恐竜が現れはじめた頃。
大陸移動により世界のすべての大陸は
ひとつの塊になり超大陸パンゲアを形成していた。


それから
恐竜たちが繁栄する時代のなか
大陸移動は続き、超大陸パンゲアは
北のローラシア大陸
南のゴンドワナ大陸に分裂していったという。


川崎悟司 オフィシャルブログ 古世界の住人 Powered by Ameba-パンゲア超大陸の分裂

恐竜たちは南北に分かれた大陸という地理的隔離という状況のなか
それぞれ、違う種類の恐竜に進化し、
白亜紀の植物食恐竜では、
北のローラシア大陸ではハドロサウルス類などが繁栄し
トリケラトプス などの角竜はこの大陸にしか生息していなかった。


南のゴンドワナ大陸では特にティタノサウルス類
繁栄していた。


肉食恐竜も例外ではなく、
北のローラシア大陸ではコエルロサウルス類という
現在の鳥類につながるグループが
南のゴンドワナ大陸では
カルカロドントサウルス類アベリサウルス類といった
比較的原始的な大型獣脚類が栄えていた。


このように、おおまかではあるが
北と南で異なる恐竜の世界があるわけだが、
やはり
北と南でそれぞれ代表的な大物肉食恐竜は存在した!

北のローラシア大陸ではご存知のとおり
ティラノサウルス だろう!
小型な獣脚類が多いコエルロサウルス類の仲間であるが、
その中から、急激に大型に進化した
新しいタイプの大型肉食恐竜だ!
大きい個体では全長13m、体重にして6トンと推定されている。


川崎悟司 オフィシャルブログ 古世界の住人 Powered by Ameba-ティラノサウルスとギガノトサウルス

そして
南のゴンドワナ大陸では、やはり
ギガノトサウルス があげられるだろう。
カルカロドントサウルス類の仲間で
前の時代のジュラ紀に世界中を我が物顔で支配していた
肉食恐竜アロサウルス と近縁で、
引き続いて、白亜紀でゴンドワナ大陸を支配する恐竜だ!
ティラノサウルスと同じく、全長13mにもなる大物である!


この両者は北と南で
同じような覇者的な生態的地位であったと考えられるが、
系統が大きく違うだけに異なる点も多い。


まず、
獲物をしとめるために欠かせない武器である「歯」が
まったく違うタイプになっている。


川崎悟司 オフィシャルブログ 古世界の住人 Powered by Ameba-ティラノサウルスとギガノトサウルスの歯

南のギガノトサウルスはカルカロドントサウルス類の仲間であるが
カルカロドントサウルスとは「サメの歯をもつ竜」という意味で、
サメの歯のように薄いナイフのように鋭利で切れ味抜群となっている。
それに対し、
北のティラノサウルスでは
歯は分厚く頑丈で、鈍器のようなイメージだ
「噛み切る」というよりは「噛み砕く」といった感じだろう。


頭骨はギガノトサウルスが180cm、
ティラノサウルスでは150cmと
ギガノトサウルスの方が大きいが、その骨は華奢で軽量化されている。


川崎悟司 オフィシャルブログ 古世界の住人 Powered by Ameba-ティラノサウルスとギガノトサウルスの頭骨
それに対し
噛み砕き系の歯をもつティラノサウルスはやはり
頭骨がギガノトサウルスに比べて骨太でガッシリしており、
獲物の骨までも噛み砕いたといわれている。
アゴの力はギガノトサウルスよりはるかに強かっただろう。


このように

獲物のしとめ方にも違いがあったことは明瞭であり
ティラノサウルスは獲物を力任せに破壊的ダメージをあたえ、
ギガノトサウルスは獲物を体を切り裂き深い傷を負わせて
徐々に出血死させるタイプだったのではないだろうか。


ティラノサウルスとギガノトサウルスは
2本足で歩く動物としては史上最大級だ!
13mはあろうかという巨体をたったの2本の足で支えているのだ。

川崎悟司 オフィシャルブログ 古世界の住人 Powered by Ameba-ティラノサウルスとギガノトサウルスの足の骨
もちろん両者とも骨太のガッシリした足をしているのだが、
ギガノトサウルスより重厚な体格であっただろう
ティラノサウルスの足には特殊化が見られ、
足の甲のある第3中足骨が上端で両側にある第2、第4中足骨
に押しつぶされる形状になっている。


これは足の速い恐竜として知られるダチョウ恐竜こと
オルニトミモサウルス類にも見られる特徴で
最近の研究ではこの形状は負荷の方向を一直線にし、
俊敏性が増すほか、靭帯の損傷を妨げる効果もあると
いわれている。


このおかげで、ティラノサウルスは2本足で重厚な巨体を

支えることに対応でき、
体格のわりに、そこそこの俊敏性が
あったのかもしれない。


やはり北のティラノサウルスの方が

強力な捕食者として分がありそうだ。