トヨタに学ぶ企業研究本 | 農学博士のドラマチックな研究日記

トヨタに学ぶ企業研究本

2005年に日本経済新聞社から出版された本の紹介。 『トヨタ式 孤高に挑む「変革の遺伝子」』というタイトルだったので、トヨタ生産方式の紹介かと思いましたが、実際にはトヨタという会社の企業研究と言ってもいい本でありました。

まえがきによると、トヨタ式といえば、

●カイゼン(改善)
●カンバン方式  必要なものを必要な時に必要な量だけ取り寄せる
●現地現物主義  実際に物を見て判断する
●見える化    問題点を一目で把握できるようにする
●ゲンテイ(原価低減) グループ一丸となってコストを削減する
●自働化

などがトヨタ語としてよく知られていて、すでに国際語になっているものもあるという。 これらのエッセンスを200頁強の本に盛り込んでいるものですから、読み応えはありました。 図表写真も多用されていて、この本からトヨタ生産方式の本へ、見える化の本へ、…と進むのがイイのではないかと感じました。

トヨタ式 孤高に挑む「変革の遺伝子」

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というのもこれらは決してトヨタという会社の中で、単独で行われているわけではないと感じるからです。 まえがきにもありますが、こうしたトヨタ語に示されたノウハウを取り入れて無駄を除き、失敗の芽を素早く摘み取る成果を挙げた組織が、世代を超えて自己増殖する遺伝子の領域に辿り着けず短期間で失速してしまうケースは少なくない、ということからも単なるノウハウではないことは推察できます。

多くのトヨタマンは、これらは「手法ではなく考え方、哲学のようなものだから」というそうです。 そう言われると、逆にわかりやすいですネ。 会社の哲学は簡単には変えられない。 哲学を次世代に引き継いでいくのも容易ではない。 だから、トヨタはトヨタ式を継続的にできても他の会社がトヨタ式を同じようにやり続けるのは難しい。ということでしょうか。


個人的には、トヨタに限らず、他社に学ぶことはたくさんあると思っているので、こういう企業研究本は必読本であります。