【この本と出会った】文筆業・海猫沢めろん 『文人悪食』嵐山光三郎著
■食生活を叱られた気分 生牡蠣（がき）を口にした瞬間、厭（いや）な気分になった。 一瞬ののちに、自分がなぜそのような気分になったのか気づく。 昨年、２度も牡蠣にあたったのである,グッチ バッグ。 記憶と感情は結びついている。膨大な量の記憶を検索するとき、我々（われわれ）はそれを感情とともに思い出す。昨今では、感情は記憶という情報につけられた栞（しおり）や目印のようなものである、という説を唱える学者もいる。一冊の本を忘れがたくするのは、貼られた付箋（ふせん）、書き込み、曲げられた角など、感情のかすかな痕跡である。ならば、汚れ、傷ついているほど、それは人生という本を精緻に読んだ証しだと言（い）えまいか。何も書き込みのない真新しい本は、どこか他人行儀だ。つまらない。綺麗（きれい）な本もいいが、使い込まれた本はもっといい。 嵐山光三郎の『文人悪食（あくじき）』は随筆であり評論でもある奇妙な本だ。私の家の本棚に並ぶ書物のなかでも、かなり汚い本だろう。書き込みや、付箋、破れた頁がいくつもある。出会ったのはおそらく２０代のはじめ頃だったと思う。 最初は雑誌で連載されていた,グッチ バッグ 新作。たまにそれを読んでいたので、のちに本にまとまったのを知って、なんとなく手に取ったのだ。 切れ味の良い文章、背後にある膨大な資料、登場する文人たちの生き様（ざま）。当時は読むたびに、胆にずしんときたものだ。< 前のページ12次のページ >,gucci ベルト;
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