パナソニックの4ポッドの防御方法 | 井上正幸のブログ

井上正幸のブログ

8/7に著書3作目となる「ラグ戦入門編」が発売となりました。 「戦術初心者にでもわかりやすく」という今までにない難問を突きつけられ、何度も突き返されて生まれた書籍です。1人でも多くの皆様の手にとっていただけますと幸いです。 https://www.amazon.co.jp/dp/4862556930/

日本選手権における展望をパナソニックの戦術的視点から書いてみます。

パナソニックのテトラポッドは、9シェイプを連続させた4ポッド。グランド中央を3人一組でフォワードを2つのユニットを組み、両サイドにバックスとバックローを配置して、スタンドを空いてるサイドに移動して外側のポッドの攻撃方向を決定する。
攻撃側は防御ラインに接近して攻撃できる9シェイプでゲインラインの攻防を有利にして速いリサイクルを実現することで、防御側のポジショニングを間に合わなくすることを意図している。
防御側がレシーバーにプレッシャーをかけようと広がってポジショニングすれば9シェイプ、ブレイクダウン周囲を固めれば9シェイプをブロッカーにしてアウトサイド攻撃、過剰にフォールディングしてくれば、ポッドを利用して逆サイド攻撃と防御の意図に応じてオプションを選択できる戦術といえる。
裏を返せば、防御側は9シェイプでプレッシャーかけ、ゲインさせずにリサイクルを後らせることがどきれば、攻撃側の優位性は損なわれる。
テトラポッドは、9シェイプとアウトサイド攻撃がリンゲージしてるので、9シェイプにプレッシャーがかかると、それをブロッカーにして内側の防御側の足を止めて展開することができる。そのため、防御側はアンブレラDFを使い、外側へのパスを遮断する。
もし、ブロッカーとリンゲージしてるスタンドがアンブレラDFを警戒して深くポジショニングしてくれば、防御側はスライドに切り替えて対処する。

基本的にテトラポッドの9シェイプは逆目から順目の移動攻撃ではなく、ポッドなので、前で止めないと次の局面が不利になるということではない。重要なのはリサイクルを後らせるということ。
ゲインされるとブレイクダウンにプレッシャーをかけれなくなるが、ゲインされないようにタックルし、最小人数でブレイクダウンにプレッシャーをかけ、余裕をもってポジショニングすることで、特別な防御戦術を使わなくてもテトラポッドは止められる。
ここに来て、ようやくスキルレベルの話になってくるが、トップリーグの決勝では、パナソニックの堀江は9シェイプでボールのキャッチ前後にカットアウトをして外側の防御にコミットしてパスをすることで9シェイプでゲインし、防御を崩していた。また、サントリーの防御がブレイクダウン周囲に人数を割かずにレシーバーにプレッシャーをかけようとしている意図が見えたので、ハーフの田中が持ち出し、手薄になったインサイドを崩していた。
この2人がいないことが、日本選手権の戦いにどう影響するかも見所のひとつ。


ここには、キックの攻防におけるエリア戦略やセットプレイ、パナソニックの防御について触れていないので、そこでゲームの勝敗を決することも十分にある。
対サントリーでいえば、前半エリアを度外視して自陣深くからでも攻撃したために失トライしたことや、レシーバーにプレッシャーをかけるために、ブレイクダウン周囲に人数を割かずに意図的にポジショニングしたのを逆手に取られて、ブレイクダウン周囲をサントリーにピックで攻められ防御を崩されたりと問題が無いわけではないが、パナソニックの攻撃戦術を他チームがどのように防御すべきかについてだけ書いた。