――― 翔side

翔「キスは…いいよね?」


彼女は優しく微笑んで頷いた。

詩「うん。」


俺はその唇に自分の唇を優しく重ねた…。


その途端、体中に電気が走るように熱くなっていく…

キスが止められない…


それどころか…

キスだけじゃ止まりそうもない…


やっぱり、手が胸に落ちた…


あぁ…

でも、やっぱ…まずいかな…


俺はその手を離し、重ねていた唇も離した。


詩「翔くん…?」


詩織が不思議そうに見ている。


翔「ごめん…やっぱまずいよね…。」

詩「ふふ…

ううん、私の方こそごめん。

考えてみたら…

男の人がそういう状態になって、途中でやめるって…酷いよね。

手術から、随分我慢させちゃったし…。

いいよ…

そっとなら、きっと大丈夫だよ。」


マジで?!

それは嬉しい…けど、その言葉に甘えちゃって本当にいいのか?

この期に及んで不安に思えてくる。

詩織の身体に何かあったら…。


翔「そう…かな…。

運動に関しては何て言われてる?

例えばウィンタースポーツが出来るようになるとか言ってたけど、そういうのは…。」


詩「ああ、激しい運動は術後、半年経ってからだって。

軽い運動は1ヶ月後から徐々に…

あ!!」


詩織は突然起き上がった。


翔「何?」

詩「そう言えば、運動に関して資料を貰ってたよ。

細かーく何がいつ頃出来るようになるとか、色々なめやすが書いてあったの。」


詩織はそう言って立ち上がると灯りを点けて机の引き出しを開けた。

そんなのがあったんだ。


詩「あった!!

術後2週間後からストレッチを開始して、軽い運動は1ヶ月後から…。

水泳は水中ウォーキングで筋力を回復させてから…。」


詩織はブツブツ言いながらB5サイズの冊子を読み進め…。


詩「あ…そうだ…。

まだ読んでない所があった…。」

何かに気がついたかの様にページを捲り、最後の方の小さい文字がびっしり書かれている所を読み始めた。

詩「あー!

ここ!」


詩織は嬉しそうに資料の一部を指差して俺を見た。


翔「何?」

俺はその小さな文字を読んだ。


どうやら日常生活における注意事項の様だ。

そこには、朗報が書かれていた。


‘術後1ヶ月後 無理の無い姿勢で再開出来ます。’

と書かれている。


ヨシ!!


俺は嬉しくて詩織を見ると、詩織も少し恥ずかしそうに俺を見つめて微笑んでいた。


翔「大丈夫だね…。」

詩「うん…。」


俺達は即座にベッドに座ると、俺はそっと詩織をベッドに沈めた…。


翔「優しくするからね…。」

詩「うん…。」