性行為感染症(STD)とはセックスによって感染する病気の総称で、たった1回のセックスでも感染してしまう可能性があり、最も多いクラミジア感染症を始め、淋病、梅毒、HIV感染症、パピローマウイルス(HPV)感染症、一部のB型肝炎などがあります。

性行為感染症は、実は性行為をもつ人は誰でもかかりうるものなのです。特に思春期の女性は、生理的、行動的、社会的要因からSTDにかかるリスクが高く、複数の病原菌による感染が近年急激に増加傾向にあります。

また他の病原菌の感染があると、HIV感染が起こりやすくなります。子宮頸癌がHPVによるSTDとして位置づけられることも、まだあまり知られていません。

青年期に性行動の習慣が形成されてしまうと、10代の間も大人になってからも様々な病気の罹患率、死亡率に強く影響します。性行為開始の若年化により、子宮頸癌の発症年齢も低くなっています。

一般に、思春期の性行為 感染症(STD)の患者は友人間で共有されている価値観の影響や興味本位で性行為に至ることが多いですが、STDや妊娠に至る仕組みなどについては正確な知識に乏しいことがあります。

気軽に性行為をもつことの危険性、コンドームの使用など安全な性行為について教育を行うことが重要で、将来のSTDや望まない妊娠を予防することにつながります。

早期発見のため、性行為経験のある女性は子宮頸癌の定期的な検査が勧められます。また、喫煙で子宮頸癌の発生リスクが上昇するため禁煙も勧められます。危険な性行為を繰り返す患者には、クラミジア感染症、淋病、梅毒、HIV感染症の検査、B型肝炎のワクチンの接種も必要です。

治療に関しては、パートナーが特定できる場合はSTDの存在を知らせ、本人およびパートナーの治療がともに確実に終了するまでは性行為を持たないようにします。また再感染、症状の再発がみられたらすぐに受診も必要です。