公式グッズも出切ったところで、ここからは女道が個人的に認定している非公式グッズを紹介してまいります!
記念すべき一回は、ある意味公式を上回るこれ!
はるかさんの中の人、声優の緒方恵美さんのCDアルバム「MO]です。
「え~ はるかさんの声優さんが出したアルバムってだけで非公式グッズにするの?」
と思われる方もいらっしゃるかもしれませんがちょっと待ってください! これはただの声優さんのアルバムではないのです!
はるかさんのキャラCD「イニシャルU」を辞退した穴埋めに、緒方さんがはるかさんのイメージで作詞した曲が満載の、はるかさん自身によるはるかさんのための、ある意味最強のはるかさんソング・はるかさんグッズなのですよ!
イニシャルU騒動については、みちるさんのCD「戦士の想い」で少し触れましたが、今回は徹底的に語りたいと思います。
【イニシャルU騒動について。女道の見解】
あれから十数年が過ぎ、お若いファンの中にはご存じない方も大勢おられるかもしれませんから、当時を知るものの務めとして、この機会にはるみちグッズ史上最大の事件、イニシャルU騒動について語っておきたいと思います。「戦士の想い」紹介の回と一部重複した内容になりますがご了承を。
スターズ放送中の秋、プルートとサターン以外(この二人は声優さんが歌NGだったらしい)のセーラー戦士一人ひとりのCDが発売される事になりましたが、なぜかウラヌスだけ発売中止と言う異例かつ衝撃の事態に。
発売日を指折り数えて楽しみにしていた私は愕然としました。何よりも理由が良くわからないので、気になって気になって、日々悶々とするはめになりました。
今ならネットですぐに情報が集まるところでしょうけど、当時はそんな便利な物もなく、お店の人に問い合わせる勇気もなく、あきらめきれずに時々アニメイトに見に行ってはため息をつく日々。
やがて同人誌などからの情報が集まるにつれ、徐々に販売中止の理由は明らかになってきました。ウラヌス役の緒方さんが、歌う事を拒否した顛末を自身のラジオで話したそうです。
理由は、「自分の中の天王はるかと言う役を守りたかったから」とのこと。はるかさんは素の自分に近い役だから裏切りたくない、その歌を出すことがファンへの裏切りだと感じたと。
その後、イニシャルUは別の歌手が歌うことになったのですが、問題の歌詞はと言うと、キャラクターソングにありがちな抽象的表現満載で、アニメとも原作ともつかないわかりづらい内容で、緒方さんがあそこまで嫌がる理由がわかりませんでした(ご存じない方は検索して見て下さいね)。
正直、歌詞を見ただけでは、緒方さんがどうしてそんなに嫌がった理由がわかりませんでした。アニメイトカセットコレクションで魚屋さんをやることは厭わなかった緒方さんなのに……
我々に与えられたヒントは緒方さんの「自分の中の天王はるかのイメージを守りたい」と言う言葉だけで、この歌詞にそこまでの違和感を感じない以上、イニシャルU事件の真相は迷宮入りかと思われました。
しかし私は、その答えをみちるさんのCD「戦士の想い」の中に見出しました。
みちるさんの「戦士の想い」を買った後でわかったことなのですが、このキャラCDシリーズ、歌うのはアニメの声優さんなのに設定は原作で武内直子先生が作詞担当と言う謎の作りだったのです。
「戦士の想い」のポエムのみちるさんはプリンセスの事ばかりを熱く語っていて、はるかさん命のアニメのみちるさんとは別人でした。おそらく「イニシャルU」もポエムはこんな感じだったのでしょう。原作とアニメのはるかさんは別人ですからねぇ。
緒方さんのおっしゃる「自分の中の天王はるか」はアニメのはるかさんでしょうから、その自らの声で、別人ともいえる原作のはるかさんの想いを歌いポエムを朗読するのは納得行かなかったのでしょう。はるかさんに対するなんたる熱い想い! なんたる深い愛情! さすがこの世界で唯一無二のはるかさんの中の人!
と、当時若かった私は、そんなところで納得していたのですが、人生経験を重ね、うがった中年になった今、緒方さんの言っていた「自分の中の天王はるかのイメージを守りたい」=「原作を演じるのは嫌だ!」ではなかったのだと思うに至りました。
だって、アニメの天王はるかの自分に原作のキャラを演じさせるなんて納得いかない! ってだけの理由には「裏切り」との言葉は強すぎませんか?
緒方さんはアニメのはるかさんの中の人である前にプロ声優なんですから
「アニメの声優さんに原作のキャラソングを歌ってもらう企画を立てました。今回は原作のはるかさんになりきって歌ってくれませんか?」
と依頼されれば、気持ちを切り替えて取り組んだのではないでしょうか?
そもそも、アニメの声優さんが原作の役も演じたところでファンは裏切られたとは思いませんし、むしろ他の人が原作のはるかさんを演じた方が大変残念で、裏切られた気になったんじゃないでしょうか?
それなのに、下品な表現ですが製作側からの雇われ人でしかない声優さんが、はっきりと「裏切り」とまで言い切ってしまうのは異様です。いったい誰の何に対しての裏切りなのか?
お手数ですが、ここでもう一度、みちるさんのCD「戦士の想い」 のジャケットをご覧ください。これは誰が見ても、明らかに、アニメのみちるさんですよね? 下にセーラースターズって書いてありますよね? 歌っているのはアニメのみちるさんの勝生さんですよね? でも、作詞は武内先生で設定は原作……
そう! これはアニメの商品だと中身を誤認させる行為。つまりはこれが、アニメのはるかさんファンに対する裏切りなのです。
私も販売告知を見た段階ではこのCDが原作設定だなんて思いもしませんでした。はまりにはまっていて、必死で情報を集めまくっていた私でも、買って聴くまでは何の迷いもなしにアニメのCDだと思い込んでいたのです。
ものすごく楽しみにして買ったみちるさんのCDなのに、実際に聞いてみるとプリンセスのことばかり熱く語っていらっしゃったので、非常に強い違和感を感じ、何度か聴いてそれっきりになりました。
つまり
「原作のグッズだと明記しない、アニメと混同させるような(強い言い方をすれば詐欺的な)販売方法を、アニメのはるかさんファンに対する裏切りだと感じた緒方さんは、その片棒を担ぐような事はしたくないと思ったのではないか?」
と言うのが、中年の私が出した結論です。
これがもしも、ジャケットから武内先生の絵で、誰の目にも原作版とわかる形で売り出していたのならば、緒方さんもちょっと声や演じ方を変えて、結構イキイキとポエムを詠み歌を歌ってくれたんじゃないかと思うのです。
とは言え、すべては私の推測に過ぎません。セーラームーン放送当時は緒方さんのラジオをたまに聴くくらいはしたけど、私は緒方さん個人の性格や価値観などはほとんど知りませんし。
それでも、はるかさんの中の人とは言え、給料をもらって演じている一職人に過ぎない緒方さんが、自らの信念にのっとり、自分の中のはるかさんを守ろうと筋を通したことには、十数年経った今でも敬意を評さずにはいられません。
その後、緒方さんがイニシャルUを拒否した穴埋めとして作った、自ら作詞し自ら歌うはるかさんのイメージソングが収録されているのが、このアルバム「MO」なのです!
それでは、収録曲をご覧下さい。
見えにくくて申し訳ありませんが、作曲の欄にご注目下さい。作曲:有澤孝紀が2曲ありますね?
そう、もう皆さんお解かりですね! セーラームーンシリーズのBGMを担当していたあの有澤氏です!
先に紹介したセーラームーンS音楽集も有澤氏の担当ですから、みんなの大好きな、聞くだけで脳内麻薬が噴出するウラヌス&ネプチューンメイクアップの曲を作ったのも有澤氏です! (ちなみにイニシャルUも有澤氏の作曲です……)
考えれば、作詞:緒方さん作曲:有澤氏で作ったはるかさんのイメージソングを別の会社から販売(公式はコロムビア、緒方さんはポリグラム)できるなんてすごいことですよね!
ひとえに一般社会において、主役のセーラームーンに比べてウラヌスの圧倒的に知名度が低かったおかげで可能になった奇跡の出来事と言えるのではないでしょうか!
このCD、内容の充実ぶりもすごいです! 収録曲の中ではるかさん絡みと思われるのは
1、Can't go back my mission
これはわかりやすい! 直訳すれば「引き返せない我が使命」ですからね。
歌詞は明らかにSのはるかさんの心情を歌ったもの、そして歌声も当然はるかさん! サビの「何も犠牲にせずに生きて行けたなら……」が胸に染みます。
これを歌ってるのは緒方さんじゃなくて、絶対にはるかさん本人です! アップテンポで疾走感あふれる良曲で、一人でカラオケに行ったら歌いたい曲NO.1です。
6、風になる
これもまたタイトルからして露骨! 「ウラヌス・ネプチューン・ちびムーン・PLUS」収録のはるかさんの歌「風になりたい」のアンサーソングでしょう!
スローで間抜けな感じの「風になりたい」は、正直、あまり好きじゃなかったので、この「風になる」のスピーディーでスリリングな感じはとても嬉しい。
作曲は有澤氏で、緒方さん作の歌詞も明らかに110話を思い起こさせるものです。
所々に入る印象的なバイオリンの音色に、白いドレスで演奏するみちるさんの姿が脳裏に浮かばない人がいるでしょうか? そんなあざとさも嬉しい名曲です!
7、潮風にのせて
歌詞を一見しただけでは、ありがちなラブソングにしか思えませんが、やはり作詞緒方さん、作曲有澤氏の作為は無視できないでしょう? 上の二曲ははるかさんソングですが、これははるみちソングですね。
8のVacation mapも「潮騒」とか「ハイウェイ」とかのはるみちワードが出てきて、ちょっとはるみちソングっぽいのですが、作曲が関係ない人なのと、緒方さんの歌い方が上記の3曲と明らかに違うので、これは違うんじゃないかな?
歌詞的には、お茶の回(104話)みたいな、使命からちょっと離れて普通の生活を楽しんでいらっしゃる時のはるかさんとみちるさんぽいんですけどねぇ。
ちなみに歌詞だけ見たら9の3月の雨も作詞緒方さんですが、歌声が女の子なのでこれはきっと違うでしょう。
11のジェラシーの痕跡は、歌詞と製作者を見る限り、はるかさんみちるさんとはまったく関係ないように思えますが、ちょうど私が聴いていた回のラジオ放送で緒方さんが「Sのウラヌスとネプチューンのような歌」というようなことをおっしゃっていたので、こんなエロティックでSMっぽいな曲がなぜ? と思いつつも公式ソング認定!
おっと、グッズ紹介のはずがつい長々と熱く語ってしまいました。
最後に改めて申し上げますと、MOは本当にはるかさんみちるさんファンにとって奇跡のようなすばらしいアルバムです。特に緒方さんのファンってわけじゃない私も胸を張ってお勧めできます。
今ならおそらく、中古でものすごく安く手に入ると思いますので、まだ聴いたことのない方はぜひご近所の中古CDショップやAmazonをチェックされては? 買って損なしですよ!