昨日、ちび黒オバサンが完全なる自分の不注意から、わき腹をドアノブに強打させました。
かなりいい感じでドアノブにぶつかったちび黒オバサン。
僕は、思わずガッツポーズしてしまったコブシを背中に回しながら、その場にうずくまるちび黒オバサンを固唾を飲んで見守りました。
ちび黒オバサンは、予想より長い時間うずくまっていました。
ひょっとして致命傷になったんじゃ・・・
これ以上苦しむようなら、介錯していっそ楽に・・・
僕は期待と興奮に胸を膨らませながら、出来るだけトーンを下げて「大丈夫!?」と聞いてみました。
するとちび黒オバサンは、明らかに怒りに満ちた声で「うっ~」と唸り返しました。
「マズイ!殺(ヤ)・ラ・レ・ル!!」
僕は、この家で暮らす唯一の草食動物としての本能から、一刻も早くここから逃げなけらばならないことを悟りました。
ゆっくりと背を向け、現場をあとにしようとする僕に浴びせられた一言。
「お前のせいだ!!」
指一本ドアに触れず、ただその場に居合わせ、いたわりの声までかけた僕に平気で罪をきせるちび黒オバサン。
この日から僕の、いつか娑婆に出るため夜な夜な鉄格子を削る囚人がごとく、台所に行くたびにさりげなくドアノブを削る「ちび黒ハント10年計画」がスタートしたのでした。
終