図書館で借りてきてた、
大好きな唯川恵さんの本。
「途方もなく霧は流れる」
やっぱり好きだな~と思って、
読み進めていたのですが、
衝撃の事実が!!!(笑)
このブログを書いた後、読んでたから
もういいかなと思ったのですが、
まったく覚えてないし、
おもしろいと思うんだから、
やっぱり読み直してみよう!
と、最後まで読んでみたんです。
・・・・はい。
1ミリも覚えてませんでした(笑)
読了ブログも書いてるのに!!ですww
先の展開も、なにも覚えてなくて、
いろいろびっくりしながら、
なんなら、ラストに近づくと号泣しながら(笑)
こんなに新鮮な気持ちで読めるんだから、
覚えてないってことは、2度おいしいってことで♪
(笑)
このタイミングでこの本を読んだことも、
わたしにとっては、必要だったんだろうなと。
なんとなく、だし、あと付けですが(笑)
岳夫の年齢と同じになった自分で読んだのも、
いろいろ感じ方も違ったのかもな~。
帯にあったのは、この言葉。
女は素知らぬ振りをして、
いつもぬかりなくすべてを整えている―――。
仕事を辞め、失意のうちに東京を引き払って、
田舎で暮らすことに決めた岳夫。
ボロ家に手を入れ、
一人静かな暮らしを始めた彼の前に現れた
一匹の犬と女たち。
思いがけなく展開する人生に立ち向かう、
大人のための物語。
大人のための物語。
きっと、12年前に読んだ時とは、
感じ方も変わってた・・・・はずw
いや、ほんと好きな1冊でした。
(・・・・覚えてなかったけどww)
備忘録的に抜粋。
美映は胸の中を不満で満たしていた。
岳夫に見せる顔とは別のところで、負のカードを
一枚一枚重ねてきた。それでも、そんな素振りはまったく見せず、
一緒に飯を食い、一緒に笑い、ベッドで抱き合っていた。
男にはとてもできない芸当だ。
空はあくまで澄み、雲は真綿のように白く、
手が届きそうに近い。風もない静かな午後だった。
いつしか犬の呼吸と岳夫のそれとが重なっていた。
不意に、今まで経験したことのないような穏やかさが、岳夫を包んだ。
何もかもが止まっていて、すべてが永遠であるような瞬間。
自分がここにいるという不思議。そして実感。
岳夫はロクに語りかける。正月どころか、昨日も明日も関係ない。
ロクにあるのは「今」だけだ。
軽井沢に来て、人間が山を信仰の対象にする思いが理解できるようになった。
何があろうと山はそこにある、その約束を決して違えない。
そんな存在が何よりも人を落ち着かせてくれる。岳夫もまた、
今は毎日のように浅間山を見る。ただ、見る。それだけでいい。
それだけで安心する。
何もない。何ひとつない。それでも俺はまだ生きるのか。
生きなければならないのか。生きれば何かが見えるのか。
何かがつかめるのか。何かを残せるのか。
生きるって何なんだ。死ぬって何なんだ。
いい年をして、俺はこんな青臭いことばかり考えている。
けれど、もしかしたら、真実というのは青臭さの中にこそ
存在しているんじゃないかと思うんだ。
そこに戻らなければ見つけることができないんじゃないか。
今の俺はそんな気がしてならない。
だからロク、俺はこれからの人生を青臭く生きようと思う。
途方もなく流れる霧は、森を、空を、山を、音を、気配を、
すべてを包み込んでゆく。
始まりでもなく、終わりでもない。
今ここにある確かな一瞬を感じながら、
岳夫は満ち足りた思いで深く息を吸い込んだ。