101 『こうふく みどりの』-西加奈子 | おかのうえまで

おかのうえまで

建築家の卵の読書ブログ。
読むスピードの遅さと仕事の関係で
更新が追い付かない時は雑談...
そんな感じで、ゆっくり
書評書いていきます。

『こうふく みどりの』
西加奈子




発刊 2008年
出版 小学館


新年から盛大に風邪をひきまして、
スタートダッシュ大失敗。
喉がらがらで仕事はじめしましたよ…

2015年の1作目は西加奈子さんから
少し前に紹介した『こうふく あかの』と同じこうふくシリーズの今作。
今回の『…みどりの』は『…あかの』の少し前に書かれた作品です。
テーマで緩く繋がっていますが、
物語や登場人物の関係性はないのでどちらからでも読めます。

主人公の1人は緑は中学2年。
女性ばっかりの家庭で育ち、
のほほんな話とみせかけて西さんらしいディープな話も飛び交う。
もう1人は謎の女。
話の流れとともに彼女の人生を追う。
薄暗く、誰に話しかけているのかわからない様な、悲しい女性。

この2人の主観を交互に展開していきます。
これはもう『…あかの』と一緒の構成。
でも、明るい目の話と暗い目の話が構成的に逆で、
明るい方が主にあるこっちの方が読みやすいかも。

目に留まったものが目次的な役割をしているのか、
おばあちゃんの不思議な力を受け継いだのか、
緑の冷静さなのか、
放しの途中でも主人公の目に留まったキーワードが、
文章の中に突然現れたりするのも心地良く。

緑の家の近くに突然引っ越してきたコジマケンへの
なんともいえない恋情。
子供から大人に変わる様な、
そういう大人っぽさに頭を突っ込む事で
子供が抜けていく緑の純粋な変化も見所。

構成は確かに上手くて伝えたい事もわかるんだけど、
なんか細かいところは納得いかなくて…
でも、主人公が緑だから。
この天才的なピュアっ子だから良いや、と。
これも成長だ!頑張れ若者!、と。
なんかそんなんで納得できてしまう。

なんか
それくらい、
変人ばっかりだけれど登場人物が良い。

おばあちゃんの家族観も素敵で、
寝てばっかのお母さんの突然な感じもリアルで、
伝えたい女性のディープさを
出てくる女性の個性で緩和させながら最後まで突き抜けてくれたから良かった。

男なら『…あかの』、女は本作に共感出来るんだろうか…
うーん、それはわからない。


小説(読書感想) ブログランキングへ