美容師Y子吼える! | 奥さま聞いてよ!妻を愛す恋愛体質夫の生活      変なタイトルだけど意外にも長編私小説なのです

美容師Y子吼える!

  

奥さま聞いて下さい・・・。

幼かった私を笑って下さい・・・。 

そして私を叱って下さい・・・。 

  

 

  

 

   

   

  

虹  

「あれれ?○○くんじゃない?」    

  

 

 

 


 

  


街灯で明るい駅前ロータリーで、泣きながら歩く情けない私に声を

かけてきたのは美容師Y子でした。既に私とは犬猿の仲になって

しまった「キャトルセゾン」オーナーT村の紹介で、私のイメチェンを

助けてくれた女性です。T村の恋人であると自身で公言しています。

 

しかしJがレストランで私に語った内容が真実であるならば、Y子は

T村の元妻であり、今は再び元サヤに戻りつつある過程のはずです。

しかし彼女がT村とJの爛れた関係を知っているとは思えません。

私もその事実を彼女にバラす気はありませんでした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どうしちゃったのよ・・・せっかくのきれいな服がくしゃくしゃに・・・」

 

泣きぽよ  

「うっ・・・うっうっ・・・ううっ・・・(嗚咽)

 

 

 

  

 

 

 

 

 

収まりかけていた嗚咽でしたが、見知った女性の顔を見て安心した

のか、またひどくなってしまいました。泣いていることを彼女には悟ら

れたくなかったのですが・・・どうしても嗚咽が止まりません。

 

 

 

  

 

 

 

  

天使

「よちよち・・・どうしたのかな?ボクチンは・・・」

 

 

 

 

  

 

 

 

Y子は私に何かが起きたことを悟り、とっさに幼児言葉で話しかけて

私の興奮状態を鎮めようとしました。私の頭を何度も撫でてくれます。

男性はこの作戦に弱いのです。しかし私はますます甘えた心によっ

て泣くのを止められない状態になってしまいました。そもそもY子は私

よりもかなり年上ですから、少し「お姉さん」っぽい雰囲気で私は見て

いました。同年代の女性にこれをやられたならば腹が立つかもしれま

せんが、彼女ならまったく抵抗を感じませんでした。

 

 

 

  

 

 

 

  

「うっ・・・うっうっ・・・ううっ・・・(嗚咽)

  

あせる 

「・・・○○くん?デート・・・失敗しちゃったのかな?」

 

 

「・・・ひっく・・・いえ・・・ひっく・・・」

 

 

「成功したの?だったら・・・なんで泣いてるのキミは・・・」

 

 

「・・・ひっく・・・」

 

天使 

「黙ってたらわかんないでしょ?ボクチン・・・」

 

泣きぽよ  

「・・・ひっく・・・Jちゃんが・・・ひっく・・・いや、なんでもないです」

(意地張っても泣いてたら無意味だろ) 

 

 

  

 

 

  

 

 

私がY子に初めて相手の女性の名前をJだと明かした瞬間、彼女の顔色

が一瞬にして青ざめました。急に険しい表情に変わります。

 

 

 

 

 

  

 

 

って・・・あんた確かそこの偏差値高校の生徒だったよね?」

 

 

「・・・はい・・・Y子さんに言いましたっけ?」

 

 

「そんなの見てれば分かるよ・・・こっちはプロなんだからさ」 

 

 

「そりゃあ・・・そうですよね・・・」

 

 

「Jって同じ高校の女なんじゃないの?」

 

 

「はい・・・音楽科の・・・」

 

 

「あのお嬢様ぶった小娘だよね?」

 

 

「・・・まぁ・・・そうかな・・・そうです・・・(苦)

(客観的にはそうなんだろう) 

 

「あんたのデートの相手ってJだったの??早くそれ言いなよ!!」

 

 

「そんな・・・まさか2人が知り合いなんて・・・」

 

 

「知り合いなんかじゃないよ!!あの泥棒猫が!!」 

 

げげ!ねこ  

「え・・・!?(驚愕)




 






奥さま・・・どうもY子はT村とJの関係に気づいているような感です。



 

 

  

 



むかっ  

「あんたの惚れてる女はとんだクワセモノだよ!」

 

 

「あの・・・T村さんとJちゃんのこと・・・知ってるんですか?」

 

DASH! 

「あんた・・・それ、誰に聞いた?」

  

 

「・・・J本人から・・・昔、T村さんY子さん、結婚してたこともあるって・・・」

 

むかっ 

「あのクソアマ・・・よくも抜け抜けと・・・ったく」

(鼻息荒くなってきた) 

 

 

  

 

 

 

  

奥さま・・・どうやらY子はT村とのJの関係を確実に知っているようです。

しかもJとY子の間には何やら深い因縁がありそうです。  

  

 

 

  

 

 

 

 

メラメラ 

「○○くん・・・あんたは素直でイイコなんだから・・・アレはやめな!」 

 

 

「・・・え?」 

 

 

「私が他に紹介してやるから・・・あの小娘だけはやめなさい!」 

 

 

「いや・・・そういうわけには・・・」

 

 

 

 

 

  

 

 

急に言われたからって惚れた気持ちを簡単に捨てられるものでは

ありません。無理な話です。しかし急な話の展開に驚いたために

いつのまにか嗚咽は止まっていました。

 

 

  

 

 

  

 

 

「あの女・・・うざいロリコン常連客のカノ女なんだけどさ・・・」

(ロ・ロ・ロリコン・・・!!)

  

「・・・・・・」 

 

 

「店に来てるうちに私のダーリンにまで色目使いやがって」

 

 

「知ってたんですか?」

 

 

「知ってるも何も・・・部屋で現場目撃しちゃったのよ!」

 

げげ!ねこ  

「・・・・げっ!」

 

 

「あ・・・ごめん・・・あんたにこういう話はショックだよね・・・

 

 

「・・・いえ・・・本当のこと・・・知りたいです」

 

 

「じゃあ・・・言っちゃうけどさ・・・」

 

 

「・・・はい(怖)

 

 

「私とT村は元サヤで少し前に再婚するはずだったのよ!」

 

 

「・・・・・・」

 

 

「で、一緒にまた住みだした部屋で・・・あの女が・・・」

 

 

「・・・・・・」

 

  

「見事にT村とうれしそうに合体してやがったのよ!」

 

げげ!ねこ  

「・・・合体!?」

 

 

 

  

 

 

 

私の心の中で「ガッタイ」という言葉が何度もリフレインします。

 

 

  

 

 

  


 

「あの女・・・音大の先生とも付き合ってるんだよ、なのにさ・・・」

 

 

「・・・・・・(唖然)

 

 

「私が現場押さえたから・・・とりあえずその場で別れさせたのよ!」

 

 

「・・・・・・」

 

メラメラ 

「でもね・・・T村のやつ・・・若い女の味が忘れられなかったらしくて」

 

 

「・・・今でも・・・続いてるんですよね・・・」 

 

 

「それは誰から聞いたの?」 

 

 

「・・・Jです・・・」

 

 

「そう・・・なら話が早いわ・・・わかったでしょ?最低女でしょ?」


 

 

 

 

  

 

 

 

確かに客観的に聞く限りでは極悪非道な女に思えます。でも奥さま・・・

男って理屈で軽蔑しても、一度惚れてしまったら簡単には嫌いになんて

なれないのです。そして当時の私もその例に漏れませんでした。Jの悪行

を聞いた後も、彼女への切ない想いはまったく消えなかったのです。

 

 

 

  

 

 

  


 

「○○くん・・・今日のデートって“キャトルセゾン”だったんでしょ?」

 

 

「・・・はい・・・」 

 

DASH! 

「はぁ~(ため息)・・・最悪のパターンじゃないの・・・」

 

    

「・・・・・・」

  

 

「あんた・・・Jに待ち合わせが“キャトルセゾン”だって言わなかったの?」

 

 

「いえ・・・言いました・・・現地集合でしたし・・・」

 

 

「それで・・・平気で店に行っちゃうんだ・・・あの女・・・図太いねぇ」 

   

  

「・・・・・・」

 

  

「どうせT村から・・・あんた・・・嫌がらせ受けたんでしょ?」

 

  

「・・・・・・」

 

 

「いいよ?私に遠慮なんかしなくても・・・」

  

  

「・・・俺がJの相手だって分かると急に態度が変わって・・・」

 

むかっ 

「ケツの穴の小さい男だねぇ・・・ったく、だからN山高を出たやつって・・・」

 

 

「いえ・・・でも、この服も貸してくれましたし・・・」

 

 

「そんなの着古して要らなくなって置きっぱだったやつだよ!」

 

 

「これが・・・ですか・・・(驚)

(だったら欲しいな)  

   

「ごめんね・・・だいぶ嫌な思いしたんでしょ?」

 

 

「いや・・・Y子さんこそ・・・なんだか・・・俺のせいで・・・」

 

 

「私は平気・・・どうせ最近は微妙な関係だったし・・・」

 

 

「・・・・・・」

 

 

「これで本当に小娘とT村が切れなかったら、私もさすがに諦めるわ」

 

 

「でも・・・」 

 

 

「どうせ最近色々疑ってたんだよね・・・他の女関係もさ」

 

 

「そうなんすか・・・」

 

むかっ 

「そう!あの野郎の女癖の悪さは病気だよ!」 

 

 

「でも・・・それだけモテるってのはうらやましいっす」

 

 

「金のおかげだよ!あんただって金回りよければモテるわよ」

 

 

「金・・・ですか・・・」

 

 

「そうそう!世の中金で思い通りになる女だらけ!私は違うけどね!」  

 

 

 

  


 

 

 

 

これだけボロクソにけなしているT村のどこにY子は惚れたのかを、私は

聞いてみたいと思いました。「金じゃない」と言い切るのならば、きっと

私の知らない何か素晴らしい魅力が彼にはあるに違いないと思ったの

でした。まだ未熟だった当時の私は、腐れ縁とも言うべき爛れた大人の

恋愛というものが存在することを知りませんでした。 

 

 

 

 

  

 

 

「Y子さん・・・T村さんのどこが好きなんですか?」

 

 

「・・・え?・・・なによ突然・・・」


 

「いや・・・だって・・・そんなに悪口言ってるし・・・実際T村さんは・・・」

 

 

「・・・・・・」

 

 

「Y子さん・・・全然若いし、きれいだし・・・わざわざあんな人・・・」

 

 

「・・・昔は違ったんだよね」

 

 

「・・・・・・」

 

 

「あの店をオープンするまでは違ったんだよ・・・あいつも」

 

 

「開業資金はY子さんの実家から出てるって・・・」

 

 

「それ・・・あいつが自分で言ったの?」

 

 

「はい・・・言い合いになった勢いで・・・」

 

むかっ 

「ったく・・・ほんとにどこまで軽率な男なんだろ・・・」

 

 

「余計なこと言ってごめんなさい」

 

 

 

 

  

 

 

彼女は「ううん、いいの」と言いながら少し涙ぐんだ目をハンカチで

抑えながらさらに続けました。 


 

 

 

 

 

 

「あいつ・・・料理の腕はいいんだよね・・・」

 

 

「確かに料理はめちゃくちゃ美味かったです」

 

 

「うん・・・だからあの店はオープンしてからずっと大繁盛なのよ」

 

 

「・・・・・・」

 

 

「当然そうなると金が転がり込むってワケね」

 

 

「金・・・ですか」

(うらやましい) 

 

「そう、金。あいつ・・・金持ったら人が変わっちゃってさ」

 

 

「女関係もですか・・・?」 

 


「そう・・・昔はああじゃなかったのに・・・急に女癖悪くなって・・・」

 

 

「・・・・・・」

 

 

「それでいったん離婚したんだよ・・・私ら」

 

 

「・・・でも・・・また・・・なんで・・・」 

 

 

「ホントはあんたに言う話じゃないんだけどさ・・・」

 

 

「・・・・・・」

 

 

「男と女には相性ってのがあんのよ・・・カラダの・・・」

 

げげ!ねこ  

「・・・・・・(絶句)

(ドキドキ)

 

「私も色々付き合ったけど・・・あいつほど合う男っていないのよね」

 

 

「・・・エッチが・・・ですか?」

 

 

「そう・・・あいつもそうみたいよ・・・私・・・具合がいいからさ(笑)

 

げげ!ねこ  

「・・・・・・(絶句)

(ドキドキ) 

 

「再会して1回シちゃったら・・・やっぱりお互いがいいってことになってさ」

   

 

「・・・・・・」

 

キス 

「なんなら試してみる?」

 

げげ!ねこ  

「いえいえいえいえいえいえ・・・そんなそんなそんな・・・」

 

  

 

 

 

 

  

 

奥さま・・・びっくりです。要するにY子とT村がヨリを戻そうとしているのは

SEXの相性が良いから・・・そんな理由のようです。まったく内面の話は

出てきませんでした。

 

 

  

 

 

 

 

 

「大人にはカラダの相性だけでもってるカップルもいるってことよ!」

 


「はぁ・・・」

 

 

「あんたにはまだ理解できないかもね・・・」

 

 

  

 

 

 

 

当時の私は性に対してそれほどオープンな性格でもなく、経験も少ない

状態でしたから、もちろん彼女の話を完全に理解することはできません

でした。 

 

私がY子の話に少し照れてしまっているところに、彼女が「ところで・・・」

と話を続けます。

 

 

  

 

 

 


 

「あんた・・・あんなに泣いてて・・・T村に何されたのよ・・・?」

 

 

「いや・・・T村さんはいいんです・・・そうじゃなくて・・・」

  

 

「なによ?言ってごらんよ」

 

 

 

  

 

 

  


私はレストランを出た直後の出来事をY子に説明しました。置いてきぼり

だったこと。アウディに乗っていた男のこと。目の前のキスシーン。

自分の屈辱感・・・敗北感・・・喪失感・・・涙の理由を隠すことなくすべて

Y子に打ち明けました。

 

 

 

 

  

 

  

 

「・・・その男は・・・Y田だね・・・Jの本命だよ・・・」

 

 

「・・・音大の・・・先生の・・・?」

 

 

「そう・・・しかも実家はM山区の金持ちボンボン・・・土建屋だったかな」

 

汗 

「俺には・・・勝ち目ないっす・・・(涙)

 

 

 

 

  

 

 

長くなりました。続きは次回にさせて頂きます。

また是非お越し下さい。心よりお待ちしています。


 

 


だって・・・いまだに胸が痛みますから・・・。

 

 

  

 

 

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