ついさっきの出来事。
横浜の仕事先の喫煙所で一服中にアルバイトの兄ちゃん(ゴツくて髭面でいつも迷彩柄のズボンを履いている)に話しかけられた。
「あの…もしかして読書家ですか?」
その兄ちゃんとは今まで何度も顔を合わせてはいたがこれまで挨拶程度の会話しかしたことが無かったのにいきなりそんなパーソナルな質問を投げかけられてやや驚く。
「どうしてそう思うの?」
「いや、何となくそんな感じがして…」
人に「読書家か?」と尋ねるからにはきっと彼自身がかなりの読書好きなのだろう。
「以前はよく読んだけど最近はあまり読んでないなあ。君はどんな本が好きなの?」と逆に尋ねてみた。
「僕は戦時中のドキュメント物が好きなんです。」
な、なるほど…それで迷彩服なのか…
「戦中物はあまり読んだ事が無いな…強いて云えば小説だけど『ひかりごけ』とか『飼育』くらいかな」
「そうなんですか」
「あ、そうだ。お勧めの本があるよ。ゴールディングの『蠅の王』。設定は近未来になってるけど戦中物と云ってもいいかな。完璧とも云える小説でノーベル賞も穫ってて映画化もされてる。でも映画は観なくていいからw」
彼はかなり興味を示してくれたみたいだった。戦争絡みでは他に『朗読者』も勧めておいたがこちらは彼の気に入らないかもしれないな。
しかし何故「読書家」と思われたのだろう?
それは多分いつも僕が黒縁の眼鏡(一応グッチのお洒落なやつだよ)をかけているからだな…間違いない。