<陰陽師>シリーズ第二弾。

「陰陽師」はね~、なんか読みながら突っ込まずにはいられない小説ですね。何がってもちろん清明と博雅の二人ですよ。

「何イチャイチャしとんじゃい!!」

って。

でも、これ作者も認めてますから。「むろん、これは、喧嘩でもなく、言い合いでもない。言葉をかけあいながら、じゃれあっているのである」と。いい大人が!(確か二人とも40近いんじゃなかったっけ?)

けど「陰陽師」の魅力は大部分がこの二人の掛け合いにあることは間違いない。多分これはシリーズ作すべてにおいて変わらないのだろう。でもこんなじゃれあいならマンネリ結構!ずっと浸っていたようなウフフにして優雅な世界です。

清明の屋敷の庭一つで示す季節のうつろいとか、月ひとつ笛の音一音に表される平安の美意識とか、毎度うっとりします。そうだからこそ、人間の業から生まれる鬼の醜悪さが際立つのですね。

今回は歴史上名の知れた人物にまつわるエピソードもあったりして、ああもっと古典を知っていれば楽しめるのにと思いました。○○天皇とか○○和歌集とか言われてもすぐに時代背景が思い浮かばないのが口惜しい。

「源博雅堀川橋にて妖しの女と出逢うこと」というお話では、一節を割いてこの博雅という人物についての作者の見解と言うか印象が語られているのが面白い。博雅の人物像が「よい漢(おとこ)」となった経緯が見てとれる。個人的にもかなりツボの人である。

あと今回はとくに清明が操る「式神」たちが妙に可愛く感じたんだけどなんでだろ。「あい」とか言って従順に清明の指示に従う女たち。なんか今で言う「メイド」みたくて・・・違うか。(すみません、ヨコシマな見方ばっかり。)

癖になる「陰陽師」。また読みたいなって思ったら次巻へ進みます。

陰陽師―飛天ノ巻 (文春文庫)/夢枕 獏

¥480
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※電子版にて読みました。(420円)

読了日 2010年5月13日