発表のその日のうちに

デビューしたばかりのマツダCX3に早速試乗してきた。
正式発表が2/27であるが、まさにその当日に日頃お世話になっている販売店のSさんが、自宅までカタログを届けてくれた。



すぐに試乗もできるとのことで、翌28日に早速行ってきた。



「鼓動」の次の切り札

CX5、アテンザ、アクセラ、デミオに続く「鼓動」の第5の切り札となるこのCX3はどんなクルマだろう。
試乗車として用意されていたのは、新色のセラミックメタリックという陶磁器のような綺麗な色。イメージカラーのソウルレッドプレミアムも良いが、この色も新鮮である。

CX3のエンジンはデイーゼルのみ。
グレードはXD、XDツーリング、XDツーリングLパッケージ。各々にATとマニュアル、2WDと4WDの設定があり、今回試乗したのは中間グレードのXDツーリングのAT、2WD。
デミオのプラットホームを基本にしたとのことで、2570mmのホイールベースは同じであるが、全長が4275mmとデミオより215mm長い。そのためか、ロングノーズから固まり感のあるキャビンに抜けるデザインが躍動的である。



Dピラーはボディと同色ではなく、黒く塗られており、サイドウインドウからリアーに流れるようなデザインとなっている。


水平フィンのフロントグリルは、兄貴分のCX5やアテンザと共通イメージだが、CX5と比較すると、よりシャープな感じがする。
CX5のフロントは、写真のように厚みを強調した固まり感に迫力がある。


ドアミラーには、ウインカーも。

今回の試乗車であるXDツーリングには、215/50R18のタイアが標準装備。下位グレードのXDだと16インチとなる。


クラスを超えた上質感

乗り込んでみて、まず驚かされるのは、インテリアの質感の高さ。
乗り込んだ瞬間に、良いクルマに乗っているという気持ちにさせられる。


左手を降ろすと、ちょうど良い位置にナビや音楽など様々なコントロールができるコマンダーが配置されている。

ヘッドアップディスプレイは視認性も良く、最小限の視線移動で情報確認ができる。


ダッシュボードの赤いステッチも、上質感を高めている。


ドアには一部色違いの素材があしらわれており、乗り込む人を楽しませる。


シートの赤いパイピングもアクセントとなっている。


ブレない「Be a driver」

ステアリングの左奥にあるエンジンスタートスイッチを押して、いよいよエンジン始動。
デミオと同じ1.5リッターのデイーゼルエンジンは、始動のときにデイーゼルエンジンらしい音を確認できるが、アイドリングではほとんどガソリンエンジンとは区別がつかない静粛性である。
潔く、CX3の国内販売をデイーゼルエンジンだけに絞ったのも納得できる。
走り出してまず感じたのは、思ったより動きが軽いということ。オルガンタイプのアクセルペダルを軽く踏むと、スッと動き出す。と言っても、ちょっと踏んだだけで唐突にいきなりパワーが架かるような動きではなく、踏めば踏むだけ必要なパワーが得られるタイプ。アクセルペダルの踏力とパワーの出方がごく自然にリンクしている。
パワーが欲しいときは、少し右足に力を入れるだけでキックダウンとともに、力強い加速を得られる。6速ATはキックダウンのマナーも上質なものを持っている。
急加速すると、デイーゼルであることを主張するエンジン音が聞こえるが、これはこれで力強さを感じ、不快なものではない。
希望すればオプションで、この音を打ち消すパーツをピストンに組み込むこともできるらしいので、そちらも新しい技術としては興味深い。

街中を低速で曲がる際も、ハンドリングが気持ち良い。適度な重さで、アクセルワークと同じような、思った通りのハンドリングをタウンスピードでも、充分楽しめる。

今回は、セールスのS氏の計らいで、高速も試すことができた。
一般道から高速へ180度くらい旋回しながら入る際も、素直なハンドリングとしっかりしたサスペンションで気持ち良く加速しながらスムーズに本線に合流できた。
パワーに余裕があるので、精神的にもすごく楽である。

車線変更の際も、並走車の接近を警告音とミラーの隅のディスプレイで知らせてくれる。過信してはいけないが、ついうっかりということもあるので、こういう安全対策も有難い。

荒れた路面を走行する際の、タイアノイズが少し気になったが、ここまで内装を上質に仕上げたのだから、タイアノイズに関しても、もう少し押さえられればと思った。
これも、大径の18インチタイアの影響か、できればXDに標準装着の16インチも試してみたいところである。
もっとも、通常の路面では全く気にならない範囲であり、高速巡行は静かなエンジンと相まって、どこまでも走って行きたいという感じである。

短時間の試乗であったが、日頃走っている一般道から高速道まで走ることを通じて感じたのは、やはり気持ちの良い走り。
マツダの言う「人馬一体」「Be a driver」を実感できた。

素敵な選択肢

CX3の購入を考えるときに、上級グレードのXDツーリングLパッケージを選ぶと、車両本体価格だと297万円。兄貴分のCX5やアテンザ、アクセラもグレードによっては比較対象になる。
CX3は単にCX5の小型版では無い。もちろんデミオのSUV版でも無い。
全く新しいカテゴリーを築いていると思う。

だから、敢えてCX3を選択する理由は存在するし、CX5やアテンザ、アクセラを選択する理由も、それなりにある。

勿論、300万円となると、魅力的な欧州製コンパクトも視野に入る。
VWゴルフもプジョー308やルノー・キャプチャー、シトロエンで言えばC4等々。

個性的な欧州車と比較しても、充分に戦える個性と実力を持ったCX3。
こんな魅力的なクルマが我が国から登場したことは、嬉しいことである。

素敵な選択肢がまたひとつ増えた。