「釧路を描く作家たち 第2弾 イメージアルバム」
道立釧路芸術館、釧路市立美術館にて販売開始します。(美術館は休みのため、来週の火曜日からになります)

まだまだ長い道のりですが、発売は大きな節目になると思います。長い話になりますが、良かったら読んで下さい。

僕がまだ就職で釧路に来たばかりのころ、「PLEAセンター」という名前のモデルハウスのような建物が、釧路川河口岸壁緑地に建っていました。建っていたといっても、基礎のないプレハブのような作りのものです。
ラムサール条約会議が釧路で行われたとき、太陽光と風力で発電し、家の電気をまかなうようにつくられたものらしかったです。会議が終わって、その建物どうする?ということで、何か活用法を考えてみたい人を対象に集まりがありました。そこに集まったのは、ほとんどが「アーティスト」でした。何かを作っている人。その中に、唯一のミュージシャンである僕がいました。一人一人がこの空間を使うのもいいけど、みんなで一緒になんかやってみない?という話になりました。それが、「アートのみの市」の出発点でした。実行委員長は僕になりました。メンバーで唯一「自分の店を守らなくてもいい」ジャンル、音楽だったからです。PLEAセンターは何年かして、やはり建物がゆがんできて壊されてしまいましたが、のみの市以外にも、妻とのバンド「The Tidings」のライブをしたり、たくさんの仲間が集まってくれてライブイベントをやったり、たくさんの楽しいことがありました。そこからのつきあいがあったのが、「釧路を描く作家たち」の絵はがきの呼びかけ人、マシオン恵美香さんでした。
昨年夏、しばらくぶりに彼女から電話がありました。10枚の絵はがきそれぞれに、音楽を作って欲しい、という依頼でした。「いつまでですか?」と私はたずねました。「今年度中には何とか作って欲しい」ということでした。

絵はがきをもらい、ずっとカバンに入れていました。ちょくちょく見たりしていましたが、絵はがきではなかなかイメージが浮かびませんでした。
秋に、山花温泉リフレで、絵はがきの原画展があるということで、出かけて見てみました。
水彩、油彩、パステル・・・やはり絵はがきでは分からない筆跡、パワーを感じることが出来ました。その印象を絵はがきの裏に殴り書きをしながら見ました。

年が明けても曲は出来ませんでした。正月に実家に帰り、レコーダーを回しながら絵はがきを見て、ピアノを弾いてみました。自分としては何となく方向性が見えたような気がしました。
正月が明けて、自宅に戻って録音を聞いてみました。・・・キーが違うだけで、全て同じ曲でした。びっくりしました。あ、これではだめなんだ、と分かりました。

今まで自分が使ってきた方法論、リズム、全てを解体してばらばらに絵の印象とパズルのように合わせていきました。この絵にはこのキーで、このリズムで、この展開で・・・
夜にならないと曲は降りてきませんでした。数日間、夜中じゅう作曲していました。
曲ができあがり、どこで録音しようかと考えていたところ、恵美香さんから連絡がありました。
2月に、芸術館のフリーアートルームで原画展をやること。そして、その初日は芸術館が無料でアートホールを貸してくれるので、オープニングイベントをやるということ。
そこで、思い切ってそこで曲を披露しよう、そしてどうせならライブレコーディングにしよう、と考えつきました。
サポートとして、ウッドベースの本間洋佑君に共演をお願いしました。数回のリハで、アレンジをくみ上げていきました。僕と彼は通ってきた音楽の方向が割と似ていることもあり、アレンジは凄まじいスピードで組み上がっていきました。

そして、2月13日、レコーディングコンサートを行いました。
流れる時間は遅く、僕はステージで窒息しかけていました。研ぎ澄まされた緊張感。もちろん失敗して、やり直したテイクもありました。お客さんもレコーディングのため、物音を立てないようにしてもらい、見てもらいました。

そして、音源のマスタリングが始まりました。ベースの音が共鳴を起こしていて、うなっていました。どうやってそれを取るか、まるまる1ヶ月ずっと悩み続けました。最終的に、ピアノをステレオで録音することをあきらめ、ピアノとベースを完全に左右に分けてコンピュータに取り込み、ベースだけを徹底して補正することになりました(完成品はちょうど良く左右に分けています)これがよかったのか、ようやくマスタリングが完成しました。

CDRで作ろうかと考えていましたが、レコーディングの時にチャリティーを募ったところ、みなさま協力を頂きまして、思い切ってCDプレスをお願いすることにしました。最近はそんなに高くなくプレスをして頂ける業者があるんですね。勉強になりました。

プレスをお願いしている間、平行してジャケットやブックレットのデザイン。シッポファーレのしゅくや社長とひろ・どしどし君が本当にがんばってくれて、もったいないくらいすばらしいものができあがりました。
そして、シッポファーレの皆さんの力で、大量に製品が生産されていきました。

3月中に音源にする、と以前のブログに書きました。ちょっと間に合いませんでした。でも、4/20なので、お許し下さい。

利益が出るかどうかはみなさまが買って頂けるかどうかにかかっているのですが、利益が出たら芸術館、美術館の振興のために寄付をさせて頂きます。

何年も前から、知事は「採算の合わない文化施設は整理していく」と発言しています。ダントツに危ないのが実は釧路芸術館である、ということのようです。アートホールは週末いっぱいにイベントが入っているのに、計算方法が単独ホールと違うのか何なのか分かりませんが、なぜか人が入ってないことになっているようです。

今年末には、今の管理指定業者との契約が切れます。来年芸術館が開いているかどうか。
だから、この活動は、今やらなくてはいけないのです。

どうか、どうか、皆さんの力を分けて頂きたい。
芸術館、美術館でCDを買えば、「入館者1人」とカウントされるんです。だからそこで販売するんです。

アートホールまで奪われたら、僕たちはどこで表現活動を行えばいいのか!特にクラシック系の方々、声を上げて頂きたいと思います。

芸術館、美術館が両方ある誇るべきまち、釧路。
文化施設を守りたいのです。

この作品は本当に(比喩でなく)殺されそうになりながら何とか形になった作品です。必死で作り上げた、そして作らせて頂いた作品です。

よろしくお願いします。
CDは1000円です。

ちなみに、芸術館では、レコーディングの映像も売っています。(限定30枚)CDを買うときに、「映像も買います」と言って頂ければ買えます。映像は2000円ですので、合計3000円です。映像は失敗テイクとかが入っているらしいです(なんと僕はノーチェックです)貴重品ですよ。

ぜひとも!