長崎くんちについては少し調べてきた、日本三大祭りの一つに数えられ(どこでもそういってはるとこ多いような・・・。)、国の重要無形民俗文化財に指定されている。全国的に有名な奉納踊り(出し物ってはいわへんのや)で、※龍踊(じゃおどり)がある。普通”じゃ”と言ったら蛇や、でもな頭は龍や、なんで龍踊(りゅうおどり)っていわへんのやろ。
(※昔は蛇踊りと書いていたようですが、現在は龍踊と書いあります。)


「なぁ、かんろちゃん。なんで龍踊りって書いてんのに、”じゃおどり”っていうん?」


「へっ?なんでって言われても・・。そういえばこの間テレビで言ってた。なんでも、最初に奉納した踊町(おどっちょう)の


龍の姿が長くてくねくねとしてたから、龍より蛇にみえたからとか言ってた気がする。ごめんなさい、細かいことはわからんとです。」


「もう一つ質問してもかまへん?」


「わかることなら答えますが・・。」


「あんな、こども番組でうたってた、でんでらりゅうってこの龍のことなん?たまたまな、近所の子ども親がな悪いことしてたらでんでら龍がくるでぇってこどもおどかしてん。きになってな、わざわざこども番組みたんや。長崎来る前に下調べしてたらこの龍がおくんちの出し物だってわかってな、歌と意味があるんかと思ってな。」


突然ぶっと噴き出して、あははは、と大笑いしてん。なんでなん?僕おかしなことゆうたん?


「そがんきこゆっとね・・・。その歌は、」


♪でんでらりゅうばでてくるばってんでんでられんけんでーてこんけんこんこられんけんこられられんけんこーんこん♪


綺麗な声で歌ってから、


「龍踊りとこの歌は全く関係なかですよ。この歌は、一説によると遊郭の遊女たちの歌とかきいてます。意味は、出てこられるなら、出て行くけれども、出ていけないから、でかけられないから、来られないから、来られない、来ない、来ないって感じです。ねっ龍とは全く関係ないでしょ。」


にっこり笑うかんろちゃんの説明を聞きながら、僕の心の中に遊女たちの寂しい気持ちが流れ込むようなそんな感じがした。それは、僕の中の彼女の気持ちそのものやったんかもしれへん。


「くんちの出し物は、蛇踊りだけじゃなかなかですよ。それぞれ踊町があって、奉納されるものは違うとです。蛇踊りは奉納する町が多かけん毎年のごと見らすっとです。ばってんコッコデショの出る年は龍踊りは出らんとです。」


「コッコデショ?なんなん?」


「担物で、お神輿とは違ってて、飾りに座布団が三つ上に乗って、その下に4人子供が中に乗ってるんです。それをたくさんの男衆が担いで、掛け声をかけながらその輿を投げたりすっとです。コッコデショの正式名称は太鼓山って言うとです。うーん説明は難しかですね。多分どっかに写真のあるはずやからそれを見ながら説明します。取り敢えず、本殿までの最後の階段この長坂ば登ってしまいましょうか。」


長崎くんちは長崎っ子にとってはウキウキするお祭りのようやな、どんな祭りなんやろ。直に見てみたいと思いつつも、急な階段を上るのはめっちゃしんどい。息を切らしながら登ると本殿が鎮座していた。この旅の目的が果たせることと、かんろちゃんともっと仲良うなれるよう神さんにお願いした。


諏訪神社を後にした僕たちは、次にシーボルト記念館を訪れることにした、蛍茶屋行きの電車で二つ先の停留所で降りて、また、山に向かって歩いて行くと今度は、本当に一般の住宅街の一角にその資料館がある、地元の人に案内してもらわなかったら見落としてしまいそうなそんな場所や、シーボルトと言えば鳴滝塾、日本に外科医を排出した当時唯一の西洋の医学技術を学べる場所だったんや。よく考えてみたらな、当時鎖国やったはずや、そし外国人は出島から出られへんかったはずや。この人はめっちゃすごい医者やったさかい、長崎の町中に出れたそうや。ほんま特別な計らいやったそうや。日本史の教科書に出てくる人物と塾はこんな場所にあったやなんて不思議や。グラバー園のような海の近くではなく、長崎の町の中の山の近くにひっそりとあったんや。アジサイが好きで、アジサイに大好きな人の名前、、それも日本人を妻にしはったらしくてその人の名前を付けはったらしい。その呼び方が不思議や、タキさんと言う名がほんまやけどな、シーボルトは”オタクサ”と呼んではったらしい。きっと「おたきさん」と呼んでたはったはずや。うまくいえへんかっただけとちゃうんか?


「追放されんかったら、ずっと一緒に暮らせてたんやろうに。おたきさんは、シーボルトさんのことずっと愛してたんだぁ。」


資料を一緒に見ていたら、横でぼそっとかんろちゃんが呟いた。


「あれ、かんろちゃんここには来たことないん?」


急に質問したさかい、驚いた顔をした後、また赤くなって恥ずかしそうに


「すいません。実はなかとです。長崎の人は、よっぽどのことがなきゃ名所めぐりせんとです。やっぱり住んでるところですけんちゃんとしっとかんばいかんとですけど・・・。なかなか目は向かんです。」


昨日よりは僕の顔を見て話してくれるようになった感じはするけどな、直視はできひんらしくてたまに目が泳ぐんや。内心ほっぺに手あててこっち見て話してやってしたくなる。


←8       10→