幻想的でエロスな世界へどうぞ~「くちなし」感想~ | oliveのドラマ帳~風に吹かれて~

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朝ドラ「スカーレット」から、連続ドラマの感想を、
ひと味加えて、自分味に料理します。
ゆるりとご試食くださいませ♪

もっと楽に生きりゃいいのにね。

めんどくさい人たちが登場する本が最近はお気に入り。

 

だから彩瀬まる作品をよく読んでおります。

 

喉に小骨が刺さって、

いつまでも取れず、気になって気になってしかたない違和感。

心にチクリと刺さる違和感がなんともいえない世界観となって

紡ぎだされているのよね。

 

今回紹介するのは、

158回直木賞候補になった綾瀬まる 「くちなし」

 

くちなし くちなし
1,512円
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別れた愛人の左腕と暮らす。運命の相手の身体には、

自分にだけ見える花が咲く。

獣になった女は、愛する者を頭から食らう。

繊細に紡がれる、七編の傑作短編集。(bookuデーターベースより)

 

 

表題「くちなし」は、

川端康成「片腕」に似ているとの情報を得て読んみる。

「片腕」すごい・・・

面白いとかいう作品じゃなくてすごい。

爪の描写なんてエロスとかシュールとか幻想的とか

あたしのありふれたボキャブラリーでは表現でいないわ。

とにかく違う世界に連れていってくれる。

異質な残り香余韻でしばらく現実に戻れず・・・

康成すごし!

 

おっと、「くちなし」感想でしたなあはは・・・

↑のtwitter基本タイプにあげた感想のように不思議な物語でした。

 

印象に残ったのは、「けだものたち」

 

「私たちは、世界の半分しか見えないんだよね」(本文より)

 

男と女は、それぞれ夜と昼の世界で生きつつ一緒に暮らしている。

お互いを知っているのは一部だけ。

見えない部分に嫉妬する。

嫉妬して女は、けだものになる。

 

この作品を読んで「夕鶴」を思い出した。

覗いてはいけませんと与ひょうに告げるつう。

本当は覗いてほしかったのではないかと・・・

覗いて正体を知って、自分だけの者にしたかったのではないかと・・・

 

見てはいけませんは見てほしい。

知ってほしい、忘れないでほしい、自分だけの者にしたい。

女の業のようなものに思えてならない。

 

半分以上の世界を知ってしまった男と女。

他者がなっても、自分たちの子供がなっても、

決してけだものにならなった夫妻が

お互いにけだもの姿に・・・

 

このくだりに、「妖怪人間ベム」を思う。

善の心しか持たないベムたち。

人間になるには悪の心も必要。

善と悪が混在するのが人間。

悪の要素を受け入れるのか?

悪を見続けてきたベムたちは、

人間になることについて選択し続ける。

 

男と女になるために、

けだものを受け入れる夫妻。

男女の業も性も受け入れ、

はじめて本当のを知った・・・のかしら。

 

幻想的でエロスの世界へどうぞ。

 

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