借地権シリーズ第2弾です。
今回は、借地権を使用した節税について書きたいと思います。
本当はリスクについて早く書きたいのですが、順を追って説明することが重要ですので、ご容赦ください
基本的に、地主 = 個人 借地権者 = 地主の同族会社 のケースを想定しています。
このケースが圧倒的に多いと思いますので。
【第2回 借地権に要注意! 借地権を利用した節税方法を復習しよう】
まず、状況を整理しましょう。
地主が会社を設立し、その会社と土地の借地契約を締結します。
地主 = 貸主 、 会社 = 借地権者 となる契約ですね。
そして、会社が当該土地に賃貸用ビルを建設します。
上記がよくあるパターンです。
こうした状況にするとなぜ節税になるのでしょうか?
今回は所得税の節税について解説したいと思います。
①所得税について
地主が個人名義で建物を建てて賃貸した場合、不動産所得が発生します。
一方、会社名義のビルを建てた場合、地代の不動産所得と役員報酬の給与所得が発生します。
違いとしては、所得の内訳が、不動産所得と給与所得に分かれるということですね。
そして、給与所得は、給与所得控除がありますので、一定額が所得から差し引かれます。
つまり、同額の収入であっても、税金は減少 → 節税 という訳です。
さらに、所得の額にもよりますが、個人の所得税の税率よりも、法人税率の方が低くなることが多くあります。
つまり、役員報酬の額を調整することで、より多くお金を残すことが可能です。
(ただし、個人の手許にお金が残るか、会社に残るかの違いはあります)
完全にイメージですが、給与所得控除=給与額の20% ・ 所得税率40% ・ 法人税率25% と単純化して、具体例を見てみましょう。
ビル個人所有の場合 | 借地権設定の場合 | ||||
個人 | 会社 | ||||
売上 | 1,000 | 売上 | 1,000 | ||
地代 | 0 | 地代 | 200 | ||
役員報酬 | 0 | 役員報酬 | 500 | ||
小計 | 1,000 | 小計 | 300 | ||
法人税25% | 75 | ||||
会社に残るお金 |
225 | ||||
個人所得 | 個人所得 | ||||
不動産所得 | 1,000 | 不動産所得 | 200 | ||
給与所得 | 0 | 給与所得 | 500 | ||
給与所得控除 | 0 | 給与所得控除 | -100 | ||
所得合計 | 1,000 | 所得合計 | 600 | ||
所得税40% | 400 | 所得税40% | 240 | ||
個人に残るお金 | 600 | 個人に残るお金 | 460 | ||
個人+会社に残るお金合計 | 個人+会社に残るお金合計 | ||||
600 | 685 |
全体として、85のお金をより多く残すことができます。
つまり、節税したということですね。
実際はこんなに単純ではありませんが、あくまで概念としてご容赦ください
(精緻な将来予測によるキャッシュ・フローコンサルティングにて、詳細な情報を提供しています)
続いて、地主の相続が発生したときに、相続税を節税させることができます。
これは次回に解説しましょう。
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