元フォーミュラワン・ドライバー:中嶋悟 出演番組を視て思うこと

[BSプレミアム]
2012年6月1日(金) 午後9:00~午後10:00(60分)


ドキュメンタリー/教養>歴史・紀行
趣味/教育>車・オートバイ

番組内容
貴族の敷地で開催される英国車のイベントに40万人が大集結!
その愛着は英国の誇りそのもの。
誰でも名前は知っているイギリス車のデザインや手作り感から英国が見えてくる
出演者ほか
中嶋悟
東儀秀樹
ジャスティン・ガードナー

グッドウッドフェスティバル2012

1993年に始まったフェスティバル。
イギリス・サセックス州グッドウッドで行われる世界最大級のモータースポーツイベント。
グッドウッドフェスティバル・オブ・スピード』
毎年7月、3日間にわたり開催され、約15 万人の自動車ファンがグッドウッドを訪れます。
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2012年5月23日放送

BS朝日 - カーグラフィックTV


#1328 「中嶋悟 クルマを語る CG30周年~1992年メモアール」


クルマを操る楽しさを熱く語ってくれることになった。

もう20年も前のことなのだが、中嶋さんの話はいま聞いても新鮮であり、当然ながら奥が深い。

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中嶋悟さん。


彼は自分のことを「運転手」と言う。


飾らないカッコよさと、話すときにこぼれる白い歯が印象的な尊敬すべき日本人の一人。

今回、続けざまに二つの自動車関連テレビ番組に中嶋悟さんが出演されていて、

思わずニヤニヤしながら番組を視ていた。


過去イギリスに6年間在住していた中嶋さんは、圧倒的に英国紳士としての

振る舞いやイギリスと言う国の歴史を本当に良く理解されているんだなぁと

今回、あらためて感心させられた。


2012年ロンドン五輪開催を前に特集されている、NHK-BSプレミアムの特集番組が

紹介する英国と言う歴史ある国はその切り口が非常に興味深い。


この特集番組も非常に興味深い


[BSプレミアム]
2012年6月2日(土) 午後10:00~午後11:00(60分)



音楽>海外ロック・ポップス

番組内容
イギリスが生んだ最高のロックバンド、ビートルズ。
その名曲のほとんどをプロデュースし、5人目のビートルズと言われたジョージ・マーティン。
綾野剛が案内する。
出演者ほか
綾野剛,【語り】瀧川剛史


詳細
イギリスが生んだ最高のロックバンド、「ビートルズ」。
名曲のほとんどをプロデュースし、“5人目のビートルズ”と呼ばれた男ジョージ・マーティン。
メンバーの自由奔放なアイデアに、クラシックの知識や最先端の録音技術を駆使し、
ビートルズサウンドを作り上げた。
ビートルズ時代の知られざるエピソードや、その音作りの秘密を、ポールやリンゴとの
語らいなどをもとに、マーティン自身が明らかにする。


日本と言う国はアメリカ合衆国と日米同盟を結んで久しい。

アメリカ合衆国という大陸と古くから大きく関わりを持つ国の一つが英国でもある。

日本とアメリカ の同盟関係。特に日米安保条約 に基づく軍事 的同盟関係を指す。


アメリカ合衆国は移民の国。


その中枢をになっているのは、WASPと呼ばれる白人。

主にイギリスからの移民。

アングロ・サクソンでプロテスタントである人たち。



フランクリン・ルーズベルトは典型的なWASP。

アイゼンハウアーはドイツ系、

ケネディとレーガンはアイリッシュ。

ブッシュはWASPです。

イギリスは伝統的に孤立主義の国。

自分の国をヨーロッパの一部だと思っていない保守的な考えを持つ人たちが多数派。

EUはフランスとドイツが主導になって作られた組織なので、それに異質感や不満を

持っているのはイギリスだけではありません。

現在のイギリスは、EUよりもアメリカに親近感を持っていると思います。


2010年代のアメリカ合衆国では、ヒスパニック人口が増え続けている状況。

「合衆国の南米化」 と言うこともある。

合衆国の共通の言葉が英語だけでなく、スペイン語も公用語にしようとする運動があります。


WASPや他のゲルマン系やユダヤ系が焦っています。

北アメリカが南米化しつつある状況から、イギリスとの関係も変わってきている。


そんな国際事情も踏まえながら、20年前にスカイラインBNR32GTRをテールスライド

させながらサーキット走行をする中嶋さんの姿を視たり、当時の先進技術だったABS

アンチ・ロック・ブレーキシステム(当時の中嶋さんはALBとも表現されていた) が、

自動車を操る側の人間の感覚が退化する方向性に向うことに対する危機感を

話していたシーンなどはとても興味深いものだった。


中嶋悟さんは自分のことを「運転手」と言う。


確かにそうだけれど、ホンダのNSXをサーキットで振り回してもR32スカイラインGTRを

豪快に走らせる姿にしても、単なる「運転手」と呼ぶにはあまりにもその言葉には

余りある「人間思想」や「国際志向」がある方だと思う。


僕は少し前、東京を訪れる際に高速バスを利用した。

東京駅発-富士鷹岡車庫ゆきのバスの運転手の方のブレーキのかけ方が非常に

うまかったことを思い出した。

バスもそうだが、自動車モーターサイクルなどもブレーキをかけるとフロントノーズが

沈み込む状態になる。

制動をかけたままの状態でブレーキペダルを踏み続けると、タイヤが停止した途端に

沈み込んだ車体の前側は道路と平行な状態に戻ろうとする動きを起こす。

バスでも自家用自動車でもこの制動時に起きる現象は必ず起きてしまう。


僕はこのフロントノーズダイブ現象の後に起きる、車体の起き上がり現象が好きではない。

なので、この現象をなるべく最小限に抑えるようにタイヤが完全にロックする少し前に

若干ブレーキペダルを踏む力を弱めるようにしている。

制動距離はほんの少しだけ長くはなるが、ブレーキペダルを踏み込み続けた場合と

少しだけ緩めてから更にもう一度弱めに踏み込んでから停止させる場合ではその差は

ほとんどないに等しいはずだ。


この車体が「カックン」となる減少を抑えるようにブレーキを踏む力を細かく加減していた

高速バスの「運転手」さんは、本当の意味の「運転手」さんだと感じた。

バスが終点に着いて僕が降りるとき、「運転手さん、ブレーキ上手ですね」と言ってみた。

「運転手」さんは、きょとんとした顔をしてこっちを見て、「ブレーキですか?」と言っていた。

多分、日常的に無意識に「カックンブレーキ」をなるべく控えるような気遣いをしているのだと

感心した。


中嶋悟さんの言う「運転手」と言う表現は、実は世界最速F1ドライバーではなく、

いかなる状況下でも運転中は天候やタイヤから伝わるあらゆる状況を、ハンドルや

アクセルペダルからだけではなく目や耳などの、あらゆる細やかな神経を駆使しながら

ブレーキを踏み、カーブを曲がり、アクセルを踏み、テールがスライドし始めたら更に

アクセルを踏み込む余裕を持ち、時にはハンドルを曲がる方向とは逆の方向にどれだけの

角度にどれだけ回すだとか、ブレーキは踏み込みながらもその強弱を加減することだとか、

雨で路面が濡れている場合にはどれだけの進入角度でコーナーに進入すればタイヤが

滑りにくいかなどを適正に操れる人間なんだということなんじゃないかと思う。


アクセルを踏み込むだけの速い運転手は非常に多いと思う。

でも、一番速い運転手は、いかに早く先の危険を察知し、その危険から回避させ、

自分の運転する自動車を安全な状態に保つことなんじゃないかと思う。

のろのろ運転でブレーキを頻繁に踏み込む運転手もたくさんいる。

急な長い下り坂をフットブレーキを多用し続ける運転手もたくさんいる。

「いい運転手」と言うのは紳士的なブレーキワークができ、しかも軽快な速度で

自動車を目的地まで運ぶことができる人のことを言う言葉だと僕は思う。


自動車をもっと知りたいと言う思いがまた深まった気がする。