★第15週さくら(後半)

昭和35年(1960年)

(83)

3月

山本五月

龍一「二人ともオレの一つ年下」

五月「それやったらうちの一つ下やわ」

大村すず

窓の外は暗い

五月「来週二郎たちのバンドが三宮の青い月に出るんやけど」「どう?」

河合二郎

4月
(84)

ヨーソローに龍一がさくら健太郎を連れて来た一週間後

ライブ前日(キアリス採用面接前日)

五月、ヨーソローの前で伺っているさくらを見かけ声をかける「明日買い物にいかへん?」

五月「親なんかおってもおらんもんやの。うちは」

五月「家出してもう何か月やろ。1,2,3,4、4ケ月か。4ケ月たっても探されもせんしね」

五月「ま、気楽でええけどね」

五月「(どこに住んでるの?)裏のアパート(ひとりで?)彼氏と同棲(どうせい?)そないにおどろくようなこと?」

五月「明日青い月くるやろ?いろんなひとがくるよ。ふつうやったら会えんようなひとが」

 

青い月ライブ当日(キアリス採用試験面接当日)

五月、制服姿できたさくらを「行こう」とヨーソローへ誘う

五月、さくらを着替えさせてヘアメイクしてやる

五月、「行こう」と青い月へ連れて行く「さくら、いこう」

五月、「ひさしぶり、いつもので」とカウンターに注文する

(85)

五月、青い月で踊っている

二郎、再三再四「はよかえれ」「もう十分楽しんだやろ帰れ」

二郎に誕生日を聞かれ「6月12日」と判明する

栄輔あらわる

一同、ヨーソローに帰る

エイスの服を宣伝できてくれと栄輔に言われる二郎

五月、窓の外は真っ暗、カウンターの中に入っている

二郎、タバコを吸っている

★第16週とどかぬ心

6月

(89)

6月12日

五月「会いたかったで、入り」

さくら、学校帰り制服のままヨーソローで誕生日を祝われる。健太郎も同行している。

青い月で二郎演奏、さくらも行く

五月、青い月で踊っている

五月、すみれにといただされる

 

すみれ「あなたは?高校生?」

五月「学校なんて行ってない。途中でやめたわ」

すみれ「働いているの?」

五月「そうよ。ジャズ喫茶でね」

すみれ「おうちのかたは?何も言わないの?」

五月「言わへんなぁ」

さくら「おかあさん」

すみれ「毎日こんな遅くまで出歩いても?」

五月「家は出たから」

若者A「おばちゃんなあ、人生いろいろなんやで」

 

すみれ「自立もしていないくせにようゆうわ」

さくら「そないなことゆうんやったら家をでて自立している五月さんのどこが悪いの?よっぽど立派やわ」

二郎「今日のところは家帰り」

二郎立ち去る、五月もついていく、栄輔がそれを見ている

(90)

翌朝6月13日)すみれ「さくら、おはよう」さくらの部屋を開けるが無人。

喜代「今日の朝、はように学校に行かれました」

さくら置き手紙「この家を出ます。探さないでください。さくら」

(91)

五月「ママぁ、じろちゃんが荷物持ってくれたの。やさしいやろ?」

五月「(さくらのことを聞かれて)しらへんよ、どないしたの?(家を出た)ふふふ(何がおかしいの)あのお嬢さんが思い切ったもんや(あなたもはよう家帰ったら)私はええの(ご両親心配してるにきまってるやろ)子どもより大事なもんがある親かているんや」

さくらの行先はゆりの家。

さくら、家出した翌朝(6月14日)朝食が出来上がってから寝間着姿で起き出してくる。

夜、すみれと明美がヨーソローへ。五月はこの日も夜バイトしている。すみれに軽く会釈。すず「(五月を評して)あの子は自分の居場所を作ろうと必死なんや。母親が再婚して年の離れた弟ができて愛情がないわけやないんやけどうとまれてるふうに感じて、あの子が出るゆうたとき、ほっとしたのが伝わったって。」

★第17週目「明日への旅」

(92)

黒板には「6月予定表

さくら、ヨーソローに立ち寄る(定休日)、港にも行くが無人

(93)

五月「さくら、どないしたの」

さくら「二郎さんは?」

五月「え?」

さくら「ママにも龍ちゃんにも会うてないし、元気かな思うて」

五月「ママはもうすぐ来るよ。龍は知らんわ。二郎ちゃんは東京」

さくら「東京?」

五月「そや。仕事も休んでな。レコード会社まわってるわ」

さくら「プロめざして?」

五月「そや。来年には東京行くかもなあ」

五月「明日の晩帰ってくるよ」

翌日の夜(窓の外は暗い)

さくら「(二郎に)こんにちは。東京に行ってたって」

二郎「ああ」

龍一「東京どないやった?」

二郎「結構いろんな人に会った。手ごたえ感じた」

龍一「すごいやん。東京進出か」

二郎「近いうちに」

(94)

五月「東京?」

さくら「うん、行きたいの」

五月「お金は?」

さくら「それは…」

五月「お金がなくて行けるわけないやないの。全くさくらはお嬢さんやなあ」

すず、すみれ身の上話を話して聞かせる

(95)

さくら、ヨーソローに来る

さくら「(二郎に)こんにちは。ここすわってもいい?」

龍一「おーさくら、きのう、うちのかーちゃんが話とったわ。いくらなんでも長すぎるて」

龍一「(二郎に)家出や」

さくら「余計なこと言わんといて」

さくら、すずによばれる

すず「あんた、何がしたいんや。自分の人生のかじ取りは自分でせなね」

(96)

龍一「五月は休みか

二郎「熱や

龍一「めずらしいな」

二郎「大丈夫、うちを出るときは少しさがっとったから」

龍一「そらよかったわ」

すみれ「うち?二郎さんのうち?」

龍一「二郎さんのうちいうか、五月のうちいうか、五月と二郎さんのうちいうか、二人一緒に住んでるんやで」

すみれ「一緒に住んでるってどういうこと?」

龍一「そら同棲やろ」

すみれ「同棲?」

龍一「なんや知らんかったんか。ふたりがつきおうてること」

すず「無理せんでもええのに」

五月「もう大丈夫やの。休みたくないし」

龍一「さつき。お前大丈夫なんか?」

五月「うん、働かなね」

龍一「五月と二郎ちゃんが同棲してること、さくら知らんかったで」

五月「えっ?」

龍一「ゆうとったらええのに、ともだちやねんから」

五月「そやな」

二郎「大丈夫なのか?」

五月「うん」

6月30日、キアリスは大急百貨店、夏の展示の準備

7月

★第18週目「守られるもの」

(98)

さくら「(すずに)手伝います」

すず「助かるわ。そっち」

さくら「はい」

二郎「すずさん、五月きてない?」

すず「来てないのよ。連絡もまだない。どうしたんやろか」

二郎「出てった、これ」

手紙(お世話になりました。ごめんね。もう一緒に暮せない。今までありがとう。さようなら。さがさないでください。五月)

すず「へぇ~」

二郎「なんでや。ずっといっしょにったのに。こんな手紙だけおいて」

すず「なにかあったんやろね」

二郎「なにかってなんや」

すず「どこにいくんや」

二郎「さがすんや」

さくらがカウンターの中に入っている

さくら「五月さんは?」

二郎「どこにもおらん」

さくら「実家は?」

二郎、首を振る

さくら「学校に行っていたころのお友達は?」

二郎、反応しない

さくら「五月さん、何があったんやろ」

二郎「わしが見限られたかもしれん」

二郎「夢ばっかり見て音楽のことしか考えへんような男誰かて嫌やろ」

さくら「そんなことない。素敵やと思います」

龍一「二郎ちゃん、五月のこと聞いたで。まだ帰ってへんのか」

立ちあがってドラムを叩く二郎

(99)

翌日、龍一「おう、さくら」

健太郎「今日は何時まで手伝うんや」

さくら「6時」

健太郎「送るわ。大丈夫。子どもやないんやから」

二郎にスカウト話

(100)

翌日

二郎、さくらに「わしが東京行って成功すると思うか?」

さくら「あたりまえやないの。なにをいうてるの。二郎さんらしくないわ。どうしたの?五月さんのこと?」

二郎「手紙が来た」

さくら「なんて?」

二郎「他に好きな男が出来たって。しゃあないな」

さくら「わたしがいる。今までどおりの二郎さんでいて」

(101)

8月(黒板には「8月予定表」)

*日、五月、大急百貨店、エイス売り場
栄輔「ヨーソローの」
五月「五月です」
栄輔「五月ちゃん、どないした?」
五月「神戸を出てきたんです。」
栄輔「君たしか、ああ二郎と」
五月「二郎ちゃんの夢をかなえるのに私は邪魔になるんです。」
玉井「おねえちゃん、出てきたところでこれからどないするんや」
五月「行くとこなくて。栄輔さんのところで働かせてらえませんか」
栄輔「よっしゃええで」
五月「ほんまに?」
栄輔「ほんまや」
五月「ありがとうございます」
玉井「しかしここにようきたな」
五月「前にママがゆうてたんです」
栄輔「ママってすずさんか」
五月「はい。ひとを蹴落とすだけだとここまでやってこられへん。きっと助けてもきたはずやって」
栄輔「後は頼むわ」

紀夫が入ってきた途端、カウンターの中にしゃがむさくら、武ちゃんにしーっと合図
すず「私が責任もってみてますから」

翌日、ヨーソロー、一本指でケ・セラ・セラを弾くさくら
二郎が入ってくる
さくら「二郎さん、家族は?」
二郎「両親と弟、いもうとたち」
さくら「きょうだい、いっぱいなの、ええね」
二郎「おやじはどうしようもないんやけどな」
さくら「そうなの」
二郎「ああ、よっぱらってばっかりや。うちはおかあちゃんががんばって働いとる」
さくら「そう」
二郎「大丈夫やいわれて勇気出た。東京へ行く」
さくら「私も行きたい。いっしょにいきたい」

(102)

*日、すみれ、大急百貨店で働く五月をみかける

龍一「え、五月が」

すみれ「たぶんあの子やったと思うんやけど」

龍一「それは一大事や」

良子「またええ加減に大袈裟なこと」

龍一「いやええ加減でもないし大袈裟やないよ、五月はいま行方不明なんや」

龍一「置き手紙一枚でこつぜんと消えたんや、なあ、健太郎?」

健太郎「考えあってのことやと思うけど」

さくら「昼間はいなかったんやけど」

明美「うん。聞いてみなな」

さくら「すみませーん」

五月「はい」

明美「おった」

五月「ほっといてよ、あっ(おなかをおさえる)」

明美「もしかして、妊娠してるんやない?」

すみれ「ご両親は?」

五月「関係ない」

明美「相手は?」

五月「それも関係ない。父親が誰かて私の子や。私が誰にも迷惑かけずに一人で育てるんや、なんの文句があるの?」

すみれ「ひとりであかちゃんを育てることがどれだけ大変なことかわかる?生活はどうするの?」

五月「働く」

すみれ「その間赤ちゃんは?あなたが病気したらどうするの?」

五月「今、自分でいろいろ考えてる。余計なこといわんといてよ。他人なんやから。」

すみれ「ちょっとまって。あなたいまどこでくらしてるの」

五月「ここの裏のソファで」

すみれ「そんなところで。うちにくる?うちにいらっしゃいよ」

夕食、五月「頂きます。(お味噌汁を飲んで)おいしい。こんなごはんはじめてやわ。」

喜代「お布団で寝るの久しぶりでしょう。朝までぐっすりお休みください」

五月「ありがとうございます」

喜代「夏だからゆうて冷やしたらいけませんよ」

*日、ヨーソロー

さくら「五月さんが?」

龍一「すみれおばさんが大急でみかけたらしいで。案外近くにおったんやな」

A「龍ちゃんや」

龍一「おーひさしぶりやな、どこいくんや」

A「ちょっとそこまで」

龍一「ほな一緒に行くわ」

龍一出て行く

さくら、健太郎に「私、次郎さんと一緒に東京に行く今月末に」

健太郎「さくら、絶対航海するわ』する、しないと言ってるときに二郎店に入ってくる

健太郎、二郎に「さくらの人生狂わすな」

さくら「よけいなこといわないで、健ちゃんだからゆうたのに」

二郎、だまって店を出る。

すずが入ってきて「どないした」

さくら「なんにも」

すみれ、ヨーソローに入ってくる

すみれ「さくら、おったの」

すず「どうぞ。こないな早い時間めずらしいな」

明美「仕事の途中やもん。ちょっと話があってな。五月ちゃんのことで」

すず「五月がどうした?」

すみれ「会うたんです。大急百貨店で」

すず「あ、そないな近いところにおった?五月、何しとった?」

すみれ「アルバイトを。栄輔さんに頼んではたらかせてもろてるって。それで今うちにいるんです」

さくら「え、うちに」

すみれ「そうよ。うちからアルバイトに通ってるんです」

すず「なんでまた?」

明美「すみれちゃんがほっておけないゆうて」

明美「まあ、健ちゃんも龍ちゃんもうちでアルバイトしとることやし、いずれわかることやから。そやけど、他にははなさんでほしいのやけど」

健太郎「はい」

明美「あの子、妊娠しとるんです」

すみれ「そやのに事務所のソファで寝泊まりしてて」

すず「はーそやったか」

明美「五月ちゃんのおなかの子、父親が誰かわかる?」

すず「二郎やと思う」

さくら「そないなこと。そんな」

(103)

、キアリス、すみれ夫妻、良子夫妻、君枝夫妻そろって残業している

さくら、ヨーソローに来る、二郎演奏、東京からスカウトが来ている

すみれ、ヨーソローに来る、紀夫も来た

★第19週目「希望」

(104)

同じ日の夜、さくら、二郎、すみれ紀夫とともに神戸の家に帰宅する

すみれ、忠さんからの電話で翌朝近江にかけつける、喜代も同行、五月は留守番

(106)

ヨーソロー

二郎「演奏のアルバイト今月いっぱいでやめさせてもろうてもええですか」

すず「五月には言わずに行くん?」

二郎「なにをゆうてもかわらへん。あいつの決意はかたいんです。五月のためにも東京行って成功せな思うてます」

すず「ほんまにそれでええんか。あんたは優しい子おや。さくらちゃんのことかて最初は「帰れ帰れ」ゆうて。心配して。さみしい子おやとわかったら優しくして。東京へ行って売れるゆうことはどんなことかわかるか。腕がよければ売れる思ってたら大間違いや。いろんなひとを蹴とばして人をだましてでも自分の居場所をつくらな踏みつけられて終わりや。あんたにはでけへんやろな。」

大急百貨店、エイス売り場、箱を運ぶ五月

栄輔「だいじょうぶか?」

五月「大丈夫です(客に)すみませーん」

(107)

明美、栄輔に「五月ちゃん、そっちにおるんやろ」

「妊娠しとるんや」「五か月に入るところやから、大事にしたってや」

栄輔、五月に話す「このまま雇ってください。せやないと自活できなくなる」

栄輔、キアリス来店「五月のこと考えあぐねている」

さくら提案で五月をキアリスで雇う事になる

五月「こんな嬉しいこと、忘れない」

(108)

五月不安で泣く、なぐさめるさくら

明美「二郎、ヨーソロー最終日」

さくら、すみれ、ヨーソローに走る

最後の挨拶をすずにする二郎、走り込んでくる初登場弟耕四郎「とうちゃんがいなくなった」

24日(水)夏休みまであと一週間:ジロー東京行きあきらめ五月にプロポーズ

(109)

二郎、耕四郎に聞いた父失踪の件は伏せ、五月にプロポーズする

一同、ヨーソローに集う

大村すず、私も年をとったなあ、遊んで暮したい。あんたらこの店やらへんか、と二郎と五月にいう

二郎と五月、それを承諾し、すずと抱き合う

ナレ)そして翌年昭和36年(1961年)

雪の季節

五月、産気づく。

なぜかすみれ宅で出産している

神戸のキャストが一堂に集まる

すみれ宅の五月の部屋=産室に集うひとびと

(1)産気づいている五月

(2)すみれ

(3)さくら

(4)良子

(5)君枝

(6)お産婆さん?

(7)明美

 

すみれ宅の食堂兼居間に集うひとびと

(1)喜代さん

(2)龍一

(3)健太郎

(4)二郎

(5)紀夫

 

無事に男の子が産まれる

五月の子どもが産まれた日と五十八が亡くなったのは同じ日だとさくらのセリフからわかる

二郎、五月、健太郎、龍一、良子、君枝、明美、お産婆さんの一行、喜代さんが訃報を電話で受ける時、その知らせを紀夫がすみれに告げる時にはすでに家の中に気配がない。

★第20週目「旅立ちのとき」

(110)

昭和37年(1962年)

6月

二郎、ヨーソローのマスターになっている

五月、伸太郎をおぶいながらジャズ喫茶ヨーソローのママをしている