前島 南風荘 | おぐりん呑み旅 ひとり旅

おぐりん呑み旅 ひとり旅

一人旅…。
それは 大切な時間
切符を持って 列車に乗れば
昨日までの
自分はちょっとお休み…
そう 私は旅人…
素敵な出会いを求めて…。




誰もいない静かな牛窓港
穏やかな瀬戸内の海…
一筋の波紋を後ろに残し
船が 港を 出て行きます…?


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……
……
其れ 私の乗る船ですよ~
待ってくれ~
船長~

と言うことで
男一人
乗り遅れた船を
見送るのでした(涙)

次回に続く…。
……
……
ではなくて


実は 何故か
乗船時間 間違えちゃいました
何をやっているのでしょうか
この旅人は…
と言う訳で
初めから やり直しです(反省)

誰もいない静かな牛窓港
穏やかな瀬戸内の海…
目の前の瀬戸内に
ポツンと浮かぶ 緑溢れる島

其処が
今宵の宿を求めて渡る小さな島
前島なのです(その調子)

港の風に無駄に
30分吹かれましたが
しっかりと時間通りに現れた
フェリーに乗り
早速 島に渡りましょう!
船は本日も
安全 正確に
運航されている様ですね
船長!

約5分 大人240円の
瀬戸内クルージングです
船旅ですよ
ワクワクしますね!

既にテレビに夢中の
唯一の運命共同体である
お婆様と
前島に向かいますよ

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船に乗って
若干 興奮気味の旅人は
彼方此方歩き回り
席に着くことも無く
5分の船旅は滞りなく
終了致したので有ります…。

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唯一の運命共同体である
お婆様は
既に デッキを颯爽と
歩いていってしまいました…

そう言う事で
私も急いで 続いて
前島上陸。

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前島は外周8Km
人口 約180人の小さな島

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右上矢印港の待合室は 島民の新聞受けが有りました
勿論 私は紳士
読んでませんよ!

コンビニは勿論 商店も無く
唯一 飲み物の
自動販売機が港に有るのみ

という事はですよ…
前島上陸以降の 数十時間
今夜のお宿に
私の運命 全て捧げる事になりますね
見捨てないで下さいね…宿の方。



その私の運命
がっちり握った 宿の方は
港に車を停めて
私の心の内を知ってか知らずか
優しい笑みをたたえて
旅人を迎えてくれました

前島は
島全体が国立公園であり
松林や畑が広がる
美しい緑の島


港から宿までの車窓には
長閑なキャベツ畑が
延々と続きます
そして
若主人との朴訥とし会話が
旅心を じんわりと
盛り上げてくれるのですね!


やがて 車は
海を望む今宵の宿
南風荘へ到着


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南風荘

所謂 島の料理民宿
建物や設備の古さは
否めません
事実私も 初めは
戸惑いました

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部屋はバス無しトイレ無し
冷蔵庫も有りません

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一番驚いた事は
部屋に鍵有りません!
但し 掃除は行き届いて居り
不満は有りませんでした

そんな南風荘
旅人を 惹きつけた理由は…
後々 皆様にも
分かって頂けるかも知れません


さて、宿で荷を降ろして
真っ先に向かうのは
部屋の窓ではないでしょうか
窓からの景色にこそ
旅を実感しますよね

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先ずは 先制パンチですよ!
瀬戸内の海が

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明日まで 独り占めなのですから
微かに響く潮騒の音
潮風に乗って届く
生き物達の声

此処で無くては出逢えないものが
確かに有りました


そうそう!
旅人は些か急いでいるのです
実は 此処 前島は
夕日百選に選ばれているとの事です

100番中何番かは
わかりませんが
偉い人が 吟味して吟味して
選んだのでしょう
間違いはない筈ですね!

落ち着いて
宿のパンフレット読みながら
お茶飲んでいる場合じゃ無いのです!

宿の人によると
絶景ポイントまで
徒歩で約20分との事
結構な距離ですよ
果たして 夕日に間に合うか
船に乗り遅れた自分を怨みます

人も車も行き合わない
樹々に覆われた
薄暗い道をトボトボと…
ちょっと 不安で怖くなって来ました…。

其れでも 旅人
彼方此方 キョロキョロ

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島の猫にご挨拶したり
(其れにしても
瀬戸内の島は 猫が多いですね)

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おっ 蟹ですよ!
と言う間に
蟹は 横道に逸れてしまいました
其れを見て私は
前向きに生きようと思うのです…。

道草ばかりでしょうが無いですね
夕陽の時間に間に合わないですよ!

と、思ったら
犬に吠えられ
猛ダッシュ
小心者の旅人は
何とか15分で到着しましたのでした…。

樹々に覆われた薄暗い道が
一気に開け
視界には瀬戸内の海が広がります

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キャベツ畑の中の一本道…
海へと続く一本道…
もう 歩くのはやめましょう…


空に落とした
オレンジ色の絵の具が
少しずつ 海へと
滲んで行きます

やがて
オレンジ色の絵の具は
私を包み込み
全てを染め上げてしまいました

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心を揺さぶる圧倒的な光景
唯 立ち尽くすだけです

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……
……
帰り道は
日が暮れて
暗い道は更に暗くなっちゃいました…
犬に見つからない様に
そそくさと…
約10分で宿へと帰着。

さあ!
風呂も入って準備万端
お腹も喉もお待ちかねですよ‼

皆様
うすうす感じていらっしゃる事と
思いますが…
この宿の本当の実力は
此処から始まるのです…。
さあ!
魚っ食いも
仰け反る様な時間が始まりますよ‼

先ずは 我慢できなくて
ウズウズしている
私の喉を黙らす為に
キーンと冷えた
ビールを一杯
喉の奥へと勢い良く流し込んじゃいます!
ぷふぁ~っと眼を閉じて
暫し 沈黙…

あっちの世界から帰還して
眼を開けると
此処は
お魚天国じゃないですか!

昨日は鬼で
どうやら今夜は
乙姫様に出逢った様です

先ずは 乙姫様
瀬戸内産渡り蟹
男を夢中にさせます

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蟹は一人旅の食卓を
益々 静かにさせてくれますね
しゃぶって ほじって暫し…
ほろっとした上品な甘さと旨さは
他の蟹とは一線を画す美味しさです!

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初めて頂く
瀬戸内産の小さなイカ ベイカ
モチモチとした食感に
しっかりとしたイカの味
地元の他では滅多に出逢えないイカ
嬉しいじゃないですか!


私 お一人様で予約した者ですが
こんなもの来ました

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高級魚ヒラメがドーン!
鯛も有りますね
当に タイヤヒラメの舞い踊りじゃないですか!
玉手箱は遠慮しておきます…。

其れにしても
凄い量です!
此方も 腹括らないといけませんね!
ヒラメ…美味いですね!
上品なお味ですが
噛めば噛むほど 味わい深い
エンガワもコリコリとして
脂も乗って 堪りませんよ!
グビッ!

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あっ!すみません…
地酒飲んでますよ~
牛窓の酒 千寿 旨口ですよ、
地元備前焼のおちょこが泣けて来ます!

とここで
ドッキリ発生!
刺身盛りの右上に
ひっそりと潜んでいた

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そうそう
此奴です 車海老です
突然 ぐるぐるに巻いたゴムが弾けるように
飛び跳ねたのですよ!
驚いて 足テーブルに
ぶつけてしまったではないですか‼
此奴 食べてやる!
という事で
車海老の踊り食いです!
口の中でも暴れまくりましたが
やっつけてやりましたよ!

さてさて
この乙姫様
容赦がありませんよ

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ふぐが此処で登場です
淡白なお味の魚達の後に
贅沢にも
ふぐを唐揚げで頂きます
ホクホクとした身の隙間から
じゅわぁっと油が 染み出した感じが
好きなんですよね~

味の変化で
食欲再点火ですよ!

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郷土料理のままかり
来るとは分かっていましたが
此処で来ましたね

油物の後に酢で口が
さっぱり 洗い流されますね
昨夜の しんすけで頂いた物とは違い
此方は やや小ぶりながら
優しい味わい
幾らでも 行けそうです!

舌が 酢でリセットされ
次は 焼き魚 煮魚ですか!
魚の味わい….
そして
料理の腕前を堪能しろとの事ですね!
乙姫様!

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瀬戸内と言えば
も忘れてはいけませんね!
白身の柔らかな甘さに
香ばしさが加わり
箸を入れると 微かな湯気と共に
身離れよく 剥がされた 白身…
焼き魚は こうでなくては!

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メバルの煮付け
上品な身に合わせて
薄味で煮て有りますね!
煮付け大好き!

其れにしても魚は
ぼっちの食卓でも
淋しくありませんね!

お箸で ちょこちょこと
やっつけて
日本酒チビチビと…
何か 楽しいのですよ…此れが!

おや!
今夜の宴の立役者
調理をして頂いた若主人自ら
何やら 運んできましたよ!

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アコウじゃないですか‼
幻の高級魚
なかなか食べられませんよ!
たまたま 今朝
網に一匹掛かっていたそうです!
その貴重なお魚…私にですね(涙)


揚げてあるのに
何でしょう この弾力は
歯を跳ね返す様です
旨味も充分…
日本酒 少し残して置いて良かった…グビッ。

乙姫様(若女将)の懸命な
もてなしが
宴を更に 楽しくしてくれました

客をよく見てますね

料理を運ぶタイミングが絶妙
会話も 楽しいものでした
付かず離れず
とても 居心地良く
瀬戸内の魚を堪能出来ましたよ‼︎


其れにしても…
私…
一体 何匹の魚を頂いたのでしょう…。
恐ろしくなりますね。

はち切れそうな腹摩りながら
這うようにして
窓辺へ…

真っ暗な視界の先には
瀬戸内の海を挟んで
ポツンポツンと明かりを
散らして
懐かしい小豆島が横たわっています…
そして更に その先には
一段と光り輝く 高松の灯り…

此処は前島…
小さな島…
旅人は
明日は もう此処にはいないのです…。


乗り遅れて乗り込んだ船
行き先は 竜宮城…
ほろ酔いで そんな事を考えながら
静かに ゆったりと
夜が更けて行きます…。



旅は 山を越えましたよ!
でも まだまだ続くのです…
しつこいですか?
私は 知りませんよ!


南風荘その他 / 瀬戸内市その他)
夜総合点★★★☆☆ 3.6