思いは奇跡を巻き起こす。その３
これも、私が入院して抗がん剤治療をしていた頃の話。
何回目かの抗ガン剤治療を翌日に控えた日。私はサッカー観戦の為に国立競技場にいた。
サッカーの試合は、オリンピック日本代表の壮行試合「日本代表 対 アルゼンチン代表」
アルゼンチン代表は前回のオリンピックでも優勝している強豪である。そして、壮行試合の後、北京オリンピックでも優勝して見事連覇を果たした。
そんな強豪とガチで試合ができることはそんなにない。私は白血球が低いのをおして観戦に行った。
私は抗ガン剤治療の度に、副作用の為に白血球がダウンしてしまい、いつも白血球を上げる薬を注射してもらっていた。それでも白血球は２５００ぐらいまでしか上がらなかった。ちなみに健康な人の白血球は、大体４０００～７０００くらいある。
試合当日も、白血球は２６００。風邪でもひいて下手したらあの世行きである。
試合は面白かった。アルゼンチンが攻撃して、ひたすら日本代表が守る場面が多かったけど、結構、日本代表頑張った。
試合の後半、雨が降り出した。しかも小雨ではなく、土砂降り。
観客はあまりの雨に帰っていく。試合も雨の影響で、グラウンドは水だらけ。ボールも水で止まってしまう始末。
それでも、私は最後まで試合を見て帰った。
翌日、入院して血液検査をしてみると、白血球がなんと３６００。 
奇跡的な数字。薬でも上がらない白血球が上がった。
看護師さんが「いつも白血球が低いのに、今回は薬が効いたのかしら」と不思議そうな顔をしていた。
私もさすが大好きなサッカー観戦に行ったからじゃないですか！とは言えなかったけど。
