村上春樹/風の歌を聴け
- 著者: 村上 春樹
- タイトル: 風の歌を聴け
1970年の夏、久々に海辺の街に帰省した<僕>が、「ジェイズ・バー」で友人の<鼠>とビールを飲んだり、恋をしたりしながら送る青春の日々と、全てが過ぎ去っていってしまう事への喪失感を書く。
村上春樹の「三部作」と呼ばれる作品群の幕開け。
正直なところ、僕は逆にこれといった展開のない単調な感じが少し苦手だと感じた。しかし文章が上手かったり会話にセンスがあったり(成る程、というような上手い比喩表現が多い)するので、読む事が苦になる事はまずない、と思う。
自分でどう転ぶかわからないと思った事も、結局落ち着くところに落ち着いてしまったりする。
単調な日常だと思っていた事が、少し離れると本当に遠い存在になってしまったりする。
<僕>と<鼠>が何となく感じている、悩みや虚しさを、しつこい感じを残さず、素っ気なく書いているのが良い。
「三部作」を読むならここから。<僕>と<鼠>はずっと登場します。