日本維新の会・中田宏議員による福島第一原発事故対応への提起がされ、少なからず波紋を呼んでいる。
 
 個人的には、中田宏氏はテレビでも見たくも無い人物の一人なのだが、笑いのツボも心得ており、内容として一理あるケースは確かにある。

 ともかく今年4月5日の衆議院予算委員会において、私が以前から思っていたことを提起している。


 先に映像を紹介して、雑誌などの報道を紹介し、私の所感を述べさせて頂きます。






2013年4月5日 衆議院予算委員会・エネルギー原発集中審議 日本維新の会・中田宏議員

※中田氏の持ち時間は40分に及ぶ為、後半の福島第一原発事故関連の内容から再生しています。


↓YouTUBE 『 中田宏"福島はもう住めない場所"だと決断するべきだ 』

http://youtu.be/vD9hLCLZUqg?t=19m50s

 映像を見てお気付きだと思いますが、誰も野次を飛ばしていません。
 一応、安倍政権に移行し3か月経ちますが、具体的な復興最優先の実績は、現状皆無の状態です。
 (計画を練り直している部分もありますので、現時点で全面的に批判出来ませんが・・・)


     ◇   ◆   ◇


雑誌:現代ビジネス 中田提言に関する記事


原発被災地を国有化し最終処分場を! 国会で爆弾提言した日本維新の会・中田宏代議士の真意とは

2013年04月18日(木) 伊藤 博敏


「それでは、原発のその後について、今日の本題、私にとっての本題に進めて行きたいと思います」

4月5日の衆議院予算委員会でこう切り出したのは、日本維新の会の中田宏代議士である。鳥インフルエンザ対策などについて、自身が前横浜市長として苦労した体験談を交えながら質問した後、持ち出した「本題」は、誰もが感じながら言い出せない「帰れない被災地の現実」についてだった。


除染にどれだけの意味があるのか。


「先に、言いにくいことを申し上げます。私は、どこまで線を引くかはともかくとして、この場所はもはや戻るべきではない。そういうエリアとして国が決断をして、そして当該被災地の皆さんの生活支援をしていくべきだと思います」

帰れない理由として、これまでの累計で1兆2,875億円を投じながら進んでいない除染をあげた。

確かに、作業は進めているものの、線量はなかなか下がらず、いったん下がったとしてもまたすぐ元に戻る。その理由のひとつに、住宅から20メートル以上、離れている森林について、除染を除外していることがある。

中田氏はこう続けた。

「裏山に除染がなされていない森林があれば、なかなか人はそこに戻りたいとは思いませんね。風が吹けば葉っぱは飛んでくるわ、土は舞い上がってくるわ、雨が降れば土砂は流出してくるわというところに、お宅のエリアは大丈夫ですからといわれたところで、戻りたいとはなかなか思わないわけであります」

例として挙げたのは、2011年9月に緊急時避難準備地区を解除され、昨年2月に帰村宣言をした川内村である。1年経っても、帰村者は4割。その大半は50代以上の中高年層で、子供のいる家庭は、放射線量を怖れて、戻るに戻れない。

除染にどれだけの意味があるのか

線量が上がればまた作業を繰り返す。それでも子供への影響を怖れて帰らない人が多い。それならば、国が土地を買い上げ、次の生活地での生活支援をした方がいいのではないか、という思いを持つ人は、実は少なくない。


「誰かが言わなけれないけないことを言うのが政治家の役割」


だが一方で、そうした"本音"は「故郷へ帰りたい」という思いを持つ被災者がいるという現実の前でかき消されている。

中田氏はそこに踏み込み、さらに最終処分場問題にも言及した。

「この地域に人が住めないということをもうハッキリさせて、私は、放射性廃棄物の最終処分の場所にする、これを政治はどこかで決断するべきだと思います」

要は、原発被災地の土地を一定範囲、国が買い上げて、そこに最終処分場を建設すべきだという提言だ。

これもまた誰も言い出せないが、誰もが感じていることだ。

「福島県を最終処分場にしない、だから『仮置き場』の中間貯蔵施設を設置する」

この「中間」という名のごまかしも、多くの人が感じていよう。福島が「中間」として「最終」はどこになるのか。どの自治体が引き受けるというのか。

中田氏は、数字でその矛盾を明らかにした。

「福島県内の除染等によって生じる汚染土壌や汚染廃棄物の総量、これは1500万立法メートルから3100万立法メートルということで見積もっていることであります。1500万立法メートルというのはどのくらいかといいますと、10トンのダンプカーでおよそ200万台に達するという凄まじい量になるわけです」

さらに、仮に東京都がお台場で最終処分場を引き受けたとして、1日200台で運んで27年、1万日かかると計算、運送道路沿いの住民、東京都住民の反対を考えた場合を併せ、汚染土移動の非現実性を訴える。

国会という自由な発言が許される場ではあるが、「被災者の気持ちを考えているのか!」といった批判が寄せられることが予想された。だが、中田氏は「誰かが、言わなけれないけないことだった。そして、それを言うのが政治家の役割です」と、言い切る。


被災地の国有化と最終処分場の建設


否定的な声は皆無に近く、「質問直後からウチの事務所や党本部に、電話やメールやFAXで反響が寄せられ、『よく言った』という声が大半だった」(中田氏)という。

事務所宛てに入った次のメールが、その声を代表している。

「政治家の皆さんが、国民、この場合は被災地の住民に、気にいられるような発言をされ、本当のことを言わないことに、私はいらだっていました」

私もそのうちのひとりである。

原発事故から約2ヵ月後、本誌で「試算では費用1兆4,100億円 菅政権が言えない『原発被災地の国有化』というタブー」という記事を書いた。

「収益還元法」で福島原発の半径30キロ圏内を試算、約1兆4,100億円かかるのだが、それだけ費やしても購入した方がいいのではではないか、と訴えた。

もちろん、生活支援もあって、その金額で収まるわけではないが、①国の責任を明確にし、②いつ帰れるかわからない不安に比べると、被災者に前向きな希望を与えられ、③国有地となった広大な土地を多目的に使用できる、といったメリットが考えられた。

その③に含まれるのが、太陽光、風力といったメモリアル的なエネルギー対策の場所にすると同時に、汚染土や廃棄物の最終処分場として利用することだった。

それでなくとも除染作業には、手抜き除染や作業費のピンハネなど多くの問題が指摘されており、「表層の土地を除去、屋根や壁を洗い流すだけの除染は、一時的に線量を下げるだけで抜本的な効果は期待できない」と、断言する専門家もいる。

国有化と最終処分場の建設---。

機は熟した。中田氏の提言を、真剣に論議すべきではないだろうか。


↓元記事 現代ビジネス・ニュースの真相
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/35537


 チェルノブイリ事故の除染作業を見てきたロシアやウクライナの政治家や科学者も、除染作業が危険であり、除染にも限界があることを助言しに来日して下さいました。

 現状では、行政がその事実を認めていないことになる。






 最後に、私個人の所感。






 中田氏の話から推測されるのは、これは中田氏が複数からの代弁者として福島事故対応の解決策を提起している。
 表としては話に出てこないが、裏で金にもならないことで動いている人達が見え隠れし、少しは安心出来る。

 中田提言は少し長く、要約して言葉の裏を推測させて頂く。

 ・ 除染費用は累計1兆2,875億円
  (全ての除染が無駄だったとは言えないが、つまりは無駄な金を現在も注ぎ込んでいる)

 ・ 大部分の地域で、除染が進んでいない
  (除染作業を行った場合でも、放射線量が下がらない、もしくはすぐに上がってしまう)

 ・ 帰村宣言した川内村を例にあげ、宣言後帰村した住民はわずか4割であること
  (帰村した住民の半分以上は50代以上の中高年層。逆にお子さんの居る家庭の帰村率は低い)

 ・ 線引きの話は別として、帰村が無理と考えうる地域を宣言すべき

 ・ その上で、福島県内に、中間貯蔵施設ではなく最終処分場を造るべき
  (現実問題として、30年後に帰村出来る保証は何処にも無い)
 
 ・ その為に、土地を国が買い上げて、避難住民の第2の人生の資金にして貰う
  (あまりに避難住民が多いために、東電・国としても補償に限界がある)

 ・ 福島県内の汚染土壌の試算総量を取り上げ、県外案が途方もない作業であることを説明
  (輸送にかかるコスト、また輸送時の放射能廃棄物のリスク、全てにおいて現実的ではない)

 ・ 除染作業により生じた放射性廃棄物は、現在も仮々置き場(野積みの状態)であること
  (中間貯蔵施設または最終処分場が決まらないと、仮置き場も作れない)

 ・ 参考事例としてチェルノブイリをあげ、事故発生から27年経った今30km圏内は非居住地区である


 これらの要素を踏まえて、中田氏は安倍総理に政治的決断を迫っている。
 
 因みに安倍総理の返答は、帰村希望者に沿うように努力しているとのこと
 (政治的決断を避ける方向で動いている)


     ◇   ◆   ◇


 この問題が更に複雑化しているのは、民主党政権が中間貯蔵施設を福島県内に建設予定を公表した際に、政府公約として2011年(平成23年)10月に”中間貯蔵開始後30年以内に、福島県外で最終処分を完了する”と住民・避難住民・メディアに宣言してしまった為に事態の収拾がつかなくなってしまった。

 正直、当時としての率直な感想は、 『 出来もしないことを言ってしまったものだ・・・ 』 と感じたものだ。
 現実問題として、福島第一は廃炉が確定した施設であり、30年後に解体が完了している保証は何処にも無い。
 未だに、廃炉作業をどのように行うかも手探り状態だ。


 2013年4月初めまでの現在、安倍自公政権に移行してから、中間貯蔵施設及び最終処分場に関する大きな変更は聞こえて来ない。少なくとも、中間貯蔵施設の候補地選定作業をそのまま進めている様子だけが報道されている。


安倍首相:中間貯蔵施設、工程表通りに建設

毎日新聞 2013年03月11日 19時34分(最終更新 03月11日 21時35分)


$オオルリのブログ 安倍晋三首相は11日、東日本大震災2年にあたり首相官邸で記者会見し、福島県の除染で出る放射性廃棄物の中間貯蔵施設について「15年1月から汚染土壌を搬入できるように地元の理解を得ていきたい」と述べ、11年10月に政府が公表した工程表に従って建設を進める考えを示した。また、津波被災地の住宅の高台や内陸への移転を促進するため「(用地取得などの)手続きを大胆に簡素化する」と表明した。

 工程表は、12年度中に施設の建設場所を選ぶことを前提に、「15年1月をめどとして施設の供用を開始するよう最大限の努力を行う」としている。しかし、環境省は東京電力福島第1原発事故周辺の双葉、大熊、楢葉の3町で現地調査に着手したばかりで、選定は13年度にずれ込む見通しだ。首相は「調査結果を踏まえ、安全性に十分配慮した施設の具体的な内容を示す。最終処分地になりかねないという地元の懸念に対しても真摯(しんし)に説明していく」と述べ、地元の同意を得るために努力する考えを強調した。

 福島県への「早期帰還・定住プラン」に基づき、今後1~2年で避難住民が戻る環境が整う区域については「夏ごろをめどに、いつまでに道路や水道が復旧し、医療、福祉の体制が整うかなど、早期化に向けた具体的な道筋を明らかにする」と述べた。

 一方、首相は経済再生に向けた「大胆な金融政策」に関連し、「物価や長期金利の動向にはきちっと目配りしていかなければならない。ハイパーインフレは考えられない。(物価目標の)2%に収れんしていくように日銀も政策を進めていく」と述べた。【中田卓二】


↓元記事 毎日.JP
http://mainichi.jp/select/news/20130312k0000m010038000c.html


写真: 東日本大震災から2年、記者会見で質問に答える安倍晋三首相=首相官邸で2013年3月11日午後4時47分、藤井太郎撮影


 この発言の何が問題なのだ!? と思われる方もおられるだろうが・・・
 自民党の2012年選挙公約には、一番目にハッキリとこう記述されている


I.復興と防災

東日本大震災の被災地の復興の加速を最優先します。
そして、事前防災の考え方に基づいて、近い将来起こることが十分に予想される巨大地震・津波などの大規模災害の被害を想定の半分以下に抑え、復旧・復興に要する経費を最小化するために、民間投資も最大限活用しつつ、ハード・ソフト両面にわたる「国土強靭化」に積極的に取り組みます。


↓元記事 自民党選挙公約2012(PDF)
http://www.jimin.jp/policy/pamphlet/pdf/j_file2012.pdf


 現状を見る限り、とても最優先とは思えない。むしろ”アベノミクス”を最優先している印象しかない。

 一般的な感覚では、この震災復興は福島第一原発事故処理も含まれるものと思われる。
 (詭弁を弄するのであれば、『 震災復興と事故処理は別であると 』 と来るはず)
 実際には被災地を訪問しただけで、津波被害に遭った被災地の復興も進んだ話は聞こえてこない。


 さて、相変わらずマスコミが持て囃す ”アベノミクス” になるのだが、選挙公約2番目の経済成長にあたる。順序が入れ替わっていることに気付いて頂きたい。選挙中にも、当の本人が”復興最優先”とほぼ同義を連呼していた記憶がある。


 国論を二分しているTPPにも半ば強引に交渉参加を表明し、震災復興も急ピッチという訳でも無い、メディアが報じる高い支持率には聊か疑念をぬぐえない。
 相変わらず高支持率の安倍政権だが、アンケート結果には注意したい。印象操作形式だとの告発もある。


 ↓フジテレビ不視聴運動 と 電通の罠
 http://ameblo.jp/ooruri777/entry-10975935104.html



 鳩山発言の”ちゃぶ台返し”は行っておいて、最終処分場の県外発言の”ちゃぶ台返し”は行わないのだろうか?

 農業関係者の皆さんも気づいているはずですが、日本の農業政策を自公政権に任せると危ない・・・と。


 選挙公約通りに、震災復興の最優先を行うと、最終処分場建設計画を早急に決まって良いはずだ。
 少しずつ安倍・自公政権の正体が見え隠れし出したようだ。これからも、気をつけてみたい。