あけましておめでとうございます。部長の羽仁です。前回の記事でお伝えした通り三重県四日市市の三重北勢地場産業振興センターにて、12/25~27にかけて学生王座戦が行われました。今回は部長として、オーダー係として、そして岡大のサブエース(笑)としていろいろな考えを載せながらレポを書いていこうかなと思います。また、記事を文章量の関係で四分割していますがご了承ください。

 

~大会前~部長に就任してから初めての大会。大会の結果もそうですが、何事もなく大会を終えたいといった別のことも考えるようになりました。今回も西日本大会、富士通杯同様にメンバーを集めるのに非常に苦労しました。秋中四のA級メンバーを何人連れてこれるかどうかが死活問題だったのですが、結果として主力の五人全員参加できるようになり、何とか形になりました。個人目標は8-1、チームでは総合勝利数20勝越え、チームとしては1,2回勝って順位8.9位を目標にしていました。

 

~初戦~名城大学さん~

初戦の相手は名城大学さん、去年の優勝校です。前回最下位だったのでいきなり強豪校と当たることに。僕と藤井主将勝ちで2-5以上で勝ち星を稼ぐことを狙っていました。当たり順はこうなりました。

藤吉ー脇田(互角)
藤井ー久野(互角)
本池ー大村(かなり不利)
佐々木ー福田(互角)
鎌苅ー服部(かなり不利)
羽仁ー国保(互角)
水口ー奥村(やや不利)

( )の部分は戦力的に有利か不利かを僕主観で示したものです。向こうのダブルエースを主力5人以外でかわすことができ、当たりとしては最高のものに。ただ、これでようやく互角の勝負になったので元の戦力差は相当なものなのだと感じました。僕の相手は国保さん、着ている服の印象がいつも強く残っています。なんと今年の西日本、富士通に続いての三回目の対局。対戦成績も1-1の五分なので何としても勝ちたいと思いました。戦型はこちらの後手ゴキ中の相穴熊戦に。得意戦型になったので一安心しました。

(便宜上手前を先手番としてます。)

今54歩と突かれたところ。本譜は54同歩、54同金、48金寄りとしたのですが、単に48金寄りとするほうがよかったです、それならば48金寄りに55歩、同飛車、54金のときに飛車を引く手と66角とする手どちらかを選ぶことができました。ただ、形勢自体は本譜でも互角でした。

終盤戦を迎えた上図。今44歩に42歩とされたところ。ここでは形勢はだいぶ悪い(浮かむ瀬曰くこちらの―900ほど)のですがここで33歩成りが自分らしい、実践的な一手でした。ここで相手の方が同銀左と取ったのですがこれがかなり悪い手だったようでそこから31金!が狙いの一手。銀取りを受けるのには22玉しかないのですが以下32金、同玉に52銀と打てて形勢ほぼ互角、実践的には勝ちやすい展開となりました。33歩成りには同銀直が正着のよう。そこで48飛車や32歩の垂らしを考えていましたが、24桂馬などの攻めが早く負けているようです。本譜は最終的には36の銀を攻めに使え、細い攻めを通して勝ちに。強敵相手に嬉しい勝利となりました。さてチームの方はというと・・・

○藤吉ー脇田×
○藤井ー久野×
×本池ー大村○
○佐々木ー福田×
×鎌苅ー服部○
○羽仁ー国保×
○水口ー奥村×
5-2で勝利!

なんと勝負所をすべて勝ち、チームも勝ちに!最下位のチームが1位の学校に勝つというジャイアントキリングとなりました。インタビューを受けたりしてかなり恥ずかしかったですが(うまく喋れてない・・・)、幸先の良いスタートになりました。

 

~二戦目~京都大学さん~

次の相手は京都大学さん。富士通杯には惜しくも出場できていませんでしたが、西日本大会での活躍からも感じていたように、王座戦は代表校として出場されることに。選手を見ると去年とかなり顔ぶれが違い、あまりデータがない中での対戦に。ここからはオーダーを僕一人だけでなく鎌苅君と考えることに。やはり、選手としてフル出場しながら部長として部員を気配り、オーダーを組むのは相当きついので少しでも負担を減らしたいと思いました。まあ、過去にはエース+部長+オーダー係+岡山中四運営を4つ同時にした凄すぎるOBもいましたが・・・(苦笑)僕は僕のやり方で柔軟に行ければと思います。また、彼のほうが自分より理論的にものを考えることに優れていると思ったのも理由の一つです。(自分はメタ読みの方が結構好きです)さてさて苦心の末に当たり順はこうなりました。

藤吉ー金谷(不利)
藤井ー轟(有利)
本池ー河合(かなり不利)
佐々木ー林(不利)
羽仁ー村上(やや有利)
水口ー宮越(不利)
外間ー柴田(かなり不利)

( )の部分は戦力的に有利か不利かを僕主観で示したものです。初戦とは逆にオーダーの読みを外してしまいかなり分の悪い当たりとなりました。ここも僕と主将が勝って2-5で勝ち星を稼げればと考えていました。自分の相手は村上さん。去年の全国では安定して勝っている、という印象でした。振り飛車党ということはわかっていたので情報があるのは安心感がありました。これはあるアマ強豪の受け売りであり持論でもあるのですが、アマ将棋、特に大学将棋において情報というのはとても大切なものだと思います。予め相手がどの程度の棋力なのか?どういう戦型を好むかなどを知っておくことは弱者が強者に勝つために特に必要だと思います。さて、戦型はこちらの76歩に54歩から三間飛車対向かい飛車の将棋に。

現在こちらの手番。ここで本譜は47金+68銀~59銀~58銀という専守防衛策を選んだのですがイマイチな構想でした。46歩も突かずに85歩、75銀、97角といった構えを取るべきだったかもしれません。本譜は71銀型の金無双を組ませているのも向こうの好条件で微妙な序盤戦に。

少し進んで上図。現在12香車とされたところですがここで25歩!と突き、13角に15歩!?と玉側の端攻めを敢行。しかしやはり無理がありました。ここは96歩から97角を見せ我慢すべきでした。

そこからさらに数手進んで上図。香得しているものの、歩切れと25桂馬と14香車の駒効率の差で苦しい局面です。ここで26香車と打ったのですがこれがほぼ敗着の一手でした。相手の方にも指摘されたのですが85桂馬と跳ね、82銀に、75香車と打つのが勝りました。銀を手に入れれば33銀と打つ手もあったのでこうすべきでした。本譜は26香車に24歩、11香車成り、そこで43飛車が好手で、全く予想していませんでした。21成香に42角を用意し、13飛車の味の良い活用を狙う一手。ここで形勢に差がつき以下は大差での負けに。チームの方は・・・

○藤吉ー金谷×
×藤井ー轟○
×本池ー河合○
×佐々木ー林○
×羽仁ー村上○
×水口ー宮越○
×外間ー柴田○

1-6で負け・・・

藤吉先輩が強敵相手に金星を挙げてくれました!しかしエース二人が負けるというふがいない結果になり責任を感じていました。

 

~三戦目~金沢大学~

三戦目は金沢大学さん。学生名人の西澤君を擁するチームで富士通杯では5位にもなっておりチーム全体が年々強くなっている印象があります。如何に西澤君を避けるかが勝負を握っていると思いました。当たりの方はこうなりました。

藤吉ー松野(やや不利)
宮本ー都 (不利)
藤井ー清澤(かなり有利)
本池ー西澤(かなり不利)
佐々木ー石川(互角)
羽仁ー藤田(有利)
水口ー坂口(やや不利)

( )の部分は戦力的に有利か不利かを僕主観で示したものです。まずまずの当たりになったとは感じました。藤吉先輩、水口君が勝てるかどうかが勝負のカギを握っていると思いました。僕の相手は藤田さん。富士通杯でも当たっており、居飛車党ということはわかっていました。戦型はこちらの先手中飛車に鳥刺し。鳥刺しは指される機会も多いのですがなかなか有力な作戦だと思います。居飛車の34の歩は傷にもなりやすいのでそこを突かずに角を使うという思想は玉の固さを重視する振り飛車的な発想だなーと局中にふと思っていました。

上図は55歩と突かれたところ。この局面既に浮かむ瀬はこちらに+400ほどの評価値を出していて驚きました。どうやら52飛車という手をあまりいい手だと思っておらず、ここで77桂馬と跳ねればこちらがいいらしいです。本譜は65歩、同銀、45歩、同銀、55歩と指しました。

駒が激しくぶつかり合い中盤戦。いまこちらが78の金を67に上がった局面です。ここで58歩~57歩の連打が微妙だったようです。ここでは34飛車と回る手がありそれなら互角のようでした。

現在局面は78銀に66飛車と浮いたところ。ここで87銀成りが悪手。以下85桂馬、78成り銀、86角、57飛車成りに64飛車の大さばきが決まり一気に勝勢に。87銀成りに変えて、69銀成り、58銀打ちといった展開にしておけばまだアヤはありそうでした。本譜以下は美濃を生かして勝ち切ることができました。チームの方はどうなったかというと・・・

×藤吉ー松野○
×宮本ー都○
○藤井ー清澤×
×本池ー西澤○
△佐々木ー石川△
○羽仁ー藤田×
×水口ー坂口○
2.5-4.5で負けに・・・

藤吉先輩は逆転負け、本池君は強敵相手にいい粘りをしていましたがやはり相手が強かったです。佐々木先輩は千日手2回による引き分けという珍しい決着に。水口君はあと少しで逆転といった局面もありましたが惜しくも負けに。悔しい結果となりました。

 

~一日目が終わってチームは1-2、僕自身も2-1とまずまずの結果に。二日目はどうなったのでしょうか?次回に続きます。

 

羽仁@歌志軒の油そばおいしかったです!