カエルやイモリといった両生類は
最初期に陸上に進出した脊椎動物と言えど
繁殖するためには水に依存しなければならない。
しかし、繁殖も陸上で可能とし、一生涯を
陸上で過ごすことができたものが現れた。
それは有羊膜類。
有羊膜類とは
われわれ人間などの哺乳類(単弓類)、
そして鳥類、爬虫類(双弓類)といった
陸上で子を産むことのできるものたちだ!
哺乳類の場合では卵を産むことをやめ、
胎児を母体の中で育て、さらなる保護を確立した。
それら哺乳類や爬虫類の最初期の動物化石が
同時代の同じ場所で発見されている!
2008年に世界遺産に登録された
カナダ、ノヴァスコシア州のジョギンズの化石の崖群。
石炭紀(3億6700万年前~2億8900万年前)の地層が
露出した場所だ。
かつては炭鉱の町として栄えた場所である
ちなみに石炭紀とは太古の植物が化石化した石炭が
多く産出されることにちなむ。
つまり石炭紀という時代は大いに植物が生い茂る時代であり、
30~40mはあろうかというシダ植物が生い茂り
大森林を形成していたのだ。
この場所で、
哺乳類や爬虫類といった有羊膜類のご先祖様たちの
化石が続々と発見されているのだ
最初期の有羊膜類「ヒロノムス」
に
哺乳類を含む単弓類の最古種「アーケオシリス」
ジョギンズの化石の崖群では発見されていないが
アメリカのカンサス州の同じ石炭紀の地層に発見された
爬虫類や恐竜、鳥類を含む双弓類の最古種「ペトロラコサウルス」
すべての有羊膜類は
石炭紀の大森林を舞台に出揃ったといえるだろう。
ところが、
ジョギンズの化石の崖群では
ヒロノムスやアーケオシリスといった小動物たちの化石は
奇妙な状況で発掘されているのだという。
彼らはなんと、
樹木の化石の中で発見されることが
多いのだ!
これはどういうことなのか・・・。
そのシナリオとはこうだ!
樹木が洪水で倒れ、残った切り株は
中心部が腐っていき、切り株に空洞ができる。
その後、
度重なる洪水で土砂が堆積し、地面が高くなるが、
空洞となった切り株だけ、土砂は堆積せず、
結果、落とし穴となった。
ここにヒロノムスやアーケオシリスといった小動物
たちがハマり、そのまま這い上がれずに餓死した
と思われ、
現在、樹木の化石の中でその化石が発見されている
というわけだ。