もっと楽に生きりゃいいのにね。
めんどくさい人たちが登場する本が最近はお気に入り。
だから彩瀬まる作品をよく読んでおります。
喉に小骨が刺さって、
いつまでも取れず、気になって気になってしかたない違和感。
心にチクリと刺さる違和感がなんともいえない世界観となって
紡ぎだされているのよね。
今回紹介するのは、
158回直木賞候補になった綾瀬まる 「くちなし」
くちなし
1,512円
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別れた愛人の左腕と暮らす。運命の相手の身体には、
自分にだけ見える花が咲く。
獣になった女は、愛する者を頭から食らう。
繊細に紡がれる、七編の傑作短編集。(bookuデーターベースより)
olive@olivedayo#くちなし 白い着物を纏った女が熟して異臭を放つドリアンにむしゃぶりついているような生温かく湿って熱を帯びた幻想的なエロスを感じ、異国と民話が混じったような不思議な世界観。女のズルさ弱さたくましさがけだるく纏わりつく。嫌いじゃない… https://t.co/d0O5OaA3xz
2018年04月01日 12:50
表題「くちなし」は、
川端康成「片腕」に似ているとの情報を得て読んみる。
「片腕」すごい・・・
面白いとかいう作品じゃなくてすごい。
爪の描写なんてエロスとかシュールとか幻想的とか
あたしのありふれたボキャブラリーでは表現でいないわ。
とにかく違う世界に連れていってくれる。
異質な残り香余韻でしばらく現実に戻れず・・・
康成すごし!
おっと、「くちなし」感想でしたな
↑のtwitterにあげた感想のように不思議な物語でした。
印象に残ったのは、「けだものたち」
「私たちは、世界の半分しか見えないんだよね」(本文より)
男と女は、それぞれ夜と昼の世界で生きつつ一緒に暮らしている。
お互いを知っているのは一部だけ。
見えない部分に嫉妬する。
嫉妬して女は、けだものになる。
この作品を読んで「夕鶴」を思い出した。
覗いてはいけませんと与ひょうに告げるつう。
本当は覗いてほしかったのではないかと・・・
覗いて正体を知って、自分だけの者にしたかったのではないかと・・・
見てはいけませんは見てほしい。
知ってほしい、忘れないでほしい、自分だけの者にしたい。
女の業のようなものに思えてならない。
半分以上の世界を知ってしまった男と女。
他者がなっても、自分たちの子供がなっても、
決してけだものにならなった夫妻が
お互いにけだもの姿に・・・
このくだりに、「妖怪人間ベム」を思う。
善の心しか持たないベムたち。
人間になるには悪の心も必要。
善と悪が混在するのが人間。
悪の要素を受け入れるのか?
悪を見続けてきたベムたちは、
人間になることについて選択し続ける。
男と女になるために、
けだものを受け入れる夫妻。
男女の業も性も受け入れ、
はじめて本当の愛を知った・・・のかしら。
幻想的でエロスの世界へどうぞ。
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