DVD「尼僧ヨアンナ」、発売 | ロシア・旧共産圏諸国SF関連ニュースblog

DVD「尼僧ヨアンナ」、発売

辺境の地。スーリン神父(ミェチスワフ・ヴォイト)が到着したばかりの宿屋で、馬丁や女将、中年男たちが悪魔憑きの噂をしている。
修道院の中では、悪魔に憑かれた尼僧たちが大声でわめき、みだらなことをしているという。悪魔祓い師としてやってきたスーリンは早速修道院へと向かう。
尼僧マウゴジャータ(アンナ・チェピェレフスカ)に出迎えられ、
修道院の中へ招じ入れられた彼の前に、尼僧ヨアンナ(ルツィーナ・ヴィンニツカ)が姿を現わす。
ヨアンナは、自分には八つの悪魔が取り憑いていると告げる。
やがて彼女の表情と声の調子が急変し、悪魔に憑依されたかのごとくスーリンに挑みかかる。
庭では、大勢の尼僧たちが狂乱状態で踊っていた……。
実際に起こった尼僧の集団悪魔憑き事件に想を得て書かれた小説『尼僧ヨアンナ』(ヤロスワフ・イヴァシュキェヴィッチ著)を基に、
新たな視点から現実を見据える「ポーランド派」の代表的監督の一人イエジー・カヴァレロヴィッチが、更なる抽象性と普遍性を付与して描いた作品。
宿屋・原野・教会という限定された三つの空間の中で、信仰と人間的本性との葛藤を様式的描き出す本作は、終始緊迫感をたたえながらも硬質で冷厳な感覚に満ちている。
同時に、“悪魔に憑かれた”尼僧ヨアンナを演じるルツィーナ・ヴィンニツカの迫真に満ちた演技は、観る者を震撼させずにはおかない。
登場人物たちの抑圧された愛を“悪魔”として描き、“悪魔”が愛し合う口実を与えているとする内容は当時のカトリック教会の怒りを買ったが、各国での本作の評価は高く、1961年度カンヌ映画祭の審査員特別賞を受賞。
幾何学的画面構成が印象的な、イエジー・カヴァレロヴィッチの神秘的傑作である。


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