過去からの手紙 | 恋と仕事の心理学@カウンセリングサービス

過去からの手紙

恋と仕事の心理学@カウンセリングサービス-みずがき




こんにちは。カウンセリングサービスみずがきひろみ です。
水曜日のキャリアアップのテーマを山田耕治カウンセラー とともにお届けしています。


ちょうどお正月気分が抜けた頃だったでしょうか、いかにも「外国から」という大きな封筒が郵便受けに入っていました。見ると、以前勤めていた投資会社の同僚からです。私がこの会社を辞めてからもう6年が経とうとしています。その後、出張で来日したこの同僚と数回会って食事をし、クリスマスカードをやりとりしましたが、この2、3年はご無沙汰になっていたので、「何だろう?」と不思議な気持ちで封を切ると、大きなフォトカードに見覚えのある丸い字体でびっしり詰めて書いた近況を伝える手紙でした。


2年半前に大きな事故に遭い、療養生活を余儀なくされていたけれど、いまだに後遺症があって世界中を飛び回るこの仕事への復帰は断念した、と書かれていました。昨年末に正式に退職したのでお世話になったことを感謝したい、という内容でした。カードに使われた写真の中の彼女は、家族とともに満面の笑みを浮かべていて、この数年、彼女がどれほど苦しんだかと思うと、人生の一大危機を、今、まさに乗り越えようとしているのだということが胸に響いてきます。


この手紙の中で、彼女は、心をこめて、私から何を学んだかを書き連ねてくれました。そして、それは、質問の仕方のような仕事の技術的なことから、物事の考え方、人や組織との折り合い方にまで及んでいて、読んでいる私の方が、「えっ!そういうふうに見ていたの?」と、ただただびっくりすることばかりだったのです。


この同僚と出会ったのは、もう15年以上も前のことで、私の方が業界での仕事経験が長く、先輩には違いなかったのですが、中途採用の私と生え抜きの彼女と社歴はあまり変わりませんでした。もともと物理学者を目指し、修士号までもっていた彼女は、とにかく頭がよくて、あまりに論理的な彼女の問いかけに、先輩であるはずの私がしょっちゅうどぎまぎしていたくらいでした。なので、私の側には、同僚として彼女を尊敬する気持ちこそあれ、彼女に何かを教えている、という感覚は皆無でした。ただ、めぐりあわせの中で、同僚として仕事を共にし、議論を戦わせ、切磋琢磨する相手として、私の方も葛藤を抱えながら関わり続けただけなのです。


教えたのではありません。教えられるものがあったと思ってもいませんでした。


彼女が学んだのです。彼女が、私を見ていて、「これはいい!」と勝手に価値を見て、取り入れたものがあった、ということなのです。仕事のできる人は、総じて、学び上手です。


もし、感謝されることがあるとすれば、それは、私が、彼女と、ある時期、心から関わった、ということなのだと思います。


黄色い花



彼女から、自分の過去のある時期を全く違う視点でとらえた手紙を受け取り、今度は、私の方に深い気づきが湧きおこってきます。


こんなにも自分の見ている「自分」と他人が見ている「自分」は違うのだ。


自分が自分を「だらしがない」「情けない」「未熟だ」と叱りつけているからといって、他人がそう思っているとは限りません。往々にして、自分に一番厳しいのは「自分」です。他人からの評価は、その時々に、すぐに聞けるとは限らないので、つい自己イメージは自分に見えている「自分」像に引っ張られますが、他人の目には、自分には見えていない「自分」が見えているかもしれません。


そして、感謝を伝えるのに「時効」はないのだ、ということもわかります。


「今さら」と思って伝えていない感謝の気持ちが、心の中に山のように積まれていないでしょうか。関係性が完了しないと、なかなか言えない「ありがとう」もあるかもしれません。


でも、「ありがとう」は、いつ受け取っても嬉しいものなのだ、ということを私も覚えていたい、と思いました。クローバー





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