『自分が自分の人生の主人公になる』

こんにちは。カウンセリングサービスのみずがきひろみです。
水曜日のキャリアアップのテーマを山田耕治カウンセラーとともにお届けしています。

さだまさしの古い歌に「主人公」というのがあります（このブログの読者さんは若くてご存知ないかも）。サビで「自分の人生の中では、誰もがみな、主人公～」と歌っています。高校生の頃、自分に言い聞かせるように歌っていましたっけ。

カウンセリングをしていると、ふとこのフレーズが蘇ってくることがあります。問題を抱えているときというのは、自分の人生に対する主体性を失ってしまい、ただ、まわりの人や出来事に振り回されているような気持になることが多いと感じます。クライエントさんのそんな心もとなさに触れると、私は、「それでも、あなたはあなたの人生の主人公だわ」と心の底でつぶやきます。

仕事でも、忙しすぎるとき、また、逆に仕事がない、お呼びがかからないときも、他人や状況に振り回されている感じがして、自分「が」主体性をもって取り組んでいるという実感が得られないことがあります。「お役に立てて嬉しい」ではなく「使われちゃった」「利用されちゃった」と悲しく感じたり、逆に世の中の流れから取り残されたような寂しさを感じて自尊心が傷つくこともあるでしょう。

そんなときは、もう一度、自分の持てる「力」、「才能」、資金や人的ネットワークも含めたリソース（resource、資源、資質）の棚卸しをしてみるといいかもしれません。

私がやってみて役に立ったなぁ、と思う簡単なやり方を一つご紹介します。

１カードかメモ用紙を16枚用意します。

２一枚のカード（メモ用紙）に一つ、自分の持てる資質を書き出します。（なるべく直感を大事に、すばやく書きます）

３書き終えたカードを全て裏返して、今度は一枚一枚、ひっくり返して開けながら、それぞれの資質について、具体的に思い出してみます。（資金ならばいくらくらいあるか、頼れる人は誰か、性格的に明るいのであれば、それがどういうときによい結果をもたらしたか、など。）

４この16枚のカードを、自分が今何を大事にしたいか、という基準で8枚に絞り込みます。どうしてその8枚を選んだのか、簡単に書いておきましょう。

５この8枚から、さらに4枚、そして4枚から2枚、そして最後は1枚に絞り込んでいきます。その都度、選択した理由を簡単に書いておきます。

６最後に残った1枚は、あなたが、今、一番大事にしたいと思っている資質ないし資源です。これを優先するという気持ちで、再度、あなたのおかれている仕事の状況を思い浮かべて、自分にできること、仕事の優先順位などを見直してみてください。

他人や状況に振り回されている、その同じ環境にどう主体性を持ちこむか、その環境にどうあなたが主体的に取り組むか、そのヒントが見つかるかもしれません。常に、どんなときでも、自分に何らかの選択権があることに気づければシメたものです。

カードを最初に16枚としたのは、最初の5枚、多い人でも10枚くらいまではポンポン思い浮かぶのですが、10枚を過ぎると重複するものが出てきますし、考え込む人が多くなるためです。いつも意識している資質はすぐに思いつくのですが、意識から遠い資質や資源はなかなか思い浮かびません。そんな周縁化された才能にも意識を向けて欲しいので、ぱっと思いつかないほどの数の資質、資源を探していただきたいのです。

絞り込む作業は「優先順位」を「選択」するプロセスです。これを言葉化することで、自分が今何を大切にしたいと思っているか、自分の中で対話することを促します。

ここまでやってみると、状況に巻き込まれているという無力感から、状況に主体的に関わるというパワーを取り戻せることが多いです。

主体的に関わる、ということは、自分の置かれている状況に責任を持つということで、つまりはアカウンタビリティーを持つ、ということにほかなりません。ちゃんと自分の人生の主人公になって、その責任をとろうとしている人は、本当に信頼できると感じるものですよね。

余談ですが、上のエクササイズをアレンジして、何人かでゲーム仕立てでやるのも楽しいかもしれません。

その場合は、
１一人あたり8枚カードを用意する。

２そのカードに、自分の長所を、1枚につき一つ書く。これがあなたのスタート時点の持ち札になります。

３仲間の誰かとジャンケンをし、勝った方が相手の持ち札から、自分が「欲しい」と思った長所が書かれた札をもらい、負けた方は、勝った方から、相手が選んだ札をもらいます。

３を何度も複数の人とくりかえすと、あなたの持ち札には、あなたがもともと自分にあると思っている長所、人から欲しいと思っている長所、そして、特に望まなかったけれど手に入れてしまった長所があることになります。長所や魅力は、人に与えたからといって無くなるものではありません。むしろ、分かち合えば合うほどお互いに豊かになれるものです。

こうしてお互いの長所や魅力を分かち合った結果、手元に来た長所や魅力をよく見てください。思いがけないものも含まれているかもしれません。でも、これを、来年自分が意識的に使えたとしたらどうでしょう？また一段と自分の魅力が増すような気がしてきませんか？