コカコーラはどこが良いのか・・・販売ターゲットによる微妙なちがい | 日本語好きな人、寄っといで

コカコーラはどこが良いのか・・・販売ターゲットによる微妙なちがい

 世界中で知らぬ人のないドリンクの名ですが、このネーミングはどこが良くて成功したのでしょうか。
 音相分析法は具体的根拠をもとに、次のように説明します。

 この語が伝えているイメージを、コンピューターから取り出した分析表で見てみましょう。

画像をクリックすると大きくなります。

cocacola


 表情解析欄を見ると、「庶民的」(M)、「現代的」(H)、「合理的」(J)などををトップで捉えているため、大衆的で日常性の高いイメージをもつ語であることがわかります。
 またそれとは反対の、優雅さや静謐(せいひつ・・・静か、穏やか)なイメージをつくる表情語、「安らぎ感」(P)、「静的」(T)、「安定感」(Q)、「高級感」(R)、「優雅さ」(S)も多いため、トップで捕らえた「陽」のイメージ(日常性や大衆性)が「陰」の方向へ引き戻されて、それだけ「陽」のイメージを弱めています。

 さらに清涼飲料を表現するのに欠かせない「清潔感」(O)、「爽やかさ」(N)、「軽快感」(F)、「躍動感」(B)、「シンプル感」(A)がどれもゼロ・ポイントのため、語全体が伝えるイメージがさらに明白さを欠くものになっています。
 このような、全体から伝わるイメージが不透明な語は、成果の期待できないネーミングといえますが、この語の場合はその不透明感を逆用して、強烈なインパクトをもつ語に仕立てています。
 それは、冒頭の無声破裂音「コ・カ・コ」に強い難音感(言いにくさ)があることです。

 「コ・カ・コ」は3音とも「無声破裂音」ですが、破裂音系の音が3音以上連続すると舌がもつれて「言いにくさ」が生れます。言いにくいことばは音の流れを乱すため一般的には避けなければならないものですが、この語はその言いにくさを使って、口中で炭酸のはじける刺激的な感触を表現しているのです。もともとイメージ的な方向性をもたないため、この難音感がとりわけ明白な個性となって印象深く伝わってくるのです。

 めったに現われない、頭脳的な作品といえましょう。