ムエタイの「魔の6ラウンド」からアムナットを考える | おおおかのボクシングBLOG

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少し前に、ムエタイについてブログで三日に渡って書きました。

せっかくなので、書いてなかった事を書きます。
ムエタイの選手は負けた選手に、「魔の6ラウンド」
っていうのがあるんですね。

ジムのオーナーは、試合の時に、選手にお金をかけていますので、負けた選手を試合後にボコボコに殴りまくる。
選手はただ耐えまくるという6ラウンドがあるそうです。
でも、聞くところによると日本にきて試合する時は、そういうお金を賭けるというのは無いから、魔の6ラウンドは無いらしいです。

その代わり、減量失敗のノーギャラという問題が起きた場合は、ボコボコにするんだとか…。
そういう事を考えると、僕は一つの答えが出てきます。
井岡一翔×アムナット。
アムナットは一回目の計量時に300グラムくらいウェイトオーバーしてましたよね?

新聞・マスコミの報道では、アムナットのウェイトコントロールミスについて書いてました。
けど僕は、「これは駆け引きに過ぎない」と思いました。
もし本当にウェイトコントロールミスだったら、
「ボクシングは舐められてるなー」と思ったのです。

でも、後半にスタミナは切れていたというのは、井岡一翔の頑張りもそうだが、加齢とボクシング世界戦ラウンドのキャリアの少なさじゃないかなと僕は観てて思いました。

いや、、、フィームーなアムナットは、流してなんぼというのがあるので、まだ戦う余力を残しつつの駆け引きだったかもしれません。

そんな色々と考えさせられるアムナット、、、僕は最高に好きです!

失礼な事を承知で書くのですが、アムナットの生い立ちの不幸さが「強さ」「奥行き」を感じるのです。
お母さんに出産した病院で捨てられ、
養子に出される。
でも、見た目がアフリカ人だという理由で役所がタイ人と認められないゆえに学校に通えなかったという。

そんな中で生き抜こうとする中で、ムエタイで10代でルンピニー王者にもなりながら、麻薬に手を出してジムから追放される。
麻薬に手を出し、ムエタイという唯一の生き抜く方法を自らの手で失い、、、選んだ事は女性を強盗で襲って、警察に自首する。
これが三度目の3回目の刑務所。
その刑務所の中で、何と無く始めたのがボクシング。
20歳後半で始めたボクシングは、ムエタイでベースを極めたアムナットにとってはスーッと身体に入っていったのだろう。
刑務所を出所したのちに、北京オリンピックに出て、その後にはアマボクシングのキングズカップという大会で井岡一翔とゾウ・シミンに勝つという。
そして、プロボクシングの世界王者にも輝く…。
その戦い方は、ムエタイ的スタイルと彼の生き抜いた方法を少し垣間見るような「ズルさ」が感じられる。
なんていいますか日本っていいますか、大半の人がそうなのだが、
「若くてセンス・身体能力・運動神経が高い」ものを賞賛する。
「ズルさ」を美徳としないのが一般的な日本人の考えだ。
サラリーマン時代の自分を振り返ると、時には「踏み絵」を踏まなければならない時もあったが、僕の心が譲れなかった場面も遭遇した。
それに比べるとアムナット、、、環境も人間も業・カルマを感じます。

というわけで、僕がアムナットを好きな理由というのを分かってもらいたくて書きました。

アムナットの自伝なんか出たら僕は絶対に買いたいし、
出来ることなら取材したいくらいです。
今、ボクサーでそんな思いにさせてくれるのはアムナットと、
共産主義国家であるキューバで生まれたリゴンドーですね。

ムエタイにおける「魔の6ラウンド」…を考えた時に、何故かアムナットが浮かぶのです。
タイという国を考えることも含めて。

こういう選手だからこそ、練習量が落ちて、日本に来てアッサリ負ける選手にも成り下がるという危険性も備えているということ。
それも記しておきます。
もし、ゾウ・シミンと戦えば負けるだろう。ではー