ロイター通信から、少し興味深い記事が出てきた。
アメリカにおける1993年から2012年までの銃犯罪に関する20年分の統計結果から、銃犯罪が急激に減少しているにも関わらず、逆に一般アンケートの結果は銃犯罪が増加していると答えている、とロイターが報道。
最近、日本でもアメリカの銃社会問題が取り上げられているが、我々日本人にありがちな銃社会に対する偏見が浮き彫りになる形だ。
もう少し詳しく書かれても良い記事だと思うのだが・・・
日本の低線量被曝の危険性に関する議論と同じく、アメリカの銃社会問題も正しく認識している人が圧倒的に少ない為に、お互いの議論が噛み合わないケースが頻発している可能性が見えてくる。
この記事を目にするまで、私自身もアメリカの銃社会を正しく認識していませんでした。
印象としては、銃による悲劇的な事故や事件ばかりの印象を受ける。
それにしても日本の大手メディアで、米国で銃犯罪が激減している話はされているのだろうか?
とにかく悪戦苦闘しながら探し出した結果と簡単に解説をしておきます。
表1; アメリカ年別、死に到らなかった銃犯罪発生件数
↓元記事 NIJ(アメリカ国立司法省研究所 National Institute of Justice) 「Gun Violence」(英文)
http://www.nij.gov/topics/crime/gun-violence/#note7
上記の表は、アメリカでは良く使われる Nonfatal(直訳:非致死性の → 死に到らなかった) による銃犯罪の年別発生件数の推移。
アメリカの銃規制の歴史と照らし合わせなければならないのだろうが、大きな規制は20年間には無かったと伺っている。
ともかく先のロイターの報道通り、改めて数字を見るとその急激な減少状況が数字から覗える。
色々苦労しながらも、アメリカ司法省のサイトでいくら探してもドキュメントが無いはずだ。
結局、BJS(アメリカ連邦司法省統計局)にあることが分かった。以下、PDFからグラフと表だけを抽出。
どこの国でも、公式サイトから公文書を探すのは苦労する・・・
Figure01 銃による殺人件数とレート
ロイターの報道にあった、銃による犯罪件数。レートは人口10万に対する犯罪発生率。
やはり急激に減っている。
Figure02 致死に到らなかった銃犯罪件数とレート
先の表1をグラフ化したもの、致死を除いた銃犯罪件数。レートは12歳以上の1000人あたりの発生率
こちらも急激に減少している。
Table01 銃による暴力事件数
先の情報を一括した、年別の一覧表。
銃に関わる全ての犯罪件数とそれに関する統計データ
パーセンテージは、ほぼ横ばい。
homcides が殺人件数
Nonfatal がそれ以外の件数
↓元記事 BJS(アメリカ連邦司法省統計局) (英文) ※PDFファイルです。
http://bjs.gov/content/pub/pdf/fv9311.pdf
例え英語が難しくても、グラフで見ると感覚的に分かると思います。
あとがき
一般調査のリサーチ結果ですが、調査結果によっては異なりますし、今後の変化を見てみたいと思います。
ロイターにあるピュー・リサーチ・センターは、その実態が気にはなっているのですが、度々日米大手メディアでも取り上げられる民間調査会社のようです。
ロイターやWSJが銃犯罪の急減を報じていますので、他の調査会社による銃犯罪に関するアンケート結果を待つとします。
一部米メディアは、早くも米大手メディアのミスリードだと批判記事を始めました・・・
それにしても、陰謀論を抜きにして考えてみても、不可解な話です。
例え公表されてなくても、アメリカ司法省に問い合わせれば済む話で、米大手メディアは揃ってそこを強く主張してこなかった事実が浮き彫りになっています。
グラフや表を敢えて抜き出したのは(実際、文字を書くより非常に手間がかかります)、銃犯罪の急減は何も今に始まった話では無いことを確認して頂く為です。
もう一度、表やグラフを眺めて頂ければ、2000年までには急激に銃犯罪が減少した事実が覗えます。
最後の最後に、銃は致死率が高い 『 道具 』 です。
当然ながら、良い方向にも悪い方向にも使用できます。
銃の恐ろしい、もしくは悲劇的な報道ばかりが日本で流れますが(どうもアメリカ大手メディアも同じ流れのようです)、弱者にとっては強力な自衛手段の一つでもあります。
つまり、犯罪抑止効果も併せて持っています。
我々日本人も、その肝心な話を忘れないようにしておきたいところです。
アメリカにおける1993年から2012年までの銃犯罪に関する20年分の統計結果から、銃犯罪が急激に減少しているにも関わらず、逆に一般アンケートの結果は銃犯罪が増加していると答えている、とロイターが報道。
最近、日本でもアメリカの銃社会問題が取り上げられているが、我々日本人にありがちな銃社会に対する偏見が浮き彫りになる形だ。
米国の銃犯罪は過去20年で急減、国民の認識とギャップ 2013年 05月 8日 18:00 JST [ワシントン 7日 ロイター] 米国では過去20年間で、銃による殺人などの犯罪件数が急減していることが統計で明らかになった。ただ、別の世論調査では、これとは対照的に、国民の多くは20年前に比べて銃犯罪が増えていると感じていることも分かった。 米司法省が7日報告した統計によると、2011年の銃による殺人は1万1101件で、ピークだった1993年から39%減少した。死亡に至らなかった同じ期間の銃犯罪件数も69%減少したという。 一方、銃規制に関する議論が高まる中、ピュー・リサーチ・センターの調査では、国民の約56%が、20年前より銃犯罪が増加していると考えていることが明らかになった。同調査は、3月14─17日に成人924人から得た回答を集計したもので、銃犯罪は減っているとの認識を持つ人は全体のわずか12%だった。 ↓元記事 ロイター通信(日本語版) http://jp.reuters.com/article/worldNews/idJPTYE94704N20130508?feedType=RSS&feedName=worldNews&utm_source=dlvr.it&utm_medium=twitter |
もう少し詳しく書かれても良い記事だと思うのだが・・・
日本の低線量被曝の危険性に関する議論と同じく、アメリカの銃社会問題も正しく認識している人が圧倒的に少ない為に、お互いの議論が噛み合わないケースが頻発している可能性が見えてくる。
この記事を目にするまで、私自身もアメリカの銃社会を正しく認識していませんでした。
印象としては、銃による悲劇的な事故や事件ばかりの印象を受ける。
それにしても日本の大手メディアで、米国で銃犯罪が激減している話はされているのだろうか?
とにかく悪戦苦闘しながら探し出した結果と簡単に解説をしておきます。
年 | 銃による事故件数 | 銃犯罪件数 | 銃犯罪率 | 全犯罪における銃犯罪及び銃の事故が占める割合 |
---|---|---|---|---|
1993 | 1,222,701 | 1,529,742 | 7.3 | 8 |
1994 | 1,287,190 | 1,568,176 | 7.4 | 8 |
1995 | 1,028,933 | 1,193,241 | 5.5 | 7 |
1996 | 939,453 | 1,100,809 | 5.1 | 7 |
1997 | 882,885 | 1,024,088 | 4.7 | 7 |
1998 | 673,304 | 835,423 | 3.8 | 6 |
1999 | 523,613 | 640,919 | 2.9 | 5 |
2000 | 483,695 | 610,219 | 2.7 | 6 |
2001 | 506,954 | 563,109 | 2.5 | 7 |
2002 | 450,776 | 539,973 | 2.3 | 7 |
2003 | 385,037 | 467,345 | 2.0 | 6 |
2004 | 405,774 | 456,512 | 1.9 | 7 |
2005 | 446,365 | 503,534 | 2.1 | 7 |
2006 | 552,035 | 614,406 | 2.5 | 7 |
2007 | 448,414 | 554,780 | 2.2 | 7 |
2008 | 331,618 | 371,289 | 1.5 | 5 |
2009 | 383,390 | 410,108 | 1.6 | 7 |
2010 | 378,801 | 415,003 | 1.6 | 8 |
2011 | 414,562 | 467,321 | 1.8 | 8 |
Source: Bureau of Justice Statistics, National Crime Victimization Survey, 1993-2011. |
表1; アメリカ年別、死に到らなかった銃犯罪発生件数
↓元記事 NIJ(アメリカ国立司法省研究所 National Institute of Justice) 「Gun Violence」(英文)
http://www.nij.gov/topics/crime/gun-violence/#note7
上記の表は、アメリカでは良く使われる Nonfatal(直訳:非致死性の → 死に到らなかった) による銃犯罪の年別発生件数の推移。
アメリカの銃規制の歴史と照らし合わせなければならないのだろうが、大きな規制は20年間には無かったと伺っている。
ともかく先のロイターの報道通り、改めて数字を見るとその急激な減少状況が数字から覗える。
色々苦労しながらも、アメリカ司法省のサイトでいくら探してもドキュメントが無いはずだ。
結局、BJS(アメリカ連邦司法省統計局)にあることが分かった。以下、PDFからグラフと表だけを抽出。
どこの国でも、公式サイトから公文書を探すのは苦労する・・・
Figure01 銃による殺人件数とレート
ロイターの報道にあった、銃による犯罪件数。レートは人口10万に対する犯罪発生率。
やはり急激に減っている。
Figure02 致死に到らなかった銃犯罪件数とレート
先の表1をグラフ化したもの、致死を除いた銃犯罪件数。レートは12歳以上の1000人あたりの発生率
こちらも急激に減少している。
Table01 銃による暴力事件数
先の情報を一括した、年別の一覧表。
銃に関わる全ての犯罪件数とそれに関する統計データ
パーセンテージは、ほぼ横ばい。
homcides が殺人件数
Nonfatal がそれ以外の件数
↓元記事 BJS(アメリカ連邦司法省統計局) (英文) ※PDFファイルです。
http://bjs.gov/content/pub/pdf/fv9311.pdf
例え英語が難しくても、グラフで見ると感覚的に分かると思います。
あとがき
一般調査のリサーチ結果ですが、調査結果によっては異なりますし、今後の変化を見てみたいと思います。
ロイターにあるピュー・リサーチ・センターは、その実態が気にはなっているのですが、度々日米大手メディアでも取り上げられる民間調査会社のようです。
ロイターやWSJが銃犯罪の急減を報じていますので、他の調査会社による銃犯罪に関するアンケート結果を待つとします。
一部米メディアは、早くも米大手メディアのミスリードだと批判記事を始めました・・・
それにしても、陰謀論を抜きにして考えてみても、不可解な話です。
例え公表されてなくても、アメリカ司法省に問い合わせれば済む話で、米大手メディアは揃ってそこを強く主張してこなかった事実が浮き彫りになっています。
グラフや表を敢えて抜き出したのは(実際、文字を書くより非常に手間がかかります)、銃犯罪の急減は何も今に始まった話では無いことを確認して頂く為です。
もう一度、表やグラフを眺めて頂ければ、2000年までには急激に銃犯罪が減少した事実が覗えます。
最後の最後に、銃は致死率が高い 『 道具 』 です。
当然ながら、良い方向にも悪い方向にも使用できます。
銃の恐ろしい、もしくは悲劇的な報道ばかりが日本で流れますが(どうもアメリカ大手メディアも同じ流れのようです)、弱者にとっては強力な自衛手段の一つでもあります。
つまり、犯罪抑止効果も併せて持っています。
我々日本人も、その肝心な話を忘れないようにしておきたいところです。