中学校の大会だったら最優秀賞 | おはしょり稽古

中学校の大会だったら最優秀賞

SPIRAL MOON

「NahatMusik」

作:柄澤太郎 演出:秋葉正子

@ザムザ阿佐ヶ谷


う、う、う。 

だめだ、こんな優等生のいい子ちゃんな芝居はあたしには合わん。


クリスマス・イブの夜に、主人公の女の前に

『犬の幽霊』が仲間を連れて現れて、

昔に可愛がってくれたお礼に願いを叶えてあげる、というのが筋。


犬たちが就職してから二年間会わなかった娘を連れてきてくれて、

更には五年ぐらい前に離婚した昔の夫に会わせ、

「出世したはいいものの、会社の責任を負わされて明日発展途上国に左遷される」という夫に

主人公の女性が

「いいわ、海外でもどこへでも行ってやる!」

と告げて皆大喜び・・・・・・・・っておいっ。

決断までにそれなりの時間を注ぎ込んでいるところは評価できるけど、それ、本当に幸せかぁ?

「新規支社開拓」の名目で、

実際は「十年は帰ってこれないだろう」なんだぞ。


結婚観うんぬんに関しては考え方の違いも大いにあるけど、

生々しい現実の描写と

夢の世界のふわふわした部分が噛み合ってなくて、居心地が悪い。


心が荒んでいた野良犬が、主人公に可愛がられていた「トモ」に会ったときのことを話すシーンは

結構心に沁みた。

犬達が保健所で知り合ったっていう展開はありがちで

作り手が予想したようなショックは全くもって無かったけど、

「こいつ、泣くんだ。ケイちゃんに会いたい、会いたいって。」

っていうシーンは

油断してると泣かされると思う。


これ、保健所にいるときの犬たちの視点で作った方が面白いんじゃないかなぁ。

死後に精霊になるとか、そんなご都合主義な特例なしで。

劇場に不釣合いな大声なんか出さなくても面白い作品になったと思うよ。


一夜だけ人間にしてもらったという犬達の和風な衣装や、

『八匹の犬』っていう設定から、

「『南総里見八犬伝』に引っかけたのかも」と終演後に気づいた。

無知なので、

話の内容との絡みはでんでん分かんなかったんだけど。


前回見た「おんわたし」の方が断然好きだった。次回以降に期待。