監督:平田潤子

声の出演:森山未來 吉田羊

 

 江戸時代に隆盛を極め、明治時代に禁じられた「春画」の美の世界に迫るドキュメンタリー。葛飾北斎、喜多川歌麿ら名だたる浮世絵師たちが情熱を注いだ春画。絵師、彫師、摺師の才能と高度な技術によって数多くの名作が生み出されたが、明治時代になると「猥褻画」として取り締まり対象となり姿を消した。近年、ようやくアートとしての再評価の機運が高まっている。

 

 「春画先生」が公開されたのに合わせて、制作されたのかな。それとも今、春画がブームなのか。「春画先生」は全然面白くなかったけど、こちらは面白かった。春画の知識が全然なかったから「へー」「ほー」の連続で、春画にはまる愛好家がいるのも納得。著名な浮世絵師(画家)がエロ画を描くことは世界的にも、珍しいらしい。

 

 考えてみたら性行為は太古の昔から変わらずに続く人間の営みで、一番人間らしさが出る部分のような気がする。嫁入り前の娘に持たせるとか、今ならびっくりだけど、当時の武家の娘の一番大事な仕事は跡継ぎを産むことだったということからも、なるほどーと感心した。いやらしいという感覚はなく、人間なら当然やるべきことで、恥ずかしがることではないという感じかな。細かく複雑な陰毛を描くテクニックや、チラ見せとか、画家としての高度な技術がふんだんに盛り込まれているんだとか。性器がすごく大きく誇張されているのも、ご愛敬だね。今、見るととてもエロいけど。エロいからこそ大衆に受けたんだろう。そして、女性も性を謳歌している作品が多いのも、今のAVと違っていい。春画の展覧会に女性がたくさん来るのも分かる。
☆☆☆☆(T)