの直感ではふつうに
使えるのか疑問がある場合に付けられます。]


所有詞は、家族関係をあらわす場合には(とくに敬称の場合は)、
定冠詞なしで使うことができます。meu filho「私の息子」

ブラジルポルトガル語では、冠詞の省略はさらに一般的です。スペイン語や
イタリア語と同じように、名詞の前におかれた形容詞は、それと同じ形でも
名詞の後におかれた形容詞とは意味的に異なり、場合によっては別の
語彙項目であると考えるべきかもしれません。例えば、

uma simples bebida(=just a drink)
uma bebida simples(=a single (vs double) drink)

o maior escritor「偉大な著者」
o irmão maior「兄」

um grande livro「すぐれた本」
um livro grande「大きい本」

語彙的に差異がない場合でも、名詞の前に置かれた形容詞は、
とくに文語の形容詞句では、限定の意味が弱くなっています。
a branca neve「白い雪」
a fiel Penelope「忠実なるペネロペ」

逆に、名詞の後に置かれた所有詞um livro meu「私の本」
(多くの変種で、唯一許容される組合せは所有詞と不定冠詞です)、
noticias tuas「君のニュース」は、所有または起源の関係をきわだたせ、
それに伴って指示的な価値は少なくなっています。

テーマ化するために、形容詞を前置するという別の構造もあります。
o coitado do rapaz「かわいそうな少年」(cf.フランス語p.277-8)

定冠詞と不定冠詞との基本的なちがいは、英語と同じように、
指し示すものの明確性の問題です。ヨーロッパポルトガル語では、
目的語が複数、および主語NPが動詞の後に置かれた場合にのみ、
無冠詞となります。これは不定冠詞のケースと同じです。

vi homens na praia「私は海岸で男の人たちを見た」
alugam-se quartos「貸し部屋あり」(「部屋あります」)

または総称のgosto de mulheres brasileiras「ブラジル人女性が好き」
ブラジルポルトガル語では(とくにインフォーマルな文体では)、
無冠詞は他のタイプのNP(単数形の目的語、単数形および複数形の主語)
で総称を指し示すことができます。

gosto de mulher brasileira
「私はブラジル人女性が好き」

mulher brasileira canta bem
mulheres brasileiras cantam bem
「ブラジル人女性は歌がうまい」

(対してヨーロッパポルトガル語の用法では、定冠詞が必要です。
as mulheres brasileiras cantam bem, a mulher brasileira canta bem)

不定冠詞複数形は、少数の数を暗に意味します(とくに、無冠詞と比較すると)。
foi brincar com (uns) amigos「彼は何人かの友だちと遊びにいった」

これは不定冠詞の直示的な(通常は代名詞の)用法とは異なります。
uns (gatos) comiam, outros dormiam
「あるネコたちは食べていて、あるネコたちは寝ていた」