前回の記事に対して、こういう話がしたいならソースも書いた方が良いという指摘があったので、プソラレン関連の記事についてのソースを出しておくことにしましょう。一週間近くも前なのでコメントした当人は多分もうこないでしょうけどね。
まずは、『遺伝子組み換えでない害虫に強いセロリ』で発疹などがおこったという話のソースから。
Nature’s chemicals and synthetic chemicals: Comparative toxicology
Proc. Nati. Acad. Sci. USA Vol. 87, pp. 7782-7786, October 1990 Medical Sciences
著者のBruce N. Ames教授はカリフォルニア大学バークレー校の教授で、このブログのお気に入りに入れてある発がん性物質についてのデータベース開設者の一人でもあります。実を言うと、この文献には問題のセロリが遺伝子組み換えでないとはどこにも書かれていないのですが、これが書かれた年自体が市場での販売を目的とした遺伝子組み換え作物が最初に開発される前ですので、それよりもさらに前に起こった事件のセロリが遺伝子組み換えなわけがないと判断しました。
まあ、遺伝子組み換え作物が売られるようになる前に書かれた論文で、わざわざ「このとき売られたセロリは遺伝子組み換えではない」とか書いたりはしませんよね。
次に、プソラレン+紫外線で紫外線だけの場合よりも強力な光老化が起こるという話。
Psoralen photoactivation promotes morphological and functional changes in fibroblasts in vitro reminiscent of cellular senescence
Journal of Cell Science 111, 759-767 (1998)
同じく、プソラレンを摂取してから紫外線に当たることでガンの危険性が高まるという話。
Malignant Melanoma in Patients Treated for Psoriasis with Methoxsalen (Psoralen) and Ultraviolet A Radiation (PUVA)
The New England Journal of Medicine VOLUME 336 APRIL 10, 1997
これは、乾癬の治療にプソラレンと紫外線をわざわざ使った場合についての論文ですから、普通のセロリに入っている程度のプソラレンと日光中の紫外線くらいでガンのリスクが上がるかどうかは分かりませんけどね。というか、私自身はたいして変わりゃしないと思っています。そうでなきゃ、前回『もうセロリは怖くて食べられない・・・という結論を導きたいわけじゃないんです』とわざわざ書いたりはしませんから。
それから、病気にかかったセロリではそのプソラレンなどの『フロクマリン類』の量が上昇していて、さわっただけでその後に紫外線に当たると酷い紅斑ができた、という話のソース。
Mechanism of photosensitivity reactions to diseased celery
BRITISH MEDICAL JOURNAL VOLUME 290 27 APRIL 1985
文献が多いんで書くのがちょっとしんどくなってきましたね。次は、前回取り上げた白血球がプソラレン+紫外線でやられてしまうという話のソースです。
Inactivation of leukocytes in platelet concentrates by photochemical treatment with psoralen plus UVA
Blood, Vol91, No 6 (March 15), 1998: pp 2180-2188
ちなみに、この論文の主旨は「プソラレン+紫外線で白血球がやられて免疫力が低下してしまうので危険」というものではなく、「プソラレン+紫外線で白血球を殺せるので、血小板製剤に混ざってしまった白血球(これが副作用を起こすらしいです)を殺してしまって血小板製剤の安全性を高くすることができる」というものです。ポジティブシンキングですね。まあ、白血球なんて体の表面にあるものでもありませんから、プソラレンを摂取してしまったとしても、紫外線の方の影響はあんまり受けないんじゃないかな、という感じはしますが。
これでやっと最後です。プソラレン+紫外線でHIVの遺伝子が活性化されるという話のソースは・・
In vivo activation of human immunodeficiency virus type 1 long terminal repeat by UV type A (UV-A) light plus psoralen and UV-B light in the skin of transgenic mice
JOURNAL OF VIROLOGY, Sept, 1991, p.5045-5051
なんというか・・見れば分かりますが、全部英語です。PUBMED(医学や生物学などの論文が収められたアメリカのデータベース)で検索して探したんだから当たり前なんですけどね。しかしこんな風にソースを示したところで、誰が読むというのでしょうか(反語)。いちいちこんな風にソースを貼るのもかなりめんどくさいんで、多分今後は特に要望が無い限り、こんな風にわざわざソースを示したりはしないでしょう。(要望があってもしないかもしれませんけど。)