在宅医療に耐えられるか? | okcのブログ

在宅医療に耐えられるか?

皆さま、おはようございます。厚く黒い雲が空を覆う暗い夜明けとなった今朝の空です。それでも気温は高く、今朝の戸外気温は14℃もありました。昨日は東京、横浜、広島など全国各地で桜の開花宣言も出るなど、いよいよ春本番という季節になってきましたね。関東では今週末にはお花見シーズンが始まりそうです。今日の東京のお天気は、曇りのち雨で最高気温17℃、最低気温10℃、降水確率70%となっていました。今日は雨対策をしてお出かけください。

さて、今朝の日経トップニュースは、『「再入院 病院の乱用防止」定額払い、基準厳しく、厚労省 医療費膨張に歯止め』という見出しで、高齢化で膨らむ一方の医療費削減のため、病院中心から在宅中心へと医療提供体制を変更する一環として「入院費の定額払い」制度を利用する医療機関を対象に4月から入院医療のルールを見直すと報じています。これは割高な入院費を得ようと、病院が患者に入院・退院を短期間に繰り返させる事例が多発しているためで、再入院までの期間を長くしたり、受け入れ可能な症状を絞り込んだりして再入院を認める基準を厳しくします。この結果、年間数百億円の費用が抑制できる見通しですが、その分は在宅医療という形で各家庭が負担することとなります。現在の日本人のライフスタイルで在宅医療を進めることは大変な重荷になりそうですね。

現在の医療費は年40兆円近くあり、毎年1兆円規模で増え続けています。そのうち入院費は全体の4割の15兆円。定額払いだけで4兆円程度もあることから、この見直しで数百億円の費用削減ができるという見通しになりました。対象となる病院は、全国に7500ある一般病院のうちの1600で、再入院を認める基準を厳格化します。厚労省調査によると、一時退院後1~3日以内に再入院したケースは年3万件。4日後の再入院は2万件、5日後は3万5千件と大幅に増えます。これは入院初期の高い料金を目当てに患者を一時的に帰宅させ、再入院させる傾向があるということで、患者は知らず知らずのうちに高い医療費を払わされていることとなっていました。

今回、再入院までの期間を最低7日間空け、それに満たない場合は料金請求の仕切り直しを認めません。また症状もこれまで認めてきた500超から18分野に絞り込み、病院による意図的な病名の書き換えを防ぎます。厚労省はこうした見直しの結果、2015年以降平均在院日数を減らし公費4000億円超を捻出する目標を立てています。しかし、こうした見直しにより、本当に再入院が必要な患者までが排除される懸念もあり、再入院ができない患者は在宅で治療を続けることとなります。病院から家庭へというこの流れに、我々一般家庭は耐えられるでしょうか。

病院で生まれ、病院で臨終を迎えるというのが、今の日本の医療制度であり、独居できない高齢者は介護施設に入れるという流れが定着しています。しかし、数十年前までは、どこの家でも3世代同居が普通で、外で働くお父さんと子供を支える老夫婦と専業主婦という家庭環境が出来上がっていました。生まれるのも産婆さんによる自宅出産で、事故や病気でもない限り自宅で家族に囲まれて息を引き取るというのが一般的でした。病気になれば近所の医師が自宅に往診してくれますので、まさに在宅医療が定着していたのです。当時は、自宅も戸建中心でしたし、妻は家庭を守るという生活スタイルでしたから、在宅医療に耐えられた社会構造ができていました。

医療費削減のために、現状のライフスタイルのまま在宅医療を進めれば、夫婦共働きなど不可能ですし、幅広く患者の健康を管理できる「かかりつけ医」(主治医)も育っておらず、家庭崩壊、患者放置という事態も起きかねません。間違った医療を推進してきた厚労省のツケを単に国民に回すというのは、どうにも納得できない話です。家庭を守り高齢者の介護に従事する家族には手当でも出さねば、家庭経済が成り立たなくなりそうです。国が苦しくなればなんでも国民に押し付けるという今のやり方は納得できませんね。増税と物価高、社会保険負担増という4月からの生活にさらに重い負担が伸し掛かることだけはご免です。国民が政府の動きに関心を持って見守ることが必要です。