そんなに遠くない昔(エ  ぴちぴちギャルの頃、米軍基地に行った事があります。

ただ、米軍基地と言っても、横須賀とか沖縄などの米軍基地とは違います。

グリーンランドの米軍基地です。

グリーンランドは名前とは大違いで北極に近い雪と氷の世界です。




大学の卒業旅行、ヨーロッパ帰りの飛行機でした。

フランスからアンカレッジに向かっていた飛行機が何故かUターンしました。

着陸後の機内アナウンスで、コートも置いて、荷物も置いて、飛行機を降りよ、と言われたのです。

「うわぁ~ハイジャックだ。」とふざけてましたが、実際、近いものでした。



テロが航空機に爆弾を持ち込んだ、と言う通報があったのです。

なので荷物もコートも置いて行け、と言うわけです。




グリーンランドの米軍基地は真っ白に吹雪いた雪と氷の世界でした。

戦闘機の格納庫が真っ白な雪原にずらーっと広がっています。

基地内では銃を装備した兵士が警備していて、私達はいったん食堂に通され、食事を取りました。

料理はソテーした薄切り肉と、ボイル後味付けした豆やコーンなどでした。




乗客の多くは気持ちが塞いで、食欲も無かったようなのですが、私は米軍基地にワクワクしていました。

「もっとお食べ」と言ってくれるコックさんのご好意に甘え、お皿を大盛りにしておかわりしたものです。

ボタンを押せば出てくる珈琲とココア。

初めて操作したので(あかん!時代がばれる!)ココアに珈琲を混ぜてしまいましたが、気にせず飲みました。



飛行機は6時間点検される事になり、私達は基地内の娯楽室に移動しました。

兵隊さんが映画を見たり、集会をするような場所らしかったです。

パイロットさんもスチュワーデスさんも暗い顔で固まって嘆き合い、私達学生を引率していた先生は、『僕明日で保険切れるんや~。』と本当かベタなギャグか不明な事をつぶやいて泣きそうでした。

実際恐怖で泣いている学生もいました。

私と、当時仲の良かった女の子は能天気な所が似ていたので、

「皆落ち込んでるようだから、あのステージで歌でも歌って元気づけようか~^^」と言っていたら、まともな神経の女の子に、「みんな悲しんでるんだからふざけんのもいい加減にして~!」
と叱られました。ごもっとも。



グリーンランドの米軍基地をあちこち探検したかった私ですが、覗けた場所と言えば、後はトイレくらいでした。

ピンク色のトイレットペーパーでしたが、一本が一抱えもあるほど巨大で、それは当分ペーパー交換しなくていいな、と感心しました。



爆弾は見つからず、検査後同じ飛行機に乗ってアンカレッジに向かいました。

誰かの時計のアラームなどにも神経尖らせる乗客達でした。

アンカレッジに無事到着し、命あっての物種、と父から預かったダイナースカードでお土産買いまくったれ~と思ったのですが、リヤドロの人形、何を買うか迷いすぎて飛び立つ時刻が来てしまいます;;

予定してた大阪の空港にはもう入港出来ず、東京の成田に飛び、東急インに旅行会社の負担で泊まらせてもらい、一泊得した気分でした。

事件の事は日本のニュースでも流れ、旅行会社から日本の家族に連絡の電話も入ったそうで、私は家に電話しました。

母が出ました。

「あ、お母さーん。私、無事に日本に着いたよ。」
「そう、良かったね。」
「や~、本当に無事に帰れてうれしいよ。帰ったら私、お寿司が食べたいなあ。」
「良かったね~キノコ!お寿司でも何でも好きなものお食べ!!」←と、当然なると思ったのですが。

「ええええ~~(いやそう) お父さん、キノコがお寿司食べたいって言ってますけど。」
「(遠くの方から聞こえる父の声)勝手に食うとれ!」

がぼーん。
せっかく生きて帰った娘になんて両親でしょう。
ダイナースカードを限度額一杯、リヤドロにしてやるべきでした。

人には迷っていてはいけない時がある。

米軍基地事件の教訓でした。


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ありがとうございました。