◆『差別と日本人』野中広務/辛淑玉 レビュー すさまじさが残る | 15分早く帰れる!【オフィス仕事術】

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『差別と日本人』 を読了。いつかは読まないといけないんだろうなあと思っているうちにベストセラーで平積みになり、やっと買いました。



でも読み始めたら1日で一気に最後のページまで。対談という形式の本で敬遠していたのですが、対談だから良かったかもしれません。重たい話を伝えやすくしている。決して軽くしているのではなくて、ぎっしり詰まっているよりは進みやすいという意味で。




何となくあることは知っている「差別」を当事者から見た場合、どれだけ凄まじいものなのかをまず知ることができます。今ほど「人権」や「個人の尊重」という概念がない時代は、人間の嫌な部分が全部その人たちに向かって噴き出している




でもそれ以外の場面ではみんな知らんぷりで「普通に」生活している怖さ。噴き出す暗部を受け止める側の人は命がけ。野中さんも辛さんも、まだ家族を案じながらこの問題に取り組んでいる根深さ。



同和教育というのがありますが、あれはどうなんでしょうね。



私は小学校高学年で転校した先の学校の授業で、初めてその概念を知りました。教えることは「差別はいけないよ」ということなのですが、どちらかというと「新しい差別の仕方を知ってしまった」という感覚のほうが大きくて、いい気持ちがしませんでした。



「そんな差別がある」と教えるのは諸刃の剣で、「その差別をなくそう」という作用と、「そんな差別の仕方があるのか」という作用があります。知ってしまった後、ある地域の人を見る目が変わってしまうかもしれない。知らなければ普通に付き合っていたかもしれない。




本当はそれを乗り越えて「じゃあどうしようか」を考えなければいけないのですが、そこまで行き着ける人がなかなかいない現状で、この教え方でいいのかどうか。




野中さんは「同和」を利用して利権を得ようとする人たちに対しても苦言を呈しています。これは「差別される側」を体験している人からでないと言いづらいことかもしれません。




また、対談の最後の方ではお二人の家族についての話も出ます。本文中はさらっと書いてあるのですが、あとがきを読むと、ここに言及していたときは二人とも嗚咽をこらえながらのお話だったとのこと。文字で読む知識も重要ですが、声で聞いていたらもっと切実に胸に突き刺さる内容だと思います。




何が起こっているのか、どんなことがあったのか、一度は読んでおいた方がよい本。





差別と日本人 (角川oneテーマ21 A 100)


差別と日本人 (角川oneテーマ21 A 100)



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