DVD「影」、発売 | ロシア・旧共産圏諸国SF関連ニュースblog

DVD「影」、発売

三つの未解決事件の背後に存在する“影”……
革新的な叙述形式で描かれた政治的推理ドラマ。

第二次世界大戦期・大戦直後・1950年代の三つの時期に起きた不可解な事件。
その背後に存在する“影”が当事者たちの回想によって浮かび上がってくる……。

時制を行き来する革新的な叙述形式でポーランドの不穏な政治情勢を描いた、
イエジー・カヴァレロヴィッチによる政治的推理ドラマの傑作。

1950年代。田舎道で車を走らせていた男女のカップルが、ふと脇を走り抜けて行く列車に目をやると、その列車の最後尾から1人の男が飛び降りる。二人が飛び降りた男のもとへ急行すると、彼は虫の息となっており、その顔は飛び降りた衝撃で無残にも破壊されていた。その後病院で、飛び降りを目撃したカップルが警官に事件のあらましを供述している。外科医のクニシン(ズィグムント・ケンストヴィッチ)がやって来て、飛び降りた男が死んだと告げる。死者は上着を身に着けておらず、遺留品には身分証明書がなかったため、彼が何者かはわからない。この一件をきっかけに、クニシンは戦時中の未解決事件を思い出す……。
『影』の原案と脚本を担当したのは、当時弱冠28歳だったアレクサンデル・シボル=リルスキ。監督のイエジー・カヴァレロヴィッチ自身は、本作を「ある政治的内容を備えた推理ドラマ」と規定している。物語は、三人の人物(外科医クニシン、公安省の高官カルボフスキ、労働者の青年ミクワ)が、現在(1950年代)からそれぞれ過去に経験した不穏な事件を回想する形式を採用し、映画は三つの時制を行き来する。第二次世界大戦期(1943年)と同大戦終結直後(1946年)、そして現在に起こった三つの未解決事件がそれぞれ異なった視点から回想されることで、その背後に存在する一人の人物が浮かび上がってくることになるのだ。革新的な叙述形式でポーランド政治史の特殊な三時期を描いた、イエジー・カヴァレロヴィッチの社会派サスペンスの傑作である。


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